登記の順位とうきのじゅんい
同一の不動産について登記した権利の順位は登記の前後で決まり、付記登記の順位は主登記の順位によります。順位の変更・譲渡・放棄の申請の形と、誰の承諾や登記識別情報が要るかが肢で突かれます。
登記の順位は、同一の不動産について登記した権利の優劣で、不動産登記法4条1項により法令に別段の定めがある場合を除いて登記の前後で決まります。付記登記の順位は主登記の順位により、同一の主登記に付いた付記登記の間では前後によります。先に登記した抵当権が優先弁済を受けるのが原則ですが、民法374条の順位の変更や、順位の譲渡・放棄の処分で順位を動かすことができ、順位の変更は登記が効力要件です。順位の変更は順位を変える担保権者全員の合同申請で、利害関係人の承諾が効力要件になります。肢で突かれるのは、申請人の範囲、提供する登記識別情報、原因日付、そして順位変更ができない組合せです。
不動産登記法 第4条(権利の順位)
同一の不動産について登記した権利の順位は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記の前後による。
付記登記(権利に関する登記のうち、既にされた権利に関する登記についてする登記であって、当該既にされた権利に関する登記を変更し、若しくは更正し、又は所有権以外の権利にあってはこれを移転し、若しくはこれを目的とする権利の保存等をするもので当該既にされた権利に関する登記と一体のものとして公示する必要があるものをいう。以下この項及び第六十六条において同じ。)の順位は主登記(付記登記の対象となる既にされた権利に関する登記をいう。以下この項において同じ。)の順位により、同一の主登記に係る付記登記の順位はその前後による。

順位の変更は関係する担保権者全員の合同申請です
順位の変更は権利者と義務者に分かれず、順位が変わる担保権者の全員が申請人になります。「Cの根抵当権を第1順位,Aの抵当権を第3順位とする順位の変更をするときは,Cを登記権利者,Aを登記義務者として順位の変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。1番と3番を入れ替えると2番の相対的な順位も変わるので、「A及びCのみを申請人として順位の変更の登記を申請することができる」という肢も誤りで、中間の2番の担保権者も申請人に加わります。申請人全員の登記識別情報を提供するので、「Bに対して通知された登記識別情報を提供することを要しない」という肢は誤りです。
承諾が効力要件なので、後からの承諾日が原因日付です
順位の変更は利害関係人の承諾が効力要件で、合意の後に承諾がされたときは承諾の日が登記原因の日付です。合意が4月1日で承諾が4月3日の場合に「令和 2 年 4 月 1日合意を登記原因及びその日付として当該抵当権の順位の変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。順位1番と2番の抵当権者が同一人のときの順位の変更は、「その登記の原因を「変更」とすることができる」という肢のとおり、合意ではなく変更を原因にできます。
仮登記の根抵当権とも転抵当権どうしでも順位変更できます
本登記の抵当権と、不動産登記法105条1号の仮登記がされた根抵当権との間でも順位の変更の登記を申請でき、「乙区 1 番の登記を順位 2 番とし、乙区 2 番の仮登記を順位 1 番とする順位の変更の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。同じ抵当権に付記された二つの転抵当権の間では順位の変更ができ、「Aの転抵当権及びBの転抵当権の順位を同順位とする変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。順位の変更の登記に錯誤があれば、錯誤を原因として更正の登記を申請できます。
順位の譲渡・放棄は当事者の共同申請で付記登記です
抵当権の順位の譲渡や放棄は、譲渡人と譲受人が共同で申請する抵当権の処分で、譲渡する抵当権の付記登記としてされます。「乙区 1 番(あ)で登記された抵当権の登記名義人Aが,乙区 1 番(い)で登記された抵当権の登記名義人Bに対して抵当権の順位を譲渡したときは,A及びBは,共同して抵当権の順位の譲渡の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。順位の変更と違って当事者だけで決まり、順位そのものは登記記録上動きません。順位の譲渡の登記請求権を保全する処分禁止の登記も、抵当権の付記登記でされます。
先順位の抹消は後順位者も権利者として申請できます
1番抵当権が弁済で消えたとき、2番抵当権者は順位が繰り上がるので、登記実務では所有権の登記名義人と並んで抹消の登記権利者になれます。「第 2 順位で設定の登記がされている抵当権の登記名義人は,第 1 順位の抵当権の登記名義人と共同して,当該第 1 順位の抵当権の設定の登記の抹消の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。相手方は義務者である先順位抵当権者で、後順位者と所有者を組ませる肢は誤りになります。先順位が消えれば後順位は自動的に繰り上がり、順位の変更の登記は要りません。
民法 第374条(抵当権の順位の変更)
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
試験ではこう問われる
- 順位変更の申請人は誰か(順位が変わる担保権者全員の合同申請。中間の者も含む)
- 順位変更の承諾が合意の後にされたとき原因日付はいつか(承諾の日)
- 本登記の抵当権と1号仮登記の根抵当権の間で順位変更できるか(できる。転抵当権どうしもできる)
- 順位の譲渡はどう登記されるか(譲渡人と譲受人の共同申請で付記登記)
この用語が問われた肢
甲土地について、乙区 1 番でAを、乙区 2 番でBを、乙区 3 番でCを抵当権の登記名義人とする抵当権の設定の登記がされている場合において、Cの抵当権を第 1 順位、Aの抵当権を第 3 順位とする順位の変更をするときは、A及びCのみを申請人として順位の変更の登記を申請することができる。
乙区 1 番及び乙区 2 番で設定の登記がされている各抵当権について,令和 2 年 4 月1 日に各抵当権者の間でその順位を変更する合意がされた後,当該順位の変更について利害関係を有する者の承諾が令和 2 年 4 月 3 日に得られた場合は,令和 2 年 4 月 1日合意を登記原因及びその日付として当該抵当権の順位の変更の登記を申請することができる。
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