共用部分である旨の登記きょうようぶぶんであるむねのとうき
集会室や管理人室のように規約で共用部分とした建物について、その旨を表題部に記録する表示に関する登記です。誰が申請できるか、他の権利の登記があるときの承諾、登記後の職権抹消、規約廃止後の表題登記の期限が肢で突かれます。
共用部分である旨の登記は、区分所有法4条2項により規約で共用部分とされた建物について、共用部分である旨を建物の表題部に記録する登記です。不動産登記法58条が定め、表示に関する登記として扱われるものです。構造上当然に共用になる廊下や階段などの法定共用部分は登記の対象になりません。管理人室や集会室のように独立の建物として登記できる部分を規約で共用部分にしたときは、登記しなければ第三者に対抗できないので、この登記が要ります。登記がされると権利に関する登記は職権で抹消され、以後その建物の権利は専有部分の処分に従って動きます。
不動産登記法 第58条(共用部分である旨の登記等)
共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記に係る建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号(第三号を除く。)及び第四十四条第一項各号(第六号を除く。)に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 共用部分である旨の登記にあっては、当該共用部分である建物が当該建物の属する一棟の建物以外の一棟の建物に属する建物の区分所有者の共用に供されるものであるときは、その旨
二 団地共用部分である旨の登記にあっては、当該団地共用部分を共用すべき者の所有する建物(当該建物が区分建物であるときは、当該建物が属する一棟の建物)
共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該共用部分又は団地共用部分である建物に所有権等の登記以外の権利に関する登記があるときは、当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)の承諾があるとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者の承諾を得たときに限る。)でなければ、申請することができない。
登記官は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない。
第一項各号に掲げる登記事項についての変更の登記又は更正の登記は、当該共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の所有者以外の者は、申請することができない。
共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止した場合には、当該建物の所有者は、当該規約の廃止の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。
前項の規約を廃止した後に当該建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、当該建物の表題登記を申請しなければならない。

登記するのは規約共用部分だけです
共用部分には、廊下・階段・エレベーター室のように構造上区分所有者全員の共用に供される法定共用部分と、本来は専有部分になれる建物を規約で共用部分にした規約共用部分があります。法定共用部分は独立の建物ではないので、そもそも登記記録が作られません。規約共用部分は独立の建物として表題登記があるのが前提で、そこに共用部分である旨の登記をします。区分所有法4条2項は、規約による共用部分は登記をしなければ第三者に対抗できないと定めているので、登記が対抗要件になる珍しい表示に関する登記です。
申請人は表題部所有者か所有権の登記名義人です
共用部分である旨の登記は、不動産登記法58条2項により、その建物の表題部所有者または所有権の登記名義人しか申請できません。管理組合や他の区分所有者が代わって申請することはできませんが、不動産登記法30条により相続人その他の一般承継人は申請できます。建物に抵当権など所有権以外の権利の登記があるときは、58条3項により、その権利の登記名義人の承諾がなければ申請できません。抵当証券が発行されていれば所持人や裏書人の承諾も要ります。承諾を要するのは、次の項で見るとおり登記によってその権利の登記が職権で抹消されるからです。
登記後は所有者の表示と権利の登記が職権で抹消されます
登記官は、共用部分である旨の登記をするとき、不動産登記法58条4項と不動産登記規則141条により、職権でその建物の表題部所有者の登記または権利に関する登記を抹消します。共用部分の持分は専有部分の処分に従い、専有部分と分離して処分できないので、共用部分の建物に独立の所有権の登記や抵当権の登記を残しておく意味がないからです。登記後は、その建物について権利に関する登記を申請することはできません。共用部分である旨の登記がある建物について、どの一棟の区分所有者が共用するかなどの登記事項を変更・更正できるのも、その建物の所有者だけです。
規約廃止後一か月以内に表題登記を申請します
共用部分とする規約を廃止すると、その建物は再び専有部分として独立に処分できるようになるので、権利の登記をするための表題部を作り直す必要があります。不動産登記法58条6項により、建物の所有者は規約の廃止の日から一か月以内に表題登記を申請しなければなりません。廃止後にその建物の所有権を取得した者も、取得の日から一か月以内に表題登記を申請します。不動産登記規則143条により、この表題登記では所有者の氏名・住所と持分、敷地権があればその内容を記録すれば足り、共用部分である旨の記録には抹消する記号が記録されます。
共用部分の建物の表示は専有部分の申請情報に要りません
一棟の建物に共用部分である旨の登記がされた建物があっても、専有部分の所有権の移転の登記を申請するときに、その共用部分の種類・構造・床面積を申請情報に書く必要はありません。「当該建物が属する一棟の建物に共用部分である旨の登記がされた建物があるときは,当該共用部分である旨の登記がされた建物の種類,構造及び床面積を申請情報の内容としなければならない」という肢は誤りです。同じ趣旨で「売買を原因とする当該区分建物の所有権の移転の登記を申請するときは、当該共用部分である旨の登記のされた建物の種類、構造及び床面積を申請情報の内容としなければならない」という肢も誤りとされています。共用部分の持分は専有部分に当然に従うので、申請情報で特定しなくても移転の効力に欠けるところがないからです。
不動産登記規則 第143条第1項登記官は、共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止したことによる建物の表題登記の申請があった場合において、当該申請に基づく表題登記をするときは、当該建物の登記記録の表題部に所有者の氏名又は名称及び住所並びに所有者が二人以上であるときはその所有者ごとの持分並びに敷地権があるときはその内容を記録すれば足りる。この場合には、共用部分である旨又は団地共用部分である旨の記録を抹消する記号を記録しなければならない。
試験ではこう問われる
- 法定共用部分についても共用部分である旨の登記をするか(しない。規約共用部分だけ)
- 共用部分である旨の登記を申請できるのは誰か(表題部所有者か所有権の登記名義人。抵当権などがあれば名義人の承諾が要る)
- 登記がされると建物の所有権の登記や抵当権の登記はどうなるか(登記官が職権で抹消する)
- 規約を廃止したときの表題登記の期限は(廃止の日から一か月以内。廃止後の取得者は取得の日から一か月以内)
- 専有部分の移転登記の申請情報に共用部分の建物の表示を書くか(書かない)
この用語が問われた肢
敷地権付き区分建物が属する一棟の建物に共用部分である旨の登記がされた建物がある場合において、売買を原因とする当該区分建物の所有権の移転の登記を申請するときは、当該共用部分である旨の登記のされた建物の種類、構造及び床面積を申請情報の内容としなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。