課税標準(不動産の価額)かぜいひょうじゅん
登録免許税の税率を乗じる土台となる金額で、所有権や用益権の登記では不動産の価額、担保権の登記では債権金額や極度額です。持分や一部移転、更正のときに何を課税標準にするかが肢で突かれます。
課税標準は、登録免許税額を計算するときに税率を乗じる金額です。所有権や地上権などの不動産に関する権利の登記では不動産の価額で、登録免許税法10条の登記のときの価額によりつつ、附則で当分の間は固定資産課税台帳の価格を基礎にします。持分の移転なら価額に持分の割合を乗じた額、敷地権付き区分建物なら建物の価額に土地の価額に敷地権の割合を乗じた額を加えます。抵当権なら債権金額、根抵当権なら極度額が課税標準です。肢で突かれるのは、一部移転や更正、根抵当権の一部譲渡のように課税標準が増加分や按分になる場面です。
不動産登記規則 第190条第1項登記官は、申請情報の内容とされた課税標準の金額を相当でないと認めるときは、申請人に対し、登記官が認定した課税標準の金額を適宜の方法により告知しなければならない。

不動産の価額は固定資産課税台帳の価格を基礎にします
不動産の価額は登記のときの時価が原則ですが、登録免許税法の附則により、当分の間は市町村の固定資産課税台帳に登録された価格を基礎にした額です。台帳に価格がない新築の建物や分筆直後の土地は、登記所が定めた基準で認定します。申請人が書いた課税標準の金額を登記官が相当でないと認めたときは、不動産登記規則190条により登記官が認定した金額を告知し、書面申請なら申請書にその金額を記載します。課税標準の金額は1000円未満を切り捨て、全額が1000円に満たないときは1000円とし、税額は100円未満を切り捨てて、定率の登記の最低額は原則として1000円です。
持分の移転は価額に持分を乗じ、更正は増加分が課税標準です
所有権の持分を移すときの課税標準は、不動産の価額に移転する持分の割合を乗じた額です。すでにされた一部移転の登記を全部移転に更正するときは、更正によって増える持分の価額が課税標準になります。「AからBに 2 分の 1 の持分を移転した旨の所有権の一部移転の登記がされている場合において、当該登記を所有権の全部の移転の登記とする所有権の更正の登記の登録免許税の額は、10 万円である」という肢は、価額1000万円の残り2分の1に売買の本則の税率を乗じた額なので正しい肢です。共有物分割による持分の移転では、持分の価額に相当する部分だけが共有物分割の軽い税率で、それを超える部分は売買などと同じ税率になります。
担保権は債権金額か極度額が課税標準で、抹消には使いません
抵当権の設定の登記の課税標準は債権金額、根抵当権の設定の登記の課税標準は極度額です。利息や損害金は課税標準に含めません。抹消の登記は不動産の個数による定額なので、債権金額は使いません。「抵当権の抹消の登記の登録免許税は、債権金額を課税標準として算出する」という肢は誤りです。抵当権の移転の登記も債権金額が課税標準で、一部移転なら移転する債権の額です。
根抵当権の一部譲渡は極度額を譲渡後の共有者の数で割った額です
根抵当権の一部譲渡で譲受人が根抵当権者に加わるときは、極度額を譲渡後の共有者の数で割った額が課税標準になります。「根抵当権者をA及びBとする極度額 1500 万円の元本の確定前の根抵当権について、A及びBが当該根抵当権をCに一部譲渡した場合の根抵当権の一部移転の登記の登録免許税の額は、1 万円である」という肢は、1500万円を3で割った500万円に移転の税率を乗じた額なので正しい肢です。分割譲渡は分割した極度額が、全部譲渡は極度額の全部が課税標準になります。
用益権の設定と仮登記も不動産の価額が課税標準です
地上権・永小作権・賃借権・配偶者居住権の設定の登記は、不動産の価額を課税標準にして用益権の税率を乗じます。「賃借権の転貸の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 10 を乗じた額である」という肢は正しい肢です。所有権や用益権の仮登記は本登記と同じ課税標準で、税率が本登記の半分になりますが、抵当権の設定の仮登記などそれ以外の仮登記は不動産1個につき1000円の定額です。「配偶者居住権の設定の仮登記の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の 1 を乗じた額である」という肢は正しい肢です。
不動産登記規則 第189条第6項登記官の認定した課税標準の金額が申請情報の内容とされた課税標準の金額による税額を超える場合において、申請人がその差額を納付するときは、差額として納付する旨も申請情報の内容として追加しなければならない。
試験ではこう問われる
- 不動産の価額は何を基礎にするか(固定資産課税台帳の価格)
- 一部移転の登記を全部移転に更正するときの課税標準は何か(増える持分の価額)
- 抵当権の抹消の登記の課税標準は債権金額か(違う。不動産の個数による定額)
- 根抵当権の一部譲渡の課税標準は何か(極度額を譲渡後の共有者の数で割った額)
- 仮登記の課税標準と税率は本登記とどう違うか(所有権・用益権の仮登記は課税標準が同じで税率は半分。抵当権設定の仮登記などは1個1000円)
この用語が問われた肢
Aが所有権の登記名義人である不動産の価額が 1000 万円の甲土地について、売買を登記原因として、AからBに 2 分の 1 の持分を移転した旨の所有権の一部移転の登記がされている場合において、当該登記を所有権の全部の移転の登記とする所有権の更正の登記の登録免許税の額は、10 万円である。
根抵当権者をA及びBとする極度額 1500 万円の元本の確定前の根抵当権について、A及びBが当該根抵当権をCに一部譲渡した場合の根抵当権の一部移転の登記の登録免許税の額は、1 万円である。
賃借権の転貸の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 10 を乗じた額である。
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