期日・期間と呼出し(93条〜97条:期日の指定・告知・言渡期日・訴訟行為の追完)きじつきかんとよびだし
期日とは、裁判所と当事者その他の関係人が会して訴訟行為をするために定められた日時で、裁判長が指定し、電子呼出状の送達や出頭した者への告知などで呼び出します。訴訟行為の追完とは、責めに帰することができない事由で不変期間を守れなかった当事者が、事由の消滅後1週間以内にその訴訟行為をすることです(97条)。
訴訟は、裁判所と当事者が同じ日時に集まる期日と、その日までに書面の提出や上訴などをしなければならない期間で進みます。期日を誰が決め、どう知らせるかが曖昧だと、欠席した当事者に不利益を負わせることができません。他方、控訴期間のような不変期間は裁判所でも延ばせないので、本人の落ち度なく過ぎてしまったときに救う仕組みとして、訴訟行為の追完が用意されています。

期日は裁判長が申立てにより又は職権で指定し、呼出しは電子呼出状の送達のほか出頭した者への告知などでもできます
期日の指定及び変更は、申立てにより又は職権で、裁判長が行います(93条1項)。口頭弁論と弁論準備手続の期日の変更は顕著な事由がある場合に限られますが、最初の期日の変更は当事者の合意があれば許され(同条3項)、弁論準備手続を経た口頭弁論の期日の変更はやむを得ない事由がなければ許されません(同条4項)。期日の呼出しは、電子呼出状を送達する方法、当該事件について出頭した者に期日を告知する方法、その他相当と認める方法によってします(94条1項)。令和4年改正前は呼出状の送達でしたが、出頭した者への告知でよいことは改正前から同じです。「口頭弁論期日に出頭した当事者に対して裁判長が口頭で次回期日を告知しただけでは,その次回期日について適法な呼出しがあったとは認められない」という肢(R3 午後 問2 イ)は誤りです。電子呼出状の送達や出頭者への告知以外の相当な方法(電話など)で呼び出したときは、期日に出頭しない当事者・証人・鑑定人に法律上の制裁や期日を守らなかった不利益を負わせることはできず、呼出しを受けた旨の書面を提出したときだけ例外になります(94条3項)。
適式な呼出しを受けながら欠席した当事者には、その期日に告知した判決言渡期日の告知の効力が及び、呼出状の送達は要りません
最判昭和23年5月18日は、当事者の一方が適法な呼出しを受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合に、裁判所が口頭弁論を終結し、裁判長が判決言渡期日を指定して告知したときは、その告知は在廷しない当事者に対しても効力を有するとしました。適法な呼出しを受けながら欠席した者は、自ら期日の告知を受ける機会を放棄したといえるからです。最判昭和56年3月20日は、当事者双方が適法な呼出しを受けながら欠席した期日についても、裁判をするのに熟していれば弁論を終結でき、法廷で判決言渡期日を告知すれば在廷しない当事者に効力が及び、改めて呼出状を送達する必要はないとしました。判決の言渡し自体も当事者が在廷しなくてもでき、「判決の言渡しは、当事者双方が判決の言渡期日に出頭しない場合においても、することができる」という肢(R7 午後 問5 ア)は正しいです。判決の言渡しは口頭弁論の終結の日から2か月以内にしなければなりませんが(251条1項)、これは訓示規定であり、2か月を超えた言渡期日の指定が違法になるわけではありません。

期間は民法に従って計算し、法定の期間は伸縮できますが、不変期間は伸縮できず付加期間を定められるだけです
期間の計算は民法の期間に関する規定に従い(95条1項。初日は算入しません)、期間の末日が日曜日・土曜日・祝日・1月2日・3日・12月29日から31日に当たるときは、その翌日に満了します(同条3項)。裁判所は、法定の期間又はその定めた期間を伸長し、又は短縮することができますが、不変期間は除かれます(96条1項)。不変期間は、法律が「不変期間」と明記した期間で、控訴期間(285条)・上告期間・即時抗告の期間(332条)・再審の出訴期間などがあります。不変期間については、遠隔の地に住所又は居所を有する者のために付加期間を定めることができるだけです(96条2項)。
責めに帰することができない事由で不変期間を守れなかったときは、事由の消滅後1週間以内に追完できます
当事者が裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他その責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後1週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為を追完することができ、外国にある当事者は2か月です(97条1項)。この1週間は伸長できません(同条2項)。起算点は期間の満了時ではなく事由の消滅時なので、「当事者がその責めに帰することができない事由により即時抗告の期間を遵守することができなかった場合には,当該期間が満了した時から 1 週間以内に限り,即時抗告の追完をすることができる」という肢(R3 午後 問2 オ)は誤りです。最判昭和42年2月24日は、原告が訴え提起の直前に被告側と交渉していて住所を知りながら、住所不明として公示送達を申し立て、被告が訴えの提起を知らないまま敗訴して控訴期間を過ぎた事案で、被告は責めに帰することができない事由により控訴期間を守れなかったとして、控訴の追完を認めました。公示送達の瑕疵と再審との関係は、送達の瑕疵の語で扱います。
民事訴訟法 第93条第1項期日の指定及び変更は、申立てにより又は職権で、裁判長が行う。
民事訴訟法 第96条第1項裁判所は、法定の期間又はその定めた期間を伸長し、又は短縮することができる。ただし、不変期間については、この限りでない。
民事訴訟法 第97条第1項当事者が裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他その責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後一週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができる。ただし、外国に在る当事者については、この期間は、二月とする。
試験ではこう問われる
- 期日の指定・変更は申立てにより又は職権で裁判長が行う(93条1項、R3 午後 問2 ア ○)。弁論準備手続を経た口頭弁論期日の変更は、やむを得ない事由がある場合に限る(93条4項、R3 午後 問2 ウ ○)
- 呼出しは電子呼出状の送達・出頭した者への告知・その他相当な方法でできる(94条1項)。出頭した当事者に口頭で次回期日を告知すれば適法な呼出しになる(R3 午後 問2 イ ×)
- 適法な呼出しを受けて欠席した当事者(双方欠席でも)には、その期日に告知した判決言渡期日の告知が及び、呼出状は要らない(最判昭和56年3月20日)
- 判決の言渡しは、当事者双方が言渡期日に出頭しなくてもできる(R7 午後 問5 ア ○)。言渡しの2か月(251条1項)は訓示規定である
- 裁判所は法定の期間やその定めた期間を伸縮できるが、不変期間は伸縮できず付加期間を定められるだけである(96条)。担保を立てるべき期間も伸長できる(R3 午後 問2 エ ×)
- 責めに帰することができない事由で不変期間を守れなければ、期間満了時ではなく事由の消滅後1週間以内(外国は2か月)に追完できる(97条1項、R3 午後 問2 オ ×)
- 住所を知りながら不明として公示送達を申し立てられ控訴期間を過ぎた被告は、控訴を追完できる(最判昭和42年2月24日)

