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登記名義人の氏名・住所の変更登記とうきめいぎにんのしめいじゅうしょのへんこうとうき

不動産登記 第6章 変更・更正・抹消 過去問で28肢

登記名義人の氏名や名称、住所が登記の後に変わったときに、登記記録の表示を現在のものに改める登記です。単独で申請できる点と、どの場合に一の申請情報でまとめられるかが肢で突かれます。

登記名義人の氏名・住所の変更登記は、所有権や抵当権の登記名義人の氏名・名称・住所が登記の後に変わったときに、登記記録の表示を現在のものに改める登記です。権利の中身は動かさず表示だけを直すので、不動産登記法64条1項により登記名義人が単独で申請でき、付記登記でされます。令和8年4月1日からは、所有権の登記名義人に限り、変更の日から2年以内にこの登記を申請する義務が不動産登記法76条の5で課されました。正当な理由なく怠ると164条2項の5万円以下の過料の対象で、施行日前の変更は令和10年3月31日が期限です。肢で突かれるのは、申請人の形、添付情報、一の申請情報でまとめられる範囲、登録免許税の4点に、この義務が加わります。

不動産登記法 第64条第1項

登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。

引っ越しの段ボールを抱えた夫婦の前で、登記所の職員が台帳の住所の札だけを貼り替えている
登記名義人の氏名・住所の変更登記は、権利の中身を動かさず表示だけを直すので名義人が単独で申請します
単独申請・登記識別情報不要住民票コードで証明情報を省略同一名義人なら一の申請情報1個1,000円・行政区画変更は非課税

登記名義人が単独で申請し、登記識別情報は要りません

氏名や住所の変更は権利の得喪ではなく、不利益を受ける登記義務者がいません。したがって不動産登記法64条1項は登記名義人の単独申請とし、登記識別情報や印鑑証明書の提供も要りません。「登記名義人の氏名についての変更の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない」という肢は誤りです。一方で、抵当権の債務者の住所の変更は登記名義人の表示ではなく抵当権の変更の登記なので、抵当権者と設定者が共同して申請します。抵当証券が発行されている場合だけは、不動産登記法64条2項により債務者が単独で申請できます。「Cは,単独で,Aを代位して,Bが住所を移転したことによる抵当権の変更の登記を申請することができる」という肢は誤りです。

登記原因証明情報は住民票コードで代えられます

添付情報は、氏名や住所の変更があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報で、自然人なら戸籍や住民票の写し、法人なら登記事項証明書です。住所の変更については不動産登記令9条と不動産登記規則36条4項により、住民票コードや会社法人等番号を申請情報の内容にすれば、登記官が変更を確認できる限り提供を省略できます。氏名の変更も登記実務では同じ扱いで、「婚姻によりAの氏が変更したことによる氏名の変更の登記は,登記原因証明情報として住民基本台帳法に規定する住民票コードを提供して申請することができる」という肢は正しい肢です。登記原因は「年月日氏名変更」「年月日住所移転」と書き、日付は変更の効力が生じた日です。養子縁組で氏が変わったときの登記原因も氏名変更で、登記原因を縁組とする肢は誤りです。

同じ名義人の変更なら複数の不動産でも一の申請情報でできます

不動産登記規則35条8号により、同じ登記所の管轄内の不動産についての二つ以上の登記が、いずれも同一の登記名義人の氏名・名称・住所の変更や更正の登記なら、一の申請情報で申請できます。氏名の更正と住所の変更を一つにまとめることもでき、「錯誤による氏名についての更正の登記と住所移転による住所についての変更の登記とは,一の申請情報によって申請することができる」という肢は正しい肢です。甲土地と乙土地で登記されている住所が違っていても、名義人が同じなら経由した住所の変更をまとめて申請できます。「Aは、甲土地及び乙土地に係る所有権の登記名義人の住所の変更の登記を、一の申請情報によって申請することができる」という肢は正しい肢です。規則35条8号は名義人が同一であることを求めているので、名義人が違えばこの号ではまとめられません。

名義人が違っても目的・原因・日付が同一なら一括できます

名義人が違う二人の住所の変更は規則35条8号には当たりません。しかし申請情報は不動産登記令4条本文のとおり登記の目的と登記原因に応じて不動産ごとに作るものです。同じ不動産について目的と原因およびその日付が同一なら一の申請情報で申請できます。共有者AとBが同じ日に同じ住所へ移転したときがこれに当たり、「A及びBは、甲土地に係る所有権の登記名義人の住所の変更の登記を、一の申請情報によって申請することができる」という肢は正しい肢です。Aが移転した後で別の日にBが同じ住所へ移ったときは原因の日付が違うので、「Aの住所についての変更の登記とBの住所についての変更の登記は一の申請情報により申請することができる」という肢は誤りです。AとBの住所を取り違えて登記した更正は、原因が一つの錯誤なので、「A及びBの各住所についての更正の登記は一の申請情報により申請することができる」という肢は正しい肢です。

行政区画の変更は非課税で、他は1個1,000円です

登録免許税は不動産1個につき1,000円で、抹消の登記と違って、20個を超えても2万円で頭打ちになる上限はありません。「一の申請情報により 20 個を超える不動産についてする錯誤による所有権の登記名義人の住所の更正の登記の登録免許税の額は, 2 万円である」という肢は誤りです。住所の更正と変更を一つの申請情報でするときも、2件分ではなく不動産1個につき1,000円で足りる扱いです。行政区画やその名称の変更で住所の表示が変わっただけなら登録免許税法上非課税で、住所を移転した後に区制の施行で表示が変わった場合も、まとめて申請すれば非課税とされています。区制施行後の住所の変更の登記について「登録免許税は,かかりません」という肢は正しい肢です。官公署が代位して嘱託するときも非課税で、「官公署が代位して,登記名義人の住所についての変更の登記を嘱託するときは,登録免許税は課されない」という肢は正しい肢です。

不動産登記規則 第35条第1項第8号

同一の登記所の管轄区域内にある一又は二以上の不動産について申請する二以上の登記が、いずれも同一の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記であるとき。

試験ではこう問われる

  1. 氏名や住所の変更の登記は単独申請か共同申請か(単独。抵当権の債務者の住所の変更は抵当権の変更の登記で共同申請。抵当証券発行時は債務者の単独)
  2. 住民票コードや会社法人等番号で変更を証する情報を省略できるか(できる)、婚姻や養子縁組で氏が変わったときの登記原因(氏名変更)
  3. 別の不動産・別の名義人の変更をまとめて申請できるか(同一名義人なら規則35条8号、別名義人は目的・原因・日付が同一のとき)
  4. 登録免許税の額と上限(1個1,000円、2万円の上限なし、行政区画の変更は非課税)
  5. 所有権の登記名義人の申請義務(令和8年4月1日施行。変更から2年以内、5万円以下の過料)

この用語が問われた肢

R7 問19 オ誤り

縁組により氏が変更した場合に申請する登記名義人の氏名の変更の登記の登記原因は、「縁組」である。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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