判決の確定(確定の時期と確定遮断の範囲)はんけつのかくてい
判決の確定とは、判決が上訴などの通常の不服申立ての方法では取り消したり変更したりできない状態になることです。判決は控訴・上告の期間の満了前には確定せず、期間内に適法な控訴・上告があれば確定が遮断されます(116条)。
判決が言い渡されても、負けた側が控訴すれば結論はまだ動きます。結論が動かなくなった時点で初めて、既判力が生じ、確定判決に基づく強制執行もできるようになります。そこで、いつ判決が確定するのか、控訴があったときにどこまで確定が止まるのかを決めておく必要があります。基本は、控訴・上告の期間が過ぎれば確定し、期間内に控訴・上告があれば確定が止まる、という単純な仕組みです。

判決は控訴・上告の期間が満了すると確定し、期間内に適法な控訴・上告があれば確定が遮断されます
判決は、控訴・上告などについて定めた期間の満了前には確定しません(116条1項)。判決の確定は、その期間内にした控訴・上告の提起又は上告受理の申立てによって遮断されます(同条2項)。控訴期間は電子判決書の送達を受けた日から2週間で(285条本文)、当事者ごとに送達の日が違えば期間の満了も別々です。そのため、請求の一部認容・一部棄却の判決に双方とも控訴しないときは、双方の控訴期間がいずれも満了した時に確定します。控訴期間は送達の日から数えますが、送達の前にした控訴も有効です(同条ただし書)。
- 控訴期間の満了控訴がなければ、控訴権を持つ全員の控訴期間が満了した時に確定します
- 控訴権の放棄控訴権を持つ全員が放棄すれば、期間の満了前でもその時に確定します(284条)
- 控訴棄却判決の確定控訴棄却判決が確定すると、第一審判決も同時に確定します
- 上告審の終局判決通常の不服申立ての方法がないので、言渡しと同時に確定します
- 特別上告高等裁判所の上告審判決に対する特別上告(327条)は確定を遮断しません(116条1項括弧書)
全員が控訴権を放棄したとき、控訴棄却判決が確定したとき、上告審が終局判決を言い渡したときは、それぞれその時に確定します
控訴をする権利は放棄することができます(284条)。控訴権を持つすべての当事者が放棄すれば、判決を取り消される可能性がなくなるので、控訴期間の満了前でも第一審判決は確定します。ただし、判決の言渡し前にあらかじめ控訴権を放棄することはできないとされ、「控訴をする権利は、第一審裁判所が判決を言い渡す前にあらかじめ放棄することができる」という肢(R4 午後 問5 ア)は誤りです。控訴審が控訴を棄却し、その判決が確定すれば、第一審判決も取り消される可能性がなくなるので同時に確定します。上告審の終局判決には通常の不服申立ての方法がないので、言渡しと同時に確定します。高等裁判所が上告審としてした終局判決に対しては、憲法違反を理由に限って最高裁判所に特別上告ができます(327条1項)が、116条1項は括弧書でこの上告を確定遮断の対象から外しています。特別上告は確定した判決に対する非常の救済だからで、特別上告があっても判決の確定は遮断されません。

判決の一部だけに控訴しても判決全部の確定が遮断されますが、通常共同訴訟では控訴しなかった共同訴訟人の部分は確定します
1個の判決に対して適法な控訴があると、確定遮断の効力と事件が控訴審に移る効力(移審効)は、控訴人が不服を申し立てた範囲に限らず判決全体に及びます(上訴不可分の原則)。控訴人は後で不服の範囲を広げられ、被控訴人は附帯控訴で争えるからです。300万円の全部認容判決に被告が100万円の部分だけ控訴しても、残りの200万円の部分は確定しません。併合された請求の一方を認容し他方を棄却した判決に被告だけが控訴した場合も、棄却部分を含めて全体が控訴審に移るので、「当該判決に対して被告のみが控訴をしたときは、当該訴訟のうち当該売買代金請求に係る部分は控訴審に移審しない」という肢(R8 午後 問5 ア)は誤りです。これに対し、通常共同訴訟では共同訴訟人独立の原則(39条)が働き、一人の控訴は他の共同訴訟人の部分の確定を遮断しません。共同不法行為者Y1・Y2に対する認容判決にY1だけが控訴しても、Y2に対する部分は確定します。通常共同訴訟では、共同訴訟人の一人が控訴しても、他の共同訴訟人についての確定は遮断されません。必要的共同訴訟では一人の控訴が全員のために効力を生じる(40条1項)ので、全員について確定が遮断されます。「類似必要的共同訴訟においては、共同訴訟人の一人が控訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として控訴審に移審し、控訴審の判決の効力は控訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶ」という肢(R5 午後 問2 ウ)は正しいです。上訴不可分の原則と共同訴訟の扱いの詳細は「上訴総論」と共同訴訟の語で扱います。
民事訴訟法 第116条第1項判決は、控訴若しくは上告(第三百二十七条第一項(第三百八十条第二項において準用する場合を含む。)の上告を除く。)の提起、第三百十八条第一項の申立て又は第三百五十七条(第三百六十七条第二項において準用する場合を含む。)、第三百七十八条第一項若しくは第三百八十一条の七第一項の規定による異議の申立てについて定めた期間の満了前には、確定しないものとする。
民事訴訟法 第116条第2項判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。
民事訴訟法 第284条(控訴権の放棄)
控訴をする権利は、放棄することができる。
試験ではこう問われる
- 控訴は電子判決書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に、控訴状を第一審裁判所に出してする(285条・286条1項。R4 午後 問5 イ ○。肢の「判決書」は電子判決書と読み替える)
- 控訴権は放棄できるが、判決の言渡し前にあらかじめ放棄することはできない(284条。R4 午後 問5 ア ×)
- 併合された請求の一方を認容し他方を棄却した判決に被告だけが控訴しても、判決全体が控訴審に移る(上訴不可分の原則。R8 午後 問5 ア ×)
- 類似必要的共同訴訟では、一人の控訴で全体の確定が妨げられ、控訴審判決の効力は控訴しなかった者にも及ぶ(40条1項。R5 午後 問2 ウ ○)
- 通常共同訴訟では、控訴しなかった共同訴訟人に対する部分は確定する(39条)
- 控訴権を持つ全員が放棄すれば期間満了前でも確定し、上告審の終局判決は言渡しと同時に確定する
- 高等裁判所の上告審判決に対する特別上告(327条)は確定を遮断しない(116条1項)

