司法書士試験AIブートラボ 司法書士AIブートラボ

抵当権の順位放棄の登記ていとうけんのじゅんいほうきのとうき

不動産登記 第7章 抵当権と根抵当権 過去問で1肢

先順位の抵当権者が同じ債務者に対する後順位の抵当権者のために順位の利益を放棄し、両者が同順位で債権額に応じて配当を受ける処分の登記です。順位譲渡との効果の違いと、順位変更との申請の形の違いが肢の軸です。

抵当権の順位放棄の登記は、抵当権者が同一の債務者に対する他の債権者のために、自分の抵当権の順位の利益を放棄したことを公示する登記です。抵当権の処分の一つで、放棄した抵当権者と利益を受けた債権者は同順位となり、それぞれの債権額の割合で配当を分け合います。順位を譲渡すれば譲受人が譲渡人より先に配当を受けますから、譲渡と放棄では効果が違います。処分の相手が同じ債務者に対する債権者でなければならない点も、転抵当との違いです。肢では、効果、申請人と登記の形、順位変更との区別、根抵当権での可否が問われます。

民法 第376条

(抵当権の処分)
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。

高さの違う台から降りて同じ高さの台に並び直す二人の債権者
順位放棄をすると放棄者と受益者は同順位になり、債権額の割合で配当を分けます
同順位で按分付記登記・共同申請順位変更は合同申請で登記が効力要件

順位放棄は放棄者と受益者が同順位になって按分します

順位1番のAが順位3番のCのために順位を放棄すると、AとCは、放棄がなければ二人が受けたはずの配当の合計を、Aの債権額とCの債権額の割合で分けます。順位2番のBの取り分は影響を受けません。順位譲渡ならその合計からまずCが取り、残りをAが取ります。放棄は自分の利益を相手と平等に分ける処分、譲渡は相手に優先させる処分と整理します。抵当権そのものは移転せず、処分の利益を受ける者の順位は付記登記の前後で決まります。

登記は付記登記で放棄者が義務者、受益者が権利者の共同申請です

順位放棄の登記は、放棄する抵当権の登記に付記してされます。登記の目的は「○番抵当権の○番抵当権への順位放棄」、原因は「年月日順位放棄」です。順位放棄で利益を受ける後順位抵当権者が登記権利者、放棄する先順位抵当権者が登記義務者となる共同申請で、義務者の登記識別情報を添付します。抵当権者は所有権の登記名義人ではないので印鑑証明書は要らず、所有者である設定者の承諾も要りません。主たる債務者への通知や承諾は処分を債務者らに対抗するための要件で、登記の添付情報ではありません。登録免許税は不動産1個につき1000円です。

順位変更は合同申請で登記が効力要件、順位放棄とは別の制度です

抵当権の順位の変更は、各抵当権者の合意で順位そのものを入れ替える制度で、登記をしなければ効力を生じません。申請は順位を変更する抵当権の登記名義人全員が共同してする合同申請で、権利者と義務者に分かれません。「Cの根抵当権を第1順位、Aの抵当権を第3順位とする順位の変更をするときは、Cを登記権利者、Aを登記義務者として順位の変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。順位変更は主登記でされ、順位放棄は付記登記でされる点、順位変更では利害関係人の承諾が効力要件になる点も違います。

確定前の根抵当権は順位放棄ができません

元本の確定前の根抵当権者は、根抵当権の譲渡や放棄、順位の譲渡や放棄といった抵当権の処分をすることができません。確定前は担保する債権が入れ替わり、処分の利益を受ける者の債権額を基準に配当を計算できないからです。ただし根抵当権を他の債権の担保とする転抵当は確定前でもできます。元本が確定した後は普通抵当権と同じく順位放棄ができ、その登記も同じ形で申請します。

民法 第374条

(抵当権の順位の変更)
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

試験ではこう問われる

  1. 順位放棄と順位譲渡で配当はどう変わるか(放棄は同順位で按分、譲渡は譲受人が優先)
  2. 順位放棄の登記の申請人は誰か(受益者が権利者、放棄者が義務者の共同申請)
  3. 順位放棄の登記は主登記か付記登記か(付記登記。順位変更は主登記)
  4. 順位変更の申請の形は何か(登記名義人全員の合同申請で登記が効力要件)
  5. 確定前の根抵当権で順位放棄はできるか(できない。転抵当はできる)
不動産登記を肢別で解く

この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。

関連する用語

抵当権と根抵当権

共同抵当と共同担保目録

同じ債権を担保するために複数の不動産に設定する抵当権が共同抵当で、登記官が共同担保目録を作って束ねます。追加設定の...
抵当権と根抵当権

抵当権の順位変更

複数の抵当権の順位を、各抵当権者の合意と利害関係人の承諾で入れ替える登記です。順位が変わる抵当権者全員の合同申請で...
抵当権と根抵当権

抵当権の処分(転抵当・順位譲渡・放棄)

抵当権者が自分の抵当権を他の債権の担保にしたり、順位や利益を他の債権者に譲ったり放棄したりすることです。転抵当・順...
抵当権と根抵当権

根抵当権の元本確定後の取扱い(確定後の債権譲渡)

元本が確定すると根抵当権は確定時の債権だけを担保する抵当権に近い性質になり、債権譲渡や代位弁済に随伴して移転します...