仮登記の順位保全効かりとうきのじゅんいほぜんこう
仮登記に基づく本登記をしたときに、本登記の順位が仮登記の順位によるという効力です。仮登記そのものに対抗力があるか、本登記で後順位者がどう扱われるかが肢で突かれます。
仮登記の順位保全効は、仮登記に基づく本登記をしたときに、その本登記の順位が仮登記の順位によるという効力です。不動産登記法106条が定め、仮登記の後に登記された第三者の権利は、本登記がされると仮登記の順位に劣後します。仮登記そのものには権利を第三者に対抗する効力がなく、本登記をして初めて順位が働きます。肢では、仮登記だけで対抗できるか、本登記で後順位の登記がどうなるか、抹消された登記を回復するときに本登記名義人が利害関係人になるかが突かれます。
不動産登記法 第106条(仮登記に基づく本登記の順位)
仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。

仮登記自体に対抗力はなく、本登記の順位を確保するだけです
仮登記は本登記をするための順位を押さえておく登記で、仮登記の権利者は仮登記だけでは第三者に権利を主張できません。仮登記の後に所有権を取得して登記した第三者も、本登記がされるまでは有効な所有者として扱われます。本登記がされると、その順位は仮登記の順位になるので、第三者の登記は仮登記より後の登記として扱われます。順位を確保する効力だけを持ち、権利を公示する効力は本登記まで待つという二段構えです。仮登記の権利者が第三者に自分の権利を主張したければ本登記に進む必要があり、所有権の仮登記で利害関係人がいるときはその承諾も要ります。
本登記は仮登記と同じ順位番号で余白に記録されます
登記官は仮登記をしたときに、その次に同じ順位番号で本登記をするための余白を設けます。本登記は仮登記の順位番号と同じ番号を使い、余白に記録される仕組みです。不動産登記規則179条が定めるこの記録の方法が、順位保全効を登記記録の上で実現しています。保全仮登記にも同じ規定が準用されます。
後順位者は順位で劣後し、所有権の本登記なら抹消されます
抵当権の仮登記の本登記では、仮登記の後に登記された地上権や抵当権は本登記より後の順位に下がるだけなので、承諾は要りません。「Cを登記名義人とする地上権の設定の登記及びDを登記名義人とする抵当権の設定の登記がされている場合には,Bは,Aと共同して,C及びDの承諾を証する情報を提供しないで当該仮登記に基づく本登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。所有権の仮登記の本登記では、後順位の所有権や担保権は両立しないので、承諾を得たうえで職権で抹消されます。順位保全効が承諾の要否の分かれ目を作っています。
仮登記より先の登記には順位保全効は及びません
順位保全効が働くのは仮登記の後にされた登記に対してだけです。仮登記より先に登記された抵当権や差押えは、本登記がされても仮登記より先順位のまま残り、本登記名義人はそれらの負担を引き受けます。先順位の抵当権が実行されれば本登記名義人の所有権も売却で失われ、先順位の差押えがあれば売却によって本登記は効力を失います。仮登記をする前に登記記録を確かめ、先順位の負担を把握しておくことが実務上の出発点です。
抹消された差押えを回復するときは本登記名義人の承諾が要ります
仮登記より先にされた差押えの登記が抹消され、その後に仮登記の本登記がされたときは、差押えの登記を回復するのに本登記名義人の承諾が要ります。回復される差押えは本登記より先順位になるので、本登記名義人は回復によって不利益を受ける登記上の利害関係人だからです。「Bが,抹消された当該差押えの登記の回復の嘱託をするときは,Bは,Cの承諾を証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。
不動産登記規則 第179条(仮登記及び本登記の方法)
登記官は、権利部の相当区に仮登記をしたときは、その次に当該仮登記の順位番号と同一の順位番号により本登記をすることができる余白を設けなければならない。
登記官は、仮登記に基づいて本登記をするときは、当該仮登記の順位番号と同一の順位番号を用いてしなければならない。
前二項の規定は、保全仮登記について準用する。
試験ではこう問われる
- 仮登記だけで第三者に対抗できるか(できない。本登記で仮登記の順位になる)
- 本登記の順位番号はどうなるか(仮登記と同じ番号で余白に記録)
- 抵当権の仮登記の本登記に後順位者の承諾が要るか(要らない。順位で劣後するだけ)
- 仮登記より先に登記された抵当権や差押えは本登記でどうなるか(先順位のまま残る)
- 抹消された差押えの回復に仮登記の本登記名義人の承諾が要るか(要る)
この用語が問われた肢
Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Bによる滞納処分による差押えの登記がされ、次いでAからCへの所有権の移転の仮登記がされた後に、当該差押えの登記が抹消され、次いで当該仮登記に基づく本登記がされた場合において、Bが、抹消された当該差押えの登記の回復の嘱託をするときは、Bは、Cの承諾を証する情報を提供しなければならない。
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