登記名義人の氏名・名称変更(法人の商号変更・本店移転)ほうじんのしょうごうへんこうほんてんいてん
法人である登記名義人が商号を変えたり本店を移したりしたときにする名称・住所の変更登記と、自然人の氏名の変更登記です。登記原因証明情報を何で代えられるか、相続財産法人の名義にする氏名変更の扱いが肢で突かれます。
法人の商号変更・本店移転による登記名義人の名称・住所の変更登記は、法人が登記名義人である不動産について、商業登記で商号や本店が変わった後に登記記録の表示を合わせる登記です。自然人の婚姻や養子縁組による氏の変更と同じく、不動産登記法64条1項により登記名義人が単独で申請し、付記登記でされるものです。法人は変更の事実が商業登記で公示されているので、登記原因証明情報は登記事項証明書で、会社法人等番号を提供すれば省略できます。氏名の変更の仲間として、相続人が不存在で相続財産法人が成立したときに名義を相続財産法人に改める氏名変更の登記もここに入ります。肢では、添付情報の代替、登記原因の書き方、相続財産法人の名義変更の扱いが突かれます。
不動産登記法 第64条第1項登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。

商号変更の原因証明は登記事項証明書で、議事録ではありません
法人の商号や本店の変更は商業登記で効力が公示されるので、不動産登記の変更の登記原因証明情報は、変更の経緯が記載された登記事項証明書です。株主総会で商号変更を決議しただけでは商業登記が済んでいない可能性があり、議事録は登記原因証明情報として扱われません。「株式会社がその商号変更を登記原因とする所有権の登記名義人の名称の変更の登記を申請する場合は,登記原因証明情報として当該商号変更を決議した株主総会議事録を提供して申請することができる」という肢は誤りです。会社法人等番号を申請情報の内容とすれば、登記官が商業登記の情報を確認できるので、登記事項証明書の提供を省略できます。登記原因は「年月日商号変更」「年月日本店移転」で、日付は定款変更による商号の変更や本店の移転の効力が生じた日であって、商業登記がされた日ではありません。
氏名や名称の変更は単独申請で、縁組も原因は氏名変更です
氏名や名称の変更の登記には登記義務者がいないので、不動産登記法64条1項により登記名義人が単独で申請します。「登記名義人の氏名についての変更の登記は、登記権利者及び登記義務者が共同して申請しなければならない」という肢は誤りです。養子縁組で氏が変わったときの登記原因は、縁組という身分行為の名前ではなく「年月日氏名変更」と書き、縁組を登記原因とする肢は誤りです。婚姻や離婚で氏が変わったときも同じで、原因の日付は氏が変わった日になります。登記原因証明情報は戸籍の記載事項証明書です。不動産登記令9条と規則36条4項が住民票コードによる省略を認めているのは住所を証する情報ですが、氏名の変更についても住民票コードを提供して申請できるのが登記実務の扱いです。
相続財産法人の名義にするのも氏名の変更の登記です
所有権の登記名義人が死亡して相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人となり、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します。登記記録の名義を「亡A相続財産」に改める登記は、相続による移転ではなく、登記名義人の氏名の変更の登記として相続財産清算人が申請します。登記原因証明情報は清算人の選任の審判書で、審判書の記載から相続人不存在による選任であることと死亡の年月日が分かれば、戸籍の提供は要りません。「その添付情報として,Aの相続を証する戸籍謄本を提供することは要しない」という肢は正しい肢です。令和5年4月1日施行の民法改正で、相続財産管理人は相続財産清算人と呼ばれるようになり、古い肢では相続財産管理人と書かれています。
相続財産法人の後の持分の移転先も問われます
相続財産法人の名義にした後、相続人の不存在が確定して特別縁故者が家庭裁判所の審判で持分の分与を受けたときは、審判に基づいて特別縁故者が単独で移転の登記を申請できます。「Cは,その審判に基づき,単独でAの持分の移転の登記の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。特別縁故者もいないときは持分が他の共有者に帰属しますが、登記原因「特別縁故者不存在確定」による移転の登記は共同申請で、「Bが単独で申請することはできない」という肢は正しい肢です。反対に、他の共有者が持分を放棄したときの相続財産法人への持分の移転は、放棄した共有者と清算人の共同申請で、「Aの相続財産管理人は,単独でBからAの相続財産法人へのBの持分の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りです。
不動産登記規則 第36条第4項令第九条の法務省令で定める情報は、住民票コード(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第七条第十三号に規定する住民票コードをいう。)又は会社法人等番号(商業登記法第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下同じ。)とする。ただし、住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する情報を提供しなければならないものとされている場合にあっては、当該住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを確認することができることとなるものに限る。
試験ではこう問われる
- 商号変更の登記原因証明情報(登記事項証明書。議事録は不可。会社法人等番号で省略)
- 氏名・名称の変更の申請人(名義人の単独申請)
- 養子縁組や婚姻による氏の変更の登記原因(氏名変更)
- 相続財産法人の名義にする登記の性質(氏名の変更。清算人が申請。審判書で戸籍を省略)
- 相続財産法人の後の持分の移転(特別縁故者は単独、他の共有者への帰属は共同申請)
この用語が問われた肢
株式会社がその商号変更を登記原因とする所有権の登記名義人の名称の変更の登記を申請する場合は,登記原因証明情報として当該商号変更を決議した株主総会議事録を提供して申請することができる。
縁組により氏が変更した場合に申請する登記名義人の氏名の変更の登記の登記原因は、「縁組」である。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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