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抹消回復登記まっしょうかいふくとうき

不動産登記 第6章 変更・更正・抹消 過去問で18肢

不適法に抹消された権利の登記を、抹消前の順位と内容のまま登記記録に戻す登記です。登記義務者が抹消当時の当事者ではなく現在の名義人になる点と、利害関係人の範囲、登録免許税が肢で突かれます。

抹消回復登記は、権利が消滅していないのに錯誤や無効な解除で抹消されてしまった登記を、抹消前の順位と内容のまま登記記録に復活させる登記です。不動産登記法72条により、登記上の利害関係を有する第三者がいるときはその承諾がなければ申請できません。登記官は回復の登記をした後、抹消された登記と同一の登記を改めて記録します。適法に抹消された登記は回復できず、権利が実体として存在していることが前提です。肢で突かれるのは、申請人の組合せ、利害関係人の範囲、添付情報、登録免許税の4点です。

不動産登記法 第72条

(抹消された登記の回復)
抹消された登記(権利に関する登記に限る。)の回復は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の回復につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

職員が取り消し線の引かれた一行の上に同じ一行を書き戻し、現在の家の持ち主が承諾の印を差し出す
抹消回復登記は不適法に抹消された登記を元の順位で戻す登記で、登記義務者は現在の所有権の登記名義人です
義務者は回復で不利益を受ける現在の名義人抹消前からの後順位者も利害関係人印鑑証明書が要る1個1,000円・一部抹消の回復は付記

登記義務者は回復で不利益を受ける現在の名義人です

回復の登記の登記権利者は抹消された権利の登記名義人で、登記義務者は回復によって登記上直接に不利益を受ける現在の登記名義人です。所有権を目的とする抵当権や地上権の設定の登記の回復なら現在の所有権の登記名義人が義務者で、抹消後に所有権が移転していれば、抹消当時の所有者ではなく現在の所有者が義務者になります。「Bを登記権利者とし、Aを登記義務者として当該申請をしなければならない」という肢は誤りで、Aから所有権を取得したCが登記義務者になります。反対に、抹消後に土地を買い受けたと主張する人が現れても、その人への移転の登記がされていなければ登記義務者にはなりません。「その旨のAからDへの所有権の移転の登記がされない限り,Dは,本件申請における登記義務者とはならない」という肢は正しい肢です。

抹消前から登記されていた後順位者も利害関係人です

回復によって順位が下がる人や担保の価値が下がる人が登記上の利害関係を有する第三者で、承諾を証する情報かその人に対抗できる裁判があったことを証する情報が要ります。抹消の後に登記を受けた人だけでなく、抹消の前から設定の登記がされていた後順位の抵当権者も含まれるのが登記実務の扱いです。「当該後順位抵当権の登記名義人の承諾を証する情報又は当該後順位抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要しない」という肢は誤りです。差押えの登記が抹消された後に仮登記に基づく本登記がされた場合に差押えの回復を嘱託するときも、本登記の名義人の承諾が要ります。「Bは、Cの承諾を証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。

所有権の登記名義人が義務者なので印鑑証明書が要ります

回復の登記は共同申請で、所有権を目的とする権利の回復では登記義務者が所有権の登記名義人なので、書面申請では登記義務者の印鑑証明書が要ります。「登記権利者及び登記義務者が書面申請の方法により共同して本件申請をする場合には,登記義務者の印鑑に関する証明書を添付情報として提供することを要しない」という肢は誤りに当たります。地上権の設定の登記の回復を共同で申請するときも同じで、「所有権を目的とする地上権の設定の登記の回復を申請する場合において,登記権利者と登記義務者とが共同して申請するときは,登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない」という肢は誤りです。申請情報には回復する登記の登記事項をすべて書かなければならず、「賃借権の設定の登記の回復を申請するときには,当該賃借権の設定の登記の登記事項を申請情報の内容としなければならない」という肢は正しい肢です。回復の登記が完了しても、申請人が新たに登記名義人になるわけではないので登記識別情報は通知されず、「当該回復の申請人であるAに対して登記識別情報が通知される」という肢は誤りです。

登記の形は主登記で、一部抹消の回復だけ付記です

登記全体が抹消された場合の回復は主登記でされ、登記官はまず回復の登記をし、続けて抹消された登記と同一の登記を記録します。登記事項の一部だけが抹消されていた場合の回復は、不動産登記規則3条4号により付記登記です。「地上権の変更の登記により抹消された地代の定めの回復の登記は,付記登記によってされる」という肢は正しい肢で、「登記事項の一部が抹消されている場合においてする抹消された登記の回復は、主登記によってされる」という肢は誤りに当たります。回復される登記は抹消前の順位番号で記録されるので、新しい順位番号を取って設定の登記がされるとする肢は誤りになります。

登録免許税は不動産1個につき1,000円です

回復の登記の登録免許税は、回復する権利の種類にかかわらず不動産1個につき1,000円です。「所有権の登記を回復する登記の登録免許税は,不動産 1 個につき 1000 円である」という肢は正しい肢で、債権額に税率を掛ける「債権額を 1000 万円とする抵当権の設定の登記を回復する登記の登録免許税の額は、4 万円である」という肢は誤りです。適法に抹消された登記は回復できないので、弁済前に抵当権設定契約を合意解除して抹消したときは、「A及びBは、抵当権の設定の登記の回復の申請をすることはできない」という肢は正しい肢です。

不動産登記規則 第155条

(抹消された登記の回復)
登記官は、抹消された登記の回復をするときは、回復の登記をした後、抹消に係る登記と同一の登記をしなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 登記義務者は誰か(回復で不利益を受ける現在の名義人。所有権を目的とする権利なら現在の所有権の登記名義人で、抹消当時の当事者ではない)
  2. 利害関係人の範囲(抹消後の登記名義人に加え、抹消前からの後順位者も)
  3. 添付情報(印鑑証明書が要る。回復する登記事項を申請情報に書く。登記識別情報は通知されない)
  4. 登記の形(主登記で回復し同一の登記を記録。一部抹消の回復は付記)
  5. 登録免許税(1個1,000円。設定の税率ではない)

この用語が問われた肢

R6 問23 エ誤り

Aが所有権の登記名義人であり、Bが抵当権の登記名義人である甲土地について、AB間の抵当権設定契約の解除を原因として抵当権の設定の登記の抹消がされ、その後、AからCへの所有権の移転の登記がされた場合において、当該抵当権の設定の登記の回復の申請をするときは、Bを登記権利者とし、Aを登記義務者として当該申請をしなければならない。

R6 問23 ア正しい

Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Bによる滞納処分による差押えの登記がされ、次いでAからCへの所有権の移転の仮登記がされた後に、当該差押えの登記が抹消され、次いで当該仮登記に基づく本登記がされた場合において、Bが、抹消された当該差押えの登記の回復の嘱託をするときは、Bは、Cの承諾を証する情報を提供しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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