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抵当権の順位変更ていとうけんのじゅんいへんこう

不動産登記 第7章 抵当権と根抵当権 過去問で8肢

複数の抵当権の順位を、各抵当権者の合意と利害関係人の承諾で入れ替える登記です。順位が変わる抵当権者全員の合同申請で、登記が効力要件になる点と登記原因の日付が肢の軸です。

抵当権の順位変更は、同じ不動産の上にある複数の抵当権の順位を、各抵当権者の合意によって入れ替えることです。順位の譲渡や放棄と違って、抵当権そのものの順位が絶対的に変わります。転抵当権者など利害関係を有する者がいればその承諾が要り、順位の変更は登記をしなければ効力を生じません。登記は順位が変わる抵当権者全員が申請人となる合同申請で、権利者と義務者の区別がなく、主登記でされます。肢では、誰が申請人か、登記識別情報は誰の分が要るか、登記原因の日付はいつか、仮登記や更正との関係が問われます。

民法 第374条

(抵当権の順位の変更)
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

3段の台に立つ3人の銀行員が位置を入れ替えようとし、職員が承諾の札を掲げる場面
抵当権の順位変更は、各抵当権者の合意で順位を入れ替える登記で、全員の合同申請です
全員が申請人登記が効力要件承諾が後なら承諾日

順位に関わる抵当権者全員が申請し、全員の登記識別情報が要ります

順位変更の登記は、順位が変わる抵当権の登記名義人全員が共同して申請します。順位番号が動かない中間の抵当権者も、前後の関係が変わる以上は申請人です。「Cの抵当権を第1順位、Aの抵当権を第3順位とする順位の変更をするときは、A及びCのみを申請人として順位の変更の登記を申請することができる」という肢は誤りで、第2順位のBも申請人になります。申請人全員が登記義務者の立場も併せ持つので、全員が抵当権の設定の登記のときに通知された登記識別情報を提供します。「Bに対して通知された登記識別情報の提供を要しない」とする肢は誤りです。

登記原因は合意で、承諾が後なら承諾の日が日付です

登記原因は「合意」で、日付は各抵当権者が合意した日です。ただし利害関係人の承諾が効力要件なので、合意の後に承諾が得られたときは、承諾の日が登記原因の日付になります。「令和2年4月1日に各抵当権者の間でその順位を変更する合意がされた後、利害関係を有する者の承諾が令和2年4月3日に得られた場合は、令和2年4月1日合意を登記原因及びその日付として申請することができる」という肢は誤りです。順位1番と2番の抵当権者が同一人のときは、合意ではなく「変更」を登記原因にできます。

登記が効力要件で、主登記でされます

順位の変更は登記をしなければ効力を生じません。合意と承諾が揃っても、登記が完了するまでは順位は変わらないままです。変更後の順位は、既存の各抵当権の登記に付記するのではなく、新たな順位番号の主登記として記録されます。順位が変わった各抵当権の順位番号の次に、その順位変更の登記の順位番号が括弧を付して記録されます。順位の変更の登記に錯誤があれば、錯誤を登記原因として更正の登記を申請でき、そのような肢は正しい肢です。

根抵当権や1号仮登記の担保権も順位変更の当事者になれます

順位変更の対象は抵当権に限らず、根抵当権や質権など他の担保権との間でもできます。抵当権者と根抵当権者が入れ替わる順位変更は、両者が申請人となる合同申請で、権利者と義務者を分けて申請することはできません。「Cを登記権利者、Aを登記義務者として順位の変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。既に権利が発生している1号仮登記の根抵当権も順位変更の当事者になれるので、「乙区2番の仮登記を順位1番とする順位の変更の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。

不動産登記法 第89条

(抵当権の順位の変更の登記等)
抵当権の順位の変更の登記の申請は、順位を変更する当該抵当権の登記名義人が共同してしなければならない。
前項の規定は、民法第三百九十八条の十四第一項ただし書の定めがある場合の当該定めの登記の申請について準用する。

試験ではこう問われる

  1. 順位番号が動かない中間の抵当権者も申請人か(申請人になる)
  2. 誰の登記識別情報を提供するか(申請人全員)
  3. 合意後に承諾が得られたときの登記原因の日付はいつか(承諾の日)
  4. 順位の変更は登記なしで効力を生じるか(生じない)
  5. 抵当権者と根抵当権者を権利者・義務者に分けて申請できるか(できない、合同申請)

この用語が問われた肢

R8 問14 ウ誤り

甲土地について、乙区 1 番でAを、乙区 2 番でBを、乙区 3 番でCを抵当権の登記名義人とする抵当権の設定の登記がされている場合において、Cの抵当権を第 1 順位、Aの抵当権を第 3 順位とする順位の変更をするときは、A及びCのみを申請人として順位の変更の登記を申請することができる。

R2 問21 オ誤り

乙区 1 番及び乙区 2 番で設定の登記がされている各抵当権について,令和 2 年 4 月1 日に各抵当権者の間でその順位を変更する合意がされた後,当該順位の変更について利害関係を有する者の承諾が令和 2 年 4 月 3 日に得られた場合は,令和 2 年 4 月 1日合意を登記原因及びその日付として当該抵当権の順位の変更の登記を申請することができる。

R4 問15 ウ正しい

順位 1 番の抵当権の登記名義人と順位 2 番の抵当権の登記名義人が同一人である場合において、当該抵当権相互の順位の変更の登記を申請するときは、その登記の原因を「変更」とすることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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