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所有権移転仮登記の本登記と後順位登記の職権抹消しょゆうけんいてんかりとうきのほんとうきとこうじゅんいとうきのしょっけんまっしょう

不動産登記 第9章 仮登記と処分制限 過去問で5肢

所有権に関する仮登記の本登記をするとき、承諾した第三者の登記を登記官が職権で抹消する仕組みです。承諾が要らない第三者、判決による登記との違い、職権で消える場面の範囲が肢で突かれます。

所有権移転仮登記の本登記と後順位登記の職権抹消は、所有権に関する仮登記に基づく本登記をするときに、承諾をした登記上の利害関係を有する第三者の登記を登記官が職権で抹消する仕組みです。不動産登記法109条2項が定め、本登記の申請に承諾を証する情報を添えれば、別に抹消を申請する必要はありません。所有権は一つしか成り立たないので、仮登記の順位で所有権が確定すれば後順位の所有権や担保権は残せないからです。肢で突かれるのは、承諾が要らない第三者は誰か、判決による登記では同じことが起きるか、職権で消える場面がどこまでかという点です。

不動産登記法 第109条第2項

登記官は、前項の規定による申請に基づいて登記をするときは、職権で、同項の第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない。

職員が帳簿の空白の行に本登記を書き込みながら、後ろの行に斜線を引いている。後ろの人物が承諾の書面を渡し、買主が鍵を受け取っている
所有権の仮登記の本登記をすると、承諾した第三者の登記は登記官が職権で抹消します
承諾した第三者の登記を職権抹消仮登記名義人自身の登記は承諾不要判決による登記では起きない

承諾した第三者の登記は本登記と同時に職権で抹消されます

所有権の仮登記の本登記の申請に第三者の承諾を証する情報を添えると、登記官は本登記をするときにその第三者の登記を職権で抹消します。抹消される登記には、本登記により第三者の権利を抹消する旨と登記の年月日が記録され、抹消する記号が付けられます。不動産登記規則180条がこの記録の方法を定めています。承諾した第三者が自分で抹消を申請する必要はなく、登録免許税もかかりません。

仮登記名義人自身の後順位の登記には承諾は要りません

仮登記の後に、仮登記名義人自身を登記名義人とする根抵当権の設定の登記がされていることがあります。本登記の申請人である仮登記名義人が自分の登記の抹消に反対することは考えられないので、承諾を証する情報を提供しなくても職権で抹消されます。「当該仮登記に基づく本登記を申請するときは,根抵当権の登記名義人であるAの承諾を証する情報を提供しなくても,当該根抵当権の設定の登記は登記官の職権で抹消される」という肢は正しい肢です。

判決による移転の登記では職権抹消は起きません

仮登記をせずに所有権の移転の登記を命ずる判決を得ても、判決による登記は通常の所有権移転の登記で、後順位の抵当権を消す効力はありません。抵当権者の相続人の承諾書を添えても、登記官が抵当権の登記を職権で抹消することはなく、別に抵当権の抹消の登記を申請します。「EがCの相続人であることを証する情報及びCの抵当権の抹消についてEの承諾を証する情報を提供すれば,Cの抵当権の設定の登記は,登記官の職権で抹消されます」という肢は誤りです。職権抹消が起きるのは仮登記の順位保全効が働く本登記と、仮処分の登記のような法律が定める場面に限られます。

破産登記は売却の後も職権では抹消されません

職権で登記を抹消する場面は法律が定めるものに限られ、競売で所有権が移っても破産手続開始の登記が職権で消えることはありません。「甲不動産が担保権の実行手続によって売却され,当該売却による所有権の移転の登記がされたときは,当該破産手続開始の登記は登記官の職権で抹消される」という肢は誤りです。一方、敷地権である旨の登記をするときに、建物と土地の持分に同じ内容の抵当権の登記があれば、土地の持分の抵当権の登記は職権で抹消されます。「これらの抵当権の登記の目的,申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは,当該土地の所有権の共有持分についてされた抵当権の登記は,登記官が職権で抹消しなければならない」という肢は正しい肢です。

敷地権より前の仮登記の本登記に規約の証明は要りません

敷地権である旨の登記がされる前に土地にされた所有権移転の仮登記は、敷地権の登記の後でも本登記ができます。土地だけを処分する登記ではなく、敷地権が生じる前の順位を実現する登記だからで、分離処分を可能にする規約を証する情報は要りません。「乙土地の甲区 2 番所有権移転仮登記の本登記を申請するときは,登記原因証明情報として,乙土地について新たに分離処分可能規約を定めたことを証する情報を提供することを要する」という肢は誤りです。

不動産登記規則 第180条

(所有権に関する仮登記に基づく本登記)
登記官は、法第百九条第二項の規定により同条第一項の第三者の権利に関する登記の抹消をするときは、権利部の相当区に、本登記により第三者の権利を抹消する旨、登記の年月日及び当該権利に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 所有権の本登記で承諾した第三者の登記はどう消えるか(登記官の職権で抹消。別申請は不要)
  2. 仮登記名義人自身の後順位の根抵当権に承諾書が要るか(要らない。職権で抹消)
  3. 判決による移転登記で承諾書を添えれば抵当権は職権抹消されるか(されない。別に抹消を申請)
  4. 競売の後に破産手続開始の登記は職権で消えるか(消えない)
  5. 敷地権の登記前の仮登記の本登記に分離処分可能規約の証明が要るか(要らない)
不動産登記を肢別で解く

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