印鑑証明書が不要な場合いんかんしょうめいしょがふようなばあい
申請書や委任状に押印した者の印鑑証明書を添付しなくてよい、不動産登記規則47条から49条までに列挙された場合です。所有権の登記名義人が義務者でも要らない場面と、名義人でなくても要る場面が肢で突かれます。
印鑑証明書が不要な場合は、書面申請で申請書や委任状に押印した者の印鑑証明書を添付しなくてよい場面で、不動産登記規則47条から49条までが列挙しています。印鑑証明書が要るのは、所有権の登記名義人が登記義務者になる申請や登記識別情報を提供できない申請など、規則47条3号イからニまでに当たる場合です。それ以外の申請人は印鑑証明書が要らず、申請書に署名すれば記名押印も省けます。押印が要る場合でも、会社法人等番号を提供した法人で登記官が印鑑証明書を作成できるときや、公証人の認証を受けた書面のときは添付が免除されます。肢で突かれるのは、所有権の登記名義人が申請人に含まれるかどうかの見分けと、免除の類型の適用範囲です。
不動産登記規則 第48条(申請書に印鑑証明書の添付を要しない場合)
令第十六条第二項の法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 法人の代表者又は代理人が記名押印した者である場合において、その会社法人等番号を申請情報の内容としたとき。ただし、登記官が記名押印した者の印鑑に関する証明書を作成することが可能である場合に限る。
二 申請人又はその代表者若しくは代理人が記名押印した申請書について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けた場合
三 裁判所によって選任された者がその職務上行う申請の申請書に押印した印鑑に関する証明書であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成したものが添付されている場合
四 申請人が前条第三号ホに掲げる者に該当する場合(同号イ(6)に掲げる者に該当する場合を除く。)
五 申請人が前条第三号イからニまでに掲げる者のいずれにも該当しない場合(前号に掲げる場合を除く。)

所有権の登記名義人が義務者として押印する申請には要ります
所有権の登記名義人が登記義務者になる申請では、その名義人の押印と印鑑証明書が要ります。共有者全員でする共有物分割禁止の定めの変更は、共有者の全員が権利者兼義務者として申請するので、「当該登記名義人の全員の印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢は誤りで、「A及びBの印鑑に関する証明書を添付することを要する」という肢は正しい肢です。一般の先取特権の保存の登記でも所有権の登記名義人が義務者になるので要り、「当該使用者の印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢は誤りです。抹消された所有権移転の回復や、共同申請による根抵当権の回復でも、所有権の登記名義人が義務者なので印鑑証明書が要ります。自己信託による権利の変更の登記も、所有権の登記名義人が自分の権利を信託財産にする申請なので印鑑証明書が要り、「Aの印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢は誤りです。
所有権の名義人でなければ識別情報を出す限り要りません
所有権以外の権利の登記名義人が義務者になる申請では、登記識別情報を提供していれば印鑑証明書は要りません。質権の債務者を変更する登記は設定者である所有権の登記名義人が義務者ですが、担保権の債務者の変更は規則47条3号が印鑑証明書の対象から外しているので、登記識別情報を提供していれば印鑑証明書が要らず、「Aの印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。所有権以外の権利の登記名義人が登記識別情報を提供できないときは、押印と印鑑証明書が要ります。
会社法人等番号の提供や公証人の認証があれば添付が免除されます
法人の代表者が押印し会社法人等番号を提供した場合で、登記官がその印鑑証明書を作成できるときは、添付を要しません。「登記官がその押印に係る印鑑に関する証明書を作成することができるときは、当該申請書には当該印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。申請書や委任状に公証人の認証を受けたときも添付が免除されます。裁判所が選任した管理人などが職務上する申請で、裁判所書記官が作成した印鑑証明書を添付した場合も、市町村長の印鑑証明書は要りません。
嘱託と、義務者の押印が要らない単独申請には要りません
官公署が嘱託するときは嘱託書に押印した者の印鑑証明書が要らず、「その嘱託情報に記名押印した者に係る印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。自己信託の終了で受託者の固有財産に戻す登記は受託者が単独で申請し、「受託者の印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢も正しい肢に当たります。登記識別情報の失効の申出は申出人の本人確認が要るので、申出書には印鑑証明書を添付し、「添付する必要はありません」という解答は誤りです。仮登記義務者の承諾を証する情報として公正証書の正本を提供して仮登記権利者が単独申請するときは、承諾書に添えるべき印鑑証明書が公正証書で代替されます。義務者の印鑑証明書を添付しなければならないとする肢は誤りになります。
所有権保存の抹消のように単独申請でも要る場面があります
登記の申請を取り下げる書面には、申請書に押したのと同じ印鑑を押します。取下書に押した印鑑が申請書と同じであれば印鑑証明書を重ねて添える必要はなく、「当該申請を取り下げる旨の情報を記載した書面にA及びBの印鑑に関する証明書を添付することを要する」という肢は誤りです。所有権の保存の登記の抹消は登記名義人が単独で申請しますが、所有権の登記名義人がする申請なので押印と印鑑証明書が要り、「Aの印鑑に関する証明書を添付することを要する」という肢は正しい肢です。単独申請かどうかではなく、所有権の登記名義人が自分の所有権を失う申請かどうかで判断します。
不動産登記規則 第47条(申請書に記名押印を要しない場合)
令第十六条第一項の法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 委任による代理人が申請書に署名した場合
二 申請人又はその代表者若しくは代理人が署名した申請書について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けた場合
三 申請人が次に掲げる者のいずれにも該当せず、かつ、当該申請人又はその代表者若しくは代理人が申請書に署名した場合(前号に掲げる場合を除く。)
イ 所有権の登記名義人(所有権に関する仮登記の登記名義人を含む。)であって、次に掲げる登記を申請するもの
ロ 所有権の登記名義人であって、法第二十二条ただし書の規定により登記識別情報を提供することなく担保権(根抵当権及び根質権を除く。)の債務者に関する変更の登記又は更正の登記を申請するもの
ハ 所有権以外の権利の登記名義人であって、法第二十二条ただし書の規定により登記識別情報を提供することなく当該登記名義人が登記義務者となる権利に関する登記を申請するもの
ニ 所有権以外の権利の登記名義人であって、法第二十二条ただし書の規定により登記識別情報を提供することなく当該登記名義人が信託法第三条第三号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記を申請するもの
ホ 法第二十一条本文の規定により登記識別情報の通知を受けることとなる申請人
試験ではこう問われる
- 共有物分割禁止の定めの変更の登記に共有者全員の印鑑証明書は要るか(要る)
- 質権の債務者変更で登記識別情報を提供した設定者の印鑑証明書は要るか(要らない)
- 会社法人等番号を提供した法人の印鑑証明書は要るか(登記官が作成できるときは要らない)
- 官公署の嘱託書に押印した者の印鑑証明書は要るか(要らない)
- 所有権保存の登記の抹消に登記名義人の印鑑証明書は要るか(要る)
この用語が問われた肢
A及びBが所有権の登記名義人である甲土地について、共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記を申請する場合には、A及びBの印鑑に関する証明書を添付することを要する。
自然人であるAからBへの所有権の移転の登記がされてBが所有権の登記名義人となった甲土地について、当該所有権の移転の登記が抹消され、その後、当該所有権の移転の登記の回復を申請する場合には、Aの印鑑に関する証明書の提供を要しない。
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