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自己信託じこしんたく

不動産登記 第12章 信託・その他の登記 過去問で5肢

委託者が自分自身を受託者として、自分の財産を信託財産とする信託です。所有権が移らないので権利の変更の登記として主登記でされ、受託者が単独で申請する点と、登記原因証明情報・印鑑証明書の扱いが肢で突かれます。

自己信託は、委託者が自分を受託者として、自分の財産を信託財産にする信託です。信託法3条3号が定め、公正証書その他の書面または電磁的記録で意思表示をしてします。所有者が変わらないまま不動産が固有財産から信託財産に変わるので、登記は所有権の移転ではなく、所有権が信託財産となった旨の権利の変更の登記と信託の登記です。不動産登記法98条3項により、この変更の登記は受託者が単独で申請できます。肢で突かれるのは、主登記か付記登記か、効力発生を証する登記原因証明情報は何か、申請人が所有権の登記名義人なので印鑑証明書が要るかです。

不動産登記法 第98条第3項

信託法第三条第三号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記は、受託者が単独で申請することができる。

一人の人物が自分の家の模型を自分で箱に入れ、公証人が印章を押している
自己信託は所有権が移らないので、権利の変更の登記として主登記でされます
権利の変更の登記・主登記受託者の単独申請印鑑証明書が要る

自己信託の登記は権利の変更の登記で、主登記でされます

自己信託では所有権の帰属主体が変わらないので、登記の目的は所有権の移転ではなく、所有権が信託財産となった旨の権利の変更です。変更の登記であっても、登記実務では主登記でされます。「甲土地の所有権を自己信託の対象とした場合における当該所有権が信託財産となった旨の権利の変更の登記は、主登記によってされる」という肢は正しい肢で、「付記登記によってされる」という肢は誤りです。信託の登記は権利の変更の登記と同時に申請し、登記官は同じ順位番号で記録します。

受託者が単独で申請し、原因証明情報は公正証書か受益者への通知です

自己信託による権利の変更の登記は、不動産登記法98条3項により受託者が単独で申請します。委託者と受託者が同じ人なので、共同申請の形を取りようがないからです。自己信託は公正証書などでしたときはその作成時に効力が生じ、それ以外の書面でしたときは受益者となるべき者に対する確定日付のある証書による通知で効力が生じます。登記原因証明情報は、公正証書の謄本や公証人の認証を受けた書面・電磁的記録が一つの型になります。もう一つは、自己信託を設定した書面・電磁的記録と、受益者となるべき者として指定された第三者への通知がされたことを証する情報です。「Aに対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知がされたことを証する書面を提供して申請することができる」という委託者自身への通知を書いた肢は誤りです。

申請人が所有権の登記名義人なので印鑑証明書が要ります

単独申請でも、申請人は所有権の登記名義人として自分の権利に信託の拘束を加える側です。登記実務では、所有権の登記名義人が自己信託の変更の登記を申請するときは印鑑証明書を添えることとされています。「Aが単独で甲土地を自己信託の対象とする方法によってされた信託による権利の変更の登記を申請する場合には、Aの印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢は誤りです。自己信託が終了して委託者の固有財産に戻る変更の登記では受託者の印鑑証明書が要らないのと、方向が逆だと覚えます。

登記識別情報も要り、登録免許税は変更の定額に信託の分を加えます

申請人が所有権の登記名義人として権利を制限する登記なので、登記識別情報の提供も必要です。登録免許税は、権利の変更の登記の分として不動産1個につき1000円を納め、それに信託の登記の分を加えます。自己信託の後に受託者が不動産を処分したり、信託が終了したりしたときの登記は、通常の信託と同じく移転の登記や変更の登記と信託の登記の抹消を同時に申請します。自己信託は設定の場面だけが特殊で、設定後の扱いは一般の信託に戻るという整理です。

不動産登記法 第104条第2項

信託財産に属する不動産についてする次の表の上欄に掲げる場合における権利の変更の登記(第九十八条第三項の登記を除く。)については、同表の中欄に掲げる者を登記権利者とし、同表の下欄に掲げる者を登記義務者とする。この場合において、受益者(信託管理人がある場合にあっては、信託管理人。以下この項において同じ。)については、第二十二条本文の規定は、適用しない。

試験ではこう問われる

  1. 自己信託の登記は移転の登記か変更の登記か、主登記か付記登記か(権利の変更の登記で主登記)
  2. 自己信託の登記は誰が申請するか(受託者の単独申請)
  3. 登記原因証明情報は何か(公正証書等か、設定書面と受益者となるべき者への確定日付のある通知を証する情報)
  4. 申請に印鑑証明書は要るか(要る。所有権の登記名義人が申請するから)

この用語が問われた肢

R8 問24 オ正しい

甲土地の所有権を自己信託の対象とした場合における当該所有権が信託財産となった旨の権利の変更の登記は、主登記によってされる。

R6 問17 ウ誤り

Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Aが単独で甲土地を自己信託の対象とする方法によってされた信託による権利の変更の登記を申請する場合には、Aの印鑑に関する証明書を添付することを要しない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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