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破産・再生と登記はさんさいせいととうき

不動産登記 第9章 仮登記と処分制限 過去問で14肢

破産手続開始の登記が嘱託でされ、以後は破産管財人が裁判所の許可を得て財産を処分し、根抵当権の元本が確定するといった、倒産手続が不動産登記に及ぼす効果です。管財人の添付情報、破産登記の消え方、確定の登記が肢で突かれます。

破産・再生と登記は、債務者について破産手続や民事再生手続が始まったときに不動産登記に生じる効果の総称です。個人の債務者について破産手続開始の決定がされると、その登記された不動産に裁判所書記官が破産手続開始の登記を嘱託し、以後は破産管財人が裁判所の許可を得て財産を処分する体制です。債務者や根抵当権設定者の破産は、民法398条の20第1項4号が定める根抵当権の元本の確定事由です。肢では、破産管財人の申請の添付情報、破産登記がどう消えるか、確定の登記の申請人と併せてする登記が突かれます。

不動産登記法 第93条

(根抵当権の元本の確定の登記)
民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。ただし、同項第三号又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。

空の財布を持つ家の持ち主の脇に管財人が立って家の模型と帳簿を預かり、職員が帳簿に封印の印を押し、銀行員が鎖を手に見ている
破産手続開始の登記は嘱託でされ、管財人の処分には許可書が要り、根抵当権の元本は確定します
主登記にも付記登記にも管財人の売却に登記識別情報は不要協議は許可・調停は不要確定の登記は根抵当権者が単独で併せて

破産手続開始の登記は嘱託で、主登記にも付記登記にもなります

個人の破産者が登記された不動産を持つときは、破産法258条により裁判所書記官が破産手続開始の登記を嘱託します。法人の破産は商業・法人登記に登記され、法人が所有する不動産には破産手続開始の登記はされません。破産者の所有権を目的とするなら甲区に主登記で、抵当権のような所有権以外の権利を目的とするならその登記に付記でされます。「破産手続開始の登記は,主登記によってされる場合と付記登記によってされる場合とがある」という肢は正しい肢です。民事再生手続では再生債務者が原則として管理処分権を保つので、再生手続開始の登記は不動産にはされず、処分を制限する保全処分や管理命令があったときにその登記が嘱託されます。

破産管財人の処分には許可書が要り、登記識別情報は要りません

破産管財人が破産財団に属する不動産を任意売却するときは、裁判所の許可を得て管財人が登記義務者側の申請人になります。許可があったことを証する情報を提供する代わりに、破産者に通知された登記識別情報は要りません。「Aの破産管財人Bが,破産財団に属する甲土地を裁判所の許可を得て売却し,その所有権の移転の登記を申請するときは,Aに対して通知された登記識別情報を提供することを要する」という肢は誤りです。一方、破産者の住所が登記記録と違うときは、通常の売買と同じく前提として住所の変更の登記が要ります。「Bは,当該申請をする前提として,Aの住所の変更の登記を申請しなければならない」という肢は正しい肢です。

協議には許可の証明が要り、調停調書なら要りません

相続人の一人が破産すると、遺産分割には破産管財人が加わります。協議で分けるときは破産裁判所の許可を要し、「Dが遺産分割協議に参加することについての破産裁判所の許可があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。家庭裁判所の調停調書の正本を提供して申請するときは、許可があったことを証する情報の提供は要らず、「調停調書の正本を提供して相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請するときは,Dが遺産分割調停に参加することについての破産裁判所の許可があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は誤りです。

売却の後の破産登記は職権では消えません

破産管財人の任意売却や競売で不動産が破産財団から離れても、破産手続開始の登記は登記官が職権で抹消するものではなく、裁判所書記官の嘱託で抹消します。「破産管財人が裁判所の許可を得て任意売却し,その所有権の移転の登記がされた場合には,当該破産手続開始の登記は,登記官の職権により,抹消される」という肢は誤りです。「担保権の実行手続によって売却され,当該売却による所有権の移転の登記がされたときは,当該破産手続開始の登記は登記官の職権で抹消される」という肢も誤りです。

破産による確定の登記は根抵当権者の単独申請です

債務者か根抵当権設定者の破産で元本が確定したときの確定の登記は、不動産登記法93条により根抵当権の登記名義人が単独で申請できます。ただし、その根抵当権やこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならず、一の申請情報にはまとめられません。「当該根抵当権の元本の確定の登記と当該根抵当権の代位弁済による移転の登記とは,一の申請情報によって申請することができる」という肢は誤りです。単独で申請できるのは根抵当権者で代位弁済をした者ではないので、「Cは,単独で,当該根抵当権の移転の登記の申請と併せて当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。設定者が法人のときはその不動産に破産の登記がなく、確定が登記記録上明らかでないので、債権譲渡で根抵当権を移転するには確定の登記を先にします。「Bは,当該根抵当権について元本の確定の登記を申請することなく,債権譲渡を登記原因とする根抵当権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りです。

民法 第398条第1項第4号

債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。

試験ではこう問われる

  1. 破産手続開始の登記は主登記か付記登記か(目的の権利による。所有権なら主登記)
  2. 破産管財人の任意売却に登記識別情報が要るか(要らない。裁判所の許可書を提供)
  3. 破産管財人の遺産分割で許可を証する情報が要るか(協議は要る。調停調書なら要らない)
  4. 任意売却や競売の後の破産登記は職権で抹消されるか(されない。嘱託で抹消)
  5. 破産による元本確定の登記は誰がどう申請するか(根抵当権者が単独で、取得の登記と併せて。一の申請情報は不可。個人の破産登記があれば確定は登記記録上明らか)

この用語が問われた肢

R6 問18 オ正しい

Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aの破産管財人Bが甲土地を任意売却し、所有権の移転の登記を申請する場合において、住所の変更によりAの現在の住所と登記記録上の住所とが異なるときは、Bは、当該申請をする前提として、Aの住所の変更の登記を申請しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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