土地の分筆と抵当権の共同担保とちのぶんぴつとていとうけんのきょうどうたんぽ
抵当権の登記がある土地を分筆すると、抵当権は分筆後の全部の土地を目的とする共同担保になり、登記官が共同担保目録を作る仕組みです。分筆後の抵当権の形、一方の土地から抵当権を外す方法、分筆後の抹消の申請の仕方が肢で突かれます。
土地の分筆と抵当権の共同担保は、所有権以外の権利の登記がある土地を分筆したときに、その権利が分筆後の各土地にどう及ぶかという論点です。登記官は分筆後の土地の登記記録に分筆前の土地の権利に関する登記を転写し、担保権については共同担保目録を作って、分筆後の全部の土地が同じ抵当権の目的であることを記録する仕組みです。抵当権者の承諾があれば、不動産登記法40条により分筆と同時に一方の土地について抵当権が消滅した旨を登記でき、分筆の後なら抵当権の一部を放棄して抹消の登記をする形です。土地の一部を売るときに買主の土地から抵当権を外す段取りが、司法書士の実務でこの論点に当たる場面でしょう。
不動産登記法 第40条(分筆に伴う権利の消滅の登記)
登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。

分筆後の全部の土地に抵当権が及び、共同担保目録が作られます
甲土地から乙土地を分筆すると、登記官は乙土地の登記記録を作り、甲土地の権利部から抵当権の登記を転写して分筆の受付年月日と受付番号を記録します。抵当権は分筆後の甲土地と乙土地の両方を目的とする共同担保になり、既に共同担保目録がなければ登記官が作成し、両土地の抵当権の登記の末尾にその記号と目録番号を記録します。所有権と担保権以外の権利は、地役権を除き、分筆後の甲土地が共にその権利の目的である旨を記録する方法で共同の関係が示されます。抵当権者が何もしなくても、分筆で担保の範囲が減ることはありません。
分筆と同時の承諾で一方の土地の抵当権を消滅させられます
分筆の登記の申請情報と併せて、抵当権者が分筆後のいずれかの土地について抵当権を消滅させることを承諾した情報を提供できます。提供があれば、登記官はその土地について抵当権が消滅した旨を登記しなければなりません。抵当権を目的とする転抵当などの第三者の登記があるときは、その第三者の承諾も併せて要ります。消滅した旨は分筆後の甲土地の抵当権の登記に付記して記録し、乙土地について消滅させたときは乙土地の登記記録に抵当権を転写しません。承役地の地役権を分筆後のいずれかの土地について消滅させる場合も、地役権者の承諾で同じ扱いになります。
分筆の後に外すなら、その土地の抵当権の抹消の登記です
分筆のときに承諾を出さなかった場合は、分筆後の乙土地について抵当権を外したければ、抵当権者を登記義務者、所有者を登記権利者として乙土地の抵当権の抹消の登記を共同で申請します。登記原因は抵当権の一部放棄や解除で、共同担保の一つの不動産についてだけ抹消する形です。分筆後の両土地について抵当権を全部抹消するときは、同じ登記所の管轄で登記原因が同じなら一の申請情報で申請できます。分筆後の土地の抵当権の登記識別情報は、分筆前の土地の抵当権の設定の登記で通知されたものを使います。
一部を買う者は代位で分筆し、抵当権を消してから移転を受けます
土地の一部を買い受けた者は、売主に代位して分筆の登記を申請できます。「Aは,Bが所有権の登記名義人である甲土地の一部を買い受けた場合において,甲土地の当該一部につきBに対してAへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定したときは,Bに代位して甲土地の分筆の登記を申請し,その後,当該判決に基づき単独で甲土地の当該一部についての所有権の移転の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。抵当権付きの土地なら、分筆と同時の承諾か分筆後の抹消で買主の土地から抵当権を外し、そのうえで移転の登記をするのが決済の順序です。
根抵当権も分筆で共同担保になり、以後は共同根抵当として扱われます
根抵当権の登記がある土地を分筆すると、根抵当権も分筆後の両土地を目的とする共同担保になり、共同担保目録が作られます。登記実務では、設定と同時に共同担保である旨の登記がされた根抵当権と同じように、分筆で共同担保となった根抵当権は共同根抵当として扱われています。分筆後の一方の土地について根抵当権を消滅させるときの承諾の扱いは、抵当権と同じです。
不動産登記規則 第102条(分筆の登記における権利部の記録方法)
登記官は、前条の場合において、乙土地の登記記録の権利部の相当区に、甲土地の登記記録から権利に関する登記(地役権の登記にあっては、乙土地に地役権が存続することとなる場合に限る。)を転写し、かつ、分筆の登記に係る申請の受付の年月日及び受付番号を記録しなければならない。この場合において、所有権及び担保権以外の権利(地役権を除く。)については分筆後の甲土地が共にその権利の目的である旨を記録し、担保権については既にその権利についての共同担保目録が作成されているときを除き共同担保目録を作成し、転写した権利の登記の末尾にその共同担保目録の記号及び目録番号を記録しなければならない。
登記官は、前項の場合において、転写する権利が担保権であり、かつ、既にその権利についての共同担保目録が作成されているときは、同項の規定により転写された乙土地に関する権利を当該共同担保目録に記録しなければならない。
登記官は、甲土地の登記記録から乙土地の登記記録に所有権以外の権利に関する登記を転写したときは、分筆後の甲土地の登記記録の当該権利に関する登記に、担保権以外の権利(地役権を除く。)については乙土地が共にその権利の目的である旨を、担保権については既にその権利についての共同担保目録が作成されているときを除き第一項の規定により作成した共同担保目録の記号及び目録番号を記録しなければならない。
試験ではこう問われる
- 抵当権の登記がある土地を分筆すると抵当権はどうなるか(分筆後の全部の土地の共同担保。共同担保目録が作られる)
- 分筆と同時に一方の土地の抵当権を消すには何が要るか(抵当権者の承諾を証する情報。転抵当権者がいればその承諾も)
- 分筆の後に一方の土地の抵当権を外すにはどうするか(その土地についての抵当権の抹消の登記を共同申請)
- 土地の一部を買った者は分筆を代位申請できるか(できる)
- 分筆で共同担保になった根抵当権はどう扱われるか(共同根抵当として扱われる)
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