極度額きょくどがく
根抵当権が優先弁済を受けられる上限の金額で、元本だけでなく利息や損害金もこの枠の中で担保されます。登録免許税の課税標準になる点と、変更に利害関係人の承諾が要る点が肢の軸です。
極度額は、根抵当権者が優先弁済を受けられる金額の上限です。根抵当権は不特定の債権を担保して元本の額が決まっていないので、代わりに極度額を定め、確定した元本と利息、損害金の全部をその限度で担保します。通常の抵当権では利息や損害金は満期となった最後の2年分に限られますが、根抵当権にはこの制限がなく、極度額の枠がその役目を果たします。極度額は根抵当権の必須の登記事項で、設定の登記の登録免許税の課税標準にもなります。肢では、変更のときの承諾と登記の形、譲渡や減額請求のときの計算が問われます。
民法 第398条の3(根抵当権の被担保債権の範囲)
根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。

利息や損害金も極度額の枠の中で全部担保されます
根抵当権者は、確定した元本、利息その他の定期金、債務不履行による損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できます。抵当権のように利息を最後の2年分に限る規定は適用されません。元本と利息の合計が極度額を超えれば、超えた分は無担保債権になります。物上保証人や第三取得者から見れば、確定後に極度額を払えば根抵当権を消せるということでもあり、消滅請求の基準になります。
極度額は登録免許税の課税標準です
根抵当権の設定の登記の登録免許税は、極度額の1000分の4です。移転の登記では極度額の1000分の2(相続や合併による移転は1000分の1)で、一部譲渡による一部移転の登記では、極度額を一部譲渡後の共有者の数で割った額が課税標準になります。「根抵当権者をA及びBとする極度額1500万円の元本の確定前の根抵当権について、A及びBが当該根抵当権をCに一部譲渡した場合の根抵当権の一部移転の登記の登録免許税の額は、1万円である」という肢は正しい肢で、1500万円を3で割った500万円の1000分の2です。分割譲渡では、分割して譲り渡す根抵当権の極度額が課税標準になります。
極度額の変更は承諾が効力要件で、必ず付記登記です
極度額の変更は、後順位の担保権者などの利害関係を有する者の承諾を得なければ効力を生じません。承諾が効力要件なので、利害関係人がいるのに承諾書を提供しない申請は却下され、主登記でする余地はなく、利害関係人がいなければ承諾書なしで付記登記です。「根抵当権の極度額の変更の登記は、主登記によってされる場合と付記登記によってされる場合とがある」という肢は誤りです。増額の変更では後順位の担保権者が利害関係人になり、「乙区4番の根抵当権の極度額を増額する旨の変更の登記を申請する場合、Jは、登記上の利害関係を有する第三者に該当する」という肢は正しい肢です。順位の変更で先順位に上がった担保権者は増額で害されないので、承諾は要りません。契約の後に承諾がされたときは、承諾の日が登記原因の日付です。
確定後は減額請求と消滅請求の基準になります
元本の確定後、設定者は極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生じる利息・損害金の額を合わせた額まで減額するよう請求できます。共同根抵当ではそのうち一つの不動産について請求すれば足り、他の不動産にも同じ日付で変更の登記を申請できます。「甲土地についてのみAによる極度額の減額請求がされ、その極度額の減額請求につき登記上の利害関係人が存しないときは、当該極度額の減額請求がされた日を登記原因の日付として、乙土地についての根抵当権の変更の登記の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。債務の額が極度額を超えるときは、物上保証人や第三取得者が極度額に相当する金額を払い渡すか供託して消滅請求ができます。
民法 第398条の5(根抵当権の極度額の変更)
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。
試験ではこう問われる
- 根抵当権の利息や損害金に2年分の制限はあるか(ない。極度額まで担保される)
- 極度額の変更に利害関係人の承諾は効力要件か(効力要件。無いと却下、必ず付記登記)
- 極度額増額で承諾が契約後にされたとき登記原因の日付はいつか(承諾の日)
- 一部譲渡の登録免許税の課税標準は何か(極度額を譲渡後の共有者数で割った額)
- 共同根抵当の減額請求は何個の不動産にすれば足りるか(1個)
この用語が問われた肢
根抵当権者をA及びBとする極度額 1500 万円の元本の確定前の根抵当権について、A及びBが当該根抵当権をCに一部譲渡した場合の根抵当権の一部移転の登記の登録免許税の額は、1 万円である。
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