報告形式の登記原因証明情報ほうこくけいしきのとうきげんいんしょうめいじょうほう
契約書そのものではなく、登記の原因となった事実や法律行為の内容を申請のために書き起こし、当事者が署名または記名押印した書面です。誰が作り、何を書き、還付できるかが肢で突かれます。
報告形式の登記原因証明情報は、売買契約書や抵当権設定契約書のような原因を直接示す書面の代わりに、登記の原因となった事実や法律行為を申請のために書き起こした書面です。契約書を登記所に出したくない場合や、契約書に登記に必要な事項が揃っていない場合に使われ、登記の原因を証する情報として不動産登記令7条1項5号ロの要件を満たします。内容は当事者が申請人に報告する形をとるので報告形式と呼ばれます。肢で突かれるのは、誰が署名すべきか、公務員作成の情報が要る登記で使えるか、原本還付の対象になるかです。
不動産登記令 第7条第1項第5号登記原因を証する情報。ただし、次の(1)又は(2)に掲げる場合にあっては当該(1)又は(2)に定めるものに限るものとし、別表の登記欄に掲げる登記を申請する場合(次の(1)又は(2)に掲げる場合を除く。)にあっては同表の添付情報欄に規定するところによる。

報告書には登記の目的・原因・当事者と原因事実を書きます
報告形式の書面に記載するのは、登記の目的、登記原因とその日付、当事者、不動産の表示と、登記原因となる事実の経過です。売買なら契約の締結と代金の支払、所有権の移転時期の合意がその経過に当たります。登記官が、その事実から申請どおりの権利変動が生じたと読めることが要件です。日付の抜けや、権利変動の時期が読めない記載は補正の対象になります。
登記義務者の署名か記名押印が要り、権利者だけでは足りません
登記原因証明情報は、登記によって不利益を受ける登記義務者が原因の存在を認めていることに意味があります。登記実務では、報告形式の書面には少なくとも登記義務者が署名または記名押印することが求められ、登記権利者だけが署名した書面は認められていません。抵当権の設定なら設定者が、売買なら売主が署名し、権利者の署名は任意です。
相続や合併のように公務員作成の情報が要る登記には使えません
相続や法人の合併による登記のように、不動産登記法63条2項で単独申請ができる登記では、登記原因証明情報は市町村長や登記官などの公務員が職務上作成した情報が原則で、当事者が書き起こした報告書だけで戸籍などに代えることはできません。戸籍一式や登記事項証明書がそれに当たり、相続人が事実を書いた報告書で代えることはできません。遺産分割協議書は相続を証する情報の一部として戸籍と併せて提供する書面で、これも報告形式の代替ではありません。
申請のためだけに作った書面なので原本還付はできません
報告形式の登記原因証明情報は、その申請のためにだけ作成された書面なので、不動産登記規則55条1項ただし書により原本の還付を請求できません。契約書を原因証明情報にしたときは、原本と相違ない旨を記載した謄本を付ければ契約書の原本を返してもらえます。還付を受けたい書面があるときに報告形式を選ぶかどうかは、実務ではこの点で決まる形です。
不動産登記規則 第55条第1項書面申請をした申請人は、申請書の添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付を請求することができる。ただし、令第十六条第二項、第十八条第二項若しくは第十九条第二項又はこの省令第四十八条第三号(第五十条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第二項第三号若しくは第百五十六条の六第二項(第百五十六条の七第二項後段において準用する場合を含む。)の印鑑に関する証明書及び当該申請のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 報告形式の登記原因証明情報に何を書くか(目的・原因と日付・当事者・不動産・原因となる事実)
- 登記権利者だけが署名した報告書で足りるか(足りない。登記義務者の署名か記名押印が要る)
- 相続登記の登記原因証明情報を報告形式の書面で代えられるか(代えられない。公務員が職務上作成した情報が原則)
- 報告形式の書面は原本還付できるか(できない)
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