敷地権である旨の登記しきちけんであるむねのとうき
区分建物の表題部に敷地権を最初に登記するとき、登記官が職権で敷地の土地の登記記録にする、その土地の所有権や地上権が敷地権になった旨の登記です。登記官が同時に職権でする付記や抹消と、以後の土地だけの登記の制限が肢で突かれます。
敷地権である旨の登記は、登記官が区分建物の表題部に敷地権を最初に登記するとき、敷地権の目的である土地の登記記録に職権でする登記です。不動産登記法46条が定め、土地の権利部の相当区に、その土地の所有権や地上権などが敷地権である旨と、どの建物の敷地権かを記録します。土地の登記記録を見た人は、この記録によって、その土地の処分が区分建物と一体にしかできないことを知ることができます。申請ではなく職権でされること、同時に登記官が建物側と土地側で整理の登記をすること、以後は土地だけを目的とする登記が原則としてできなくなることの三つが肢の軸です。
不動産登記法 第46条(敷地権である旨の登記)
登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

申請ではなく登記官が職権でし、他管轄の土地には通知します
敷地権である旨の登記は、区分建物の表題登記や表題部の変更の登記で敷地権が最初に記録されたときに、登記官が職権でします。申請人が土地の登記記録に何かを申請するわけではありません。不動産登記規則119条により、記録する場所は土地の登記記録の権利部の相当区で、所有権が敷地権なら甲区、地上権や賃借権なら乙区です。敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄にあるときは、建物を管轄する登記所の登記官が遅滞なくその登記所に通知し、通知を受けた登記官が記録します。
同一の担保権は土地側を職権で抹消します
表題部の変更や更正で新たに敷地権の登記がされるとき、建物にすでにある一般の先取特権・質権・抵当権の登記には、建物のみに関する旨の付記登記が職権でされます。ただし建物の担保権と土地の担保権が、登記の目的・受付年月日と受付番号・登記原因とその日付のすべてで一致しているときは別です。両方が同じ債権を担保する一体の担保権と見られるので、土地側の登記を登記官が職権で抹消します。不動産登記規則123条が定める扱いで、「これらの抵当権の登記の目的,申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは,当該土地の所有権の共有持分についてされた抵当権の登記は,登記官が職権で抹消しなければならない」という肢は正しい肢です。抹消された後は、建物側の抵当権の登記が敷地権にも効力を持つ登記として一本化されます。
登記後は土地だけの移転・担保権の登記ができません
敷地権である旨の登記をした土地には、不動産登記法73条2項により、敷地権の移転の登記や敷地権を目的とする担保権の登記ができなくなります。例外は、登記原因が土地が敷地権の目的となる前に生じた仮登記・質権・抵当権と、原因が後でも分離処分が許される場合だけです。「令和 3 年 3 月 10 日設定を登記原因とする抵当権の設定の登記は,乙土地のみを目的として,申請することができる」という肢は、敷地権が生じた後の設定なので誤りです。地役権や区分地上権のような用益権の登記や、処分の制限の登記は、この制限の外にあるので土地だけを目的にできます。
前からある所有権移転仮登記の本登記は抹消が前提です
敷地権である旨の登記がされる前に土地にされていた所有権の移転の仮登記は、そのまま残ります。しかしその本登記をすると土地の所有権が区分所有者以外に移り、敷地権と両立しなくなるので、登記実務では先に敷地権である旨の登記を抹消してから本登記をする扱いになっています。「敷地権である旨の登記がされた後に当該仮登記に基づく本登記を申請するときは,その前提として,敷地権である旨の登記が抹消されていなければならない」という肢は正しい肢です。他方、本登記の登記原因証明情報として分離処分を可能にする規約を証する情報を求める肢は誤りとされ、「乙土地の甲区 2 番所有権移転仮登記の本登記を申請するときは,登記原因証明情報として,乙土地について新たに分離処分可能規約を定めたことを証する情報を提供することを要する」という肢は誤りです。抵当権設定仮登記の本登記は土地の所有権を動かさないので、旨の登記を抹消せずにできるのが違いです。
敷地権でなくなれば職権で抹消し特定登記を転写します
規約で分離処分が可能になったり、敷地権だった地上権が消滅したりして敷地権でなくなったときは、建物の表題部の変更の登記がされます。登記官はそれに伴い、不動産登記規則124条により、土地の登記記録に敷地権の変更により敷地権を抹消する旨を記録し、敷地権である旨の登記を抹消します。敷地権についてされた登記としての効力を持っていた担保権などの特定登記は、権利が残ったまま敷地権でなくなったときは、そのうえで建物の登記記録から土地の登記記録に転写されるのが原則です。不動産登記法55条により、変更の登記の申請情報と併せて特定登記の名義人の承諾を証する情報を提供すれば、転写せずにその土地について特定登記の消滅を職権で登記する道もあるのです。特定登記に係る権利を目的とする第三者の権利の登記があれば、その第三者の承諾も必要です。
不動産登記規則 第124条第1項登記官は、敷地権付き区分建物について、敷地権であった権利が敷地権でない権利となったことによる建物の表題部に関する変更の登記をしたときは、当該敷地権の目的であった土地の登記記録の権利部の相当区に敷地権の変更の登記により敷地権を抹消する旨及びその年月日を記録し、同区の敷地権である旨の登記の抹消をしなければならない。敷地権であった権利が消滅したことによる建物の表題部に関する変更の登記をしたときも、同様とする。
試験ではこう問われる
- 敷地権である旨の登記は誰がするか(登記官が職権でする。他管轄の土地には通知)
- 建物と土地に目的・受付番号・原因日付が同一の抵当権があるとき、どちらが職権で抹消されるか(土地側)
- 旨の登記の後に土地だけを目的とする抵当権設定登記ができるか(原因が敷地権発生後ならできない)
- 旨の登記の前の所有権移転仮登記の本登記に何が前提になるか(旨の登記の抹消。規約を証する情報は原因証明情報として要らない)
- 敷地権でなくなったとき特定登記はどうなるか(土地に転写。消滅承諾があれば職権で消滅の登記)
この用語が問われた肢
令和 3 年 3 月 10 日設定を登記原因とする抵当権の設定の登記は,乙土地のみを目的として,申請することができる。
敷地権である旨の登記がされた土地について、その登記がされる前に所有権の移転の仮登記がされている場合において、敷地権である旨の登記がされた後に当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提として、敷地権である旨の登記が抹消されていなければならない。
乙土地の甲区 2 番所有権移転仮登記の本登記を申請するときは,登記原因証明情報として,乙土地について新たに分離処分可能規約を定めたことを証する情報を提供することを要する。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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