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訴え提起の効果(訴訟係属・時効の完成猶予と更新・期間の遵守)うったえていきのこうか

民事訴訟法 第4章 訴えの提起 過去問で1肢

訴え提起の効果とは、訴えを提起したことによって生じる訴訟法上・実体法上の効果をいい、訴状が被告に送達された時に生じる訴訟係属と、訴状を裁判所に提出した時に生じる時効の完成猶予と法律上の期間の遵守があります(147条)。

時効があと数日で完成しそうなときに訴状を出しても、被告に届くまでに時間がかかれば、その間に時効が完成してしまうのでは困ります。被告への送達は裁判所が職権でするので、その遅れを原告に負わせるのは酷です。そこで、時効の完成猶予や出訴期間の遵守の効果は、訴状を裁判所に出した時に生じるとされています。他方、訴訟係属という状態は、訴状が被告に届いた時に始まります。訴えの提起にはこうした効果があり、それぞれ生じる時点が違います。

裁判所書記官室の受付カウンターの場面。原告の男性(札「原告」)が訴状を差し出し、裁判所書記官の男性(札「裁判所書記官」)が受付印を押している。受付印に「受付」と日付。カウンターの奥の壁に時計とカレンダーがあり、カレンダーの翌日に「時効完成」

時効の完成猶予と期間遵守の効果は、訴状を裁判所に提出した時に生じます

訴えが提起されたとき、または訴えの変更などの書面が裁判所に提出されたときは、その時に時効の完成猶予または法律上の期間の遵守のために必要な裁判上の請求があったものとされます(147条)。訴えの提起は訴状を裁判所に提出してするので(134条1項)、効果が生じるのは訴状の提出時です。被告への送達時とすると、職権でする送達(98条1項)の遅れで時効が完成するおそれがあるからです。訴えの変更で請求を追加した場合は、変更の書面(143条2項)を裁判所に提出した時に効果が生じます。出訴期間のある訴えも、訴状の提出時を基準に期間を守ったかを判断します。訴訟係属は訴状が被告に送達された時に生じ、重複起訴の禁止(142条)などはそこから働きます。

  • 訴訟係属訴状が被告に送達された時に生じます
  • 時効の完成猶予・期間の遵守訴状を裁判所に提出した時に生じます(147条)
  • 訴えの変更・反訴・中間確認の訴えでの追加その書面を裁判所に提出した時に生じます
  • 時効の更新確定判決や和解など確定判決と同一の効力を有するもので権利が確定した時に生じます(民法147条2項)

裁判上の請求による完成猶予は訴訟の終了まで続き、確定判決や和解で権利が確定すれば時効は更新されます

現行の民法では、裁判上の請求があると、その事由が終了するまで時効は完成せず、確定判決または確定判決と同一の効力を有するもので権利が確定することなく終了した場合(訴えの却下や取下げ)には、終了の時から6か月を経過するまで完成しません(民法147条1項)。確定判決などで権利が確定したときは、時効はその事由の終了の時から新たに進行を始めます(同条2項、更新)。訴訟上の和解は確定判決と同一の効力を持つので(267条1項)、和解で請求権が確定すれば時効は更新されます。訴訟が承継されても効果は引き継がれ、原告が死亡して相続人が訴訟を承継した場合も、訴え提起による効果は承継人に及びます。移送の裁判が確定すると訴訟は初めから移送を受けた裁判所に係属していたものとみなされる(22条3項)ので、時効期間の経過後に移送が確定しても、訴え提起による効果は影響を受けません。債権者代位訴訟では、訴訟物である被代位権利(債務者の第三債務者に対する債権)について時効の効果が生じるので、代位債権者が訴えを提起した時点で被代位権利の時効について効力が生じます。

教室の場面。先生が教師役(札「先生」)で黒板の前に立つ。黒板に左から右への時間の矢印があり、「訴状提出」から「訴え取下げ(訴訟の終了)」まで太い帯が引かれ、その先に「6か月」の短い帯が続いている。帯の上に「完成猶予(民法147条1項)」、6

訴えが却下・取下げで終わっても、現行法では終了から6か月の完成猶予が残ります

旧規定では、訴えが却下されたり取り下げられたりすると時効の中断の効力は生じなかったものとされていました(旧民法149条)。現行法では、権利が確定しないまま訴訟が終わっても、終了の時から6か月は完成猶予が続きます(民法147条1項)。訴状却下も訴えの却下に準じて扱われます。そのため、訴状が却下された場合も、却下の後6か月は時効の完成が猶予されます。ただし時効の更新の効力は生じません。同じく、請求の減縮(訴えの一部取下げ)をした部分も、終了から6か月の完成猶予が残り、効力がさかのぼって消えるわけではありません。旧規定の下でも、同じ請求について二重に係属していた訴訟の弁論が併合された後に、前訴を取り下げて後訴を続ける場合には、権利行使の意思が継続しているとして前訴の提起による効果は消えないとされていました(最判昭和50年11月28日)。

債務不存在確認の訴えや留置権の抗弁は、それだけでは被告の債権の裁判上の請求に当たりません

時効の完成猶予を生じる裁判上の請求は、権利者が自分の権利を主張して行うものです。債務者が債務不存在確認の訴えを起こしても、債権者の権利行使ではないので、訴えの提起の時点では債権の時効は止まりません。判例は、被告である債権者が応訴して債権の存在を主張し請求棄却を求めたときに、裁判上の請求に準じる効果を認めています(大連判昭和16年2月24日)。また判例は、物の引渡請求訴訟で被告が被担保債権の存在を主張して留置権の抗弁を出しても、それは被担保債権の裁判上の請求には当たらないが、訴訟が係属している間は被担保債権について催告が続いているものとしました(最大判昭和38年10月30日)。そのため訴訟中に時効期間が経過しても、原告は被担保債権の時効消滅を主張できず、訴訟の終了後6か月以内に裁判上の請求などをすれば時効を止められます。明示的一部請求の残部の扱いは「一部請求」で扱います。

民事訴訟法 第147条

(裁判上の請求による時効の完成猶予等)
訴えが提起されたとき、又は第百四十三条第二項(第百四十四条第三項及び第百四十五条第四項において準用する場合を含む。)の書面が裁判所に提出されたときは、その時に時効の完成猶予又は法律上の期間の遵守のために必要な裁判上の請求があったものとする。

民法147条1項

次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。一 裁判上の請求

試験ではこう問われる

  1. 時効の完成猶予・期間遵守の効果は訴状を裁判所に提出した時に生じる(147条)。訴状の送達時ではない
  2. 訴えの変更で請求を追加した場合は、変更の書面を裁判所に提出した時に効果が生じる。訴訟係属は訴状が被告に送達された時に生じる
  3. 和解で請求権が確定すれば時効は更新され(民法147条2項)、訴訟承継人にも効果が及ぶ。移送が時効期間の経過後に確定しても効果は維持される(22条3項)
  4. 現行法では訴えの却下・取下げ(訴状却下・請求の減縮を含む)の後も、終了から6か月の完成猶予が残る(民法147条1項)
  5. 二重に係属した訴訟の弁論の併合後に前訴を取り下げても、前訴の提起による効果は消えない(最判昭和50年11月28日)
  6. 債務不存在確認の訴えの提起だけでは被告の債権の時効は止まらず、被告が応訴して債権を主張したときに裁判上の請求に準じる(大連判昭和16年2月24日)
  7. 留置権の抗弁は被担保債権の裁判上の請求に当たらないが、訴訟係属中は催告が継続する(最大判昭和38年10月30日)

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