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共同根抵当きょうどうねていとう

不動産登記 第7章 抵当権と根抵当権 過去問で5肢

同一の債権を担保するために数個の不動産に根抵当権を設定し、その旨を設定と同時に登記したものです。共同抵当の割付けの規定が適用される代わりに、変更や追加設定で全物件の一致が求められる点が肢で突かれます。

共同根抵当は、同一の債権の担保として数個の不動産に根抵当権を設定し、その設定と同時に共同担保である旨の登記をした根抵当権です。普通抵当権と違い、根抵当権は被担保債権が入れ替わる枠なので、登記で結び付けた場合だけ共同担保として扱い、登記をしなければ物件ごとに別々の根抵当権(累積式)です。共同根抵当にすると配当の割付けや代位の規定が及ぶ代わりに、極度額や債権の範囲、債務者の変更は全物件で揃えなければなりません。元本の確定事由が一個の不動産に生じれば全体が確定し、確定後の減額請求や消滅請求は一個の不動産についてすれば足ります。肢では、追加設定の要件と、確定後に一個の不動産ですれば足りる手続がどれかが問われます。

民法 第398条の16

(共同根抵当)
第三百九十二条及び第三百九十三条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。

二軒の家の模型を一本の帯で結ぶ銀行員と、それを見守る家の持ち主の夫婦
共同根抵当は、設定と同時に共同担保である旨を登記した根抵当権です
設定と同時に共同担保の登記追加設定は債権の範囲・債務者・極度額が同一確定後の減額請求・消滅請求は一個で足りる

追加設定は債権の範囲・債務者・極度額が同一でないとできません

既に根抵当権の設定の登記がある不動産に、別の不動産を加えて共同根抵当とするには、その根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者および極度額が既存の登記と同一でなければなりません。同一かどうかは登記記録の記載で判断するので、債務者の住所が行政区画の変更で変わっただけなら、地番の変更を伴わない限り、住所の変更の登記をしなくても追加設定の登記を申請できます。「Bの住所について地番変更を伴わない行政区画の変更がされた場合には、乙土地について甲土地と共同根抵当とする根抵当権の設定の登記の前提として、甲土地についてBの住所の変更の登記を申請することを要しない」という肢は正しい肢です。

元本が確定した根抵当権には追加設定できません

共同根抵当の追加設定は、既存の根抵当権が元本の確定前であることが前提です。唯一の債務者について相続が開始し、相続の開始後6か月以内に指定債務者の合意の登記がされなかったときは、担保すべき元本は相続開始の時に確定したものとみなされます。登記実務では、債務者が複数のときは一人について相続が開始しただけでは根抵当権全体の元本は確定しないと扱われています。確定した根抵当権は新しい債権を担保しないので、その後に追加設定契約を結んでも、共同根抵当とする設定の登記は申請できません。「6か月以内に指定債務者の合意の登記がされなかった場合には、その後に締結された根抵当権の追加設定契約に基づき、乙土地について甲土地と共同根抵当とする根抵当権の設定の登記を申請することはできない」という肢は正しい肢です。

極度額の変更は全物件について一の申請情報でできます

共同根抵当の極度額を変更するときは、全物件について同じ変更をしなければならず、利害関係人の承諾も物件ごとに要ります。承諾の日が物件ごとに違えば登記原因の日付は物件ごとに異なりますが、同一の登記所の管轄内であれば一の申請情報で申請できます。「極度額を変更する契約の締結日の翌日に甲土地の利害関係人が承諾し、更にその翌日に乙土地の利害関係人が承諾したときは、当該根抵当権の変更の登記の申請は、一の申請情報ですることができない」という肢は誤りです。日付が違っても一括申請を妨げません。

確定後の減額請求と消滅請求は一個の不動産で足ります

元本の確定後に根抵当権設定者がする極度額の減額請求は、共同根抵当ではそのうちの一個の不動産についてすれば足り、効果は全物件に及びます。消滅請求も一個の不動産について請求があれば根抵当権全体が消滅します。したがって甲土地についてのみ減額請求がされた場合でも、乙土地についての減額の登記は、その請求がされた日を登記原因の日付として申請できます。「甲土地についてのみAによる極度額の減額請求がされ、登記上の利害関係人が存しないときは、当該極度額の減額請求がされた日を登記原因の日付として、乙土地についての根抵当権の変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。

民法 第398条の21

(根抵当権の極度額の減額請求)
元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。

試験ではこう問われる

  1. 共同根抵当になるのはどんな場合か(設定と同時に共同担保である旨を登記した場合)
  2. 追加設定に債務者の住所変更の登記は前提として要るか(行政区画の変更だけなら要らない)
  3. 元本確定後に共同根抵当の追加設定はできるか(できない)
  4. 極度額の変更は物件ごとに承諾日が違っても一括申請できるか(できる)
  5. 確定後の減額請求・消滅請求は何個の不動産にすれば足りるか(一個)

この用語が問われた肢

R6 問22 オ正しい

Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを債務者とする根抵当権の設定の登記がされた後、Bの住所について地番変更を伴わない行政区画の変更がされた場合には、乙土地について甲土地と共同根抵当とする根抵当権の設定の登記の前提として、甲土地についてBの住所の変更の登記を申請することを要しない。

R8 問23 エ正しい

甲土地について設定の登記がされた元本の確定前の根抵当権の唯一の債務者について相続が開始し、 6 か月以内に指定債務者の合意の登記がされなかった場合には、その後に締結された根抵当権の追加設定契約に基づき、乙土地について甲土地と共同根抵当とする根抵当権の設定の登記を申請することはできない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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