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永小作権えいこさくけん

不動産登記 第8章 用益権・その他の権利 過去問で2肢

小作料を支払って他人の土地で耕作または牧畜をする用益物権です。小作料が必要的な登記事項であること、存続期間の上限と下限、譲渡や賃貸を禁じる定めが肢で突かれます。

永小作権は、小作料を支払って他人の土地で耕作または牧畜をする物権です。民法270条が定め、地上権と並ぶ用益物権ですが、小作料の支払が権利の内容に含まれる点で地上権と違います。登記事項は不動産登記法79条が定め、小作料は必ず書き、存続期間や支払時期、譲渡や賃貸を禁じる定めは定めがあるときに書きます。新しく設定される例はほとんどありませんが、登記事項の比較で肢に出ます。

不動産登記法 第79条

(永小作権の登記の登記事項)
永小作権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 小作料
二 存続期間又は小作料の支払時期の定めがあるときは、その定め
三 民法第二百七十二条ただし書の定めがあるときは、その定め
四 前二号に規定するもののほか、永小作人の権利又は義務に関する定めがあるときは、その定め

田んぼで稲を育てる農家と、あぜ道で米俵を受け取る土地の所有者
永小作権は小作料が必要的な登記事項で、存続期間は20年以上50年以下です
小作料は必ず登記定めがなければ30年譲渡・賃貸禁止の定めは登記事項

小作料は必要的な登記事項で、地代とは扱いが違います

地上権の地代は定めがあるときだけ登記する任意の事項ですが、永小作権の小作料は権利の要素なので、定めがない永小作権はありません。申請情報には小作料を必ず書き、支払時期の定めがあればそれも書きます。地上権で地代の記載がなくても申請が通るのに対し、永小作権で小作料を落とすと申請情報の不備として却下の対象です。登記事項の肢は、地上権・永小作権・賃借権・採石権の四つを横に並べ、どれが必要的かを入れ替えて作られます。小作料は金銭に限られず、収穫物の一定割合のような定め方も認められています。

存続期間は20年以上50年以下で、定めがなければ30年です

民法278条は、永小作権の存続期間を20年以上50年以下とし、50年より長い定めは50年に縮めます。設定行為で期間を定めなかったときは、別段の慣習がなければ30年です。更新はできますが、更新の時から50年を超えられません。地上権には法律上の上限も下限もなく、永久の地上権も登記できるので、期間の肢は二つの権利を対比して出ます。永小作権で50年を超える期間を申請情報に書いても、登記できるのは50年までです。

譲渡や賃貸を禁じる定めは登記して初めて第三者に対抗できます

永小作人は、設定行為で禁じられていなければ、権利を譲渡し、または存続期間内に耕作や牧畜のために土地を賃貸できます。禁じる定めは民法272条ただし書の定めとして登記事項になり、「その権利を他人に譲り渡すことができない旨が定められたときは、その定めを申請情報の内容とすることができる」という肢は正しい肢です。ほかの永小作人の権利や義務に関する定めも登記でき、不動産登記法79条4号が受け皿になっています。賃借権の譲渡・転貸を許す定めと向きが逆である点が、入れ替えの対象です。

申請人と添付情報は地上権と同じで、移転は付記登記です

永小作権の設定の登記は、所有権の登記名義人を登記義務者、永小作人を登記権利者とする共同申請です。登記義務者が所有権の登記名義人なので印鑑証明書が要り、登録免許税は不動産の価額の1000分の10です。永小作権の譲渡による移転の登記は、譲渡人と譲受人の共同申請で、所有権以外の権利の移転として付記登記でされます。設定行為で譲渡を禁じる定めが登記されている間は、譲渡を原因とする移転の登記は申請できません。永小作権を目的とする抵当権の設定も、民法369条2項により認められています。

農地に設定するので農地法の許可が要ります

永小作権は耕作や牧畜を目的とするため、対象は通常は農地や採草放牧地です。対象が農地法上の農地や採草放牧地であれば、設定の契約には原則として農地法3条の許可が要り、登記の申請では許可があったことを証する情報を提供します。許可は法律行為の効力要件なので、許可の前に登記を申請しても却下されます。相続による永小作権の移転には許可が要らず、移転の登記を相続人が単独で申請する点も地上権と同じです。

民法 第278条

(永小作権の存続期間)
永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする。設定行為で五十年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
永小作権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
設定行為で永小作権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、別段の慣習がある場合を除き、三十年とする。

試験ではこう問われる

  1. 永小作権の登記で小作料は必ず書くか(必ず書く。地上権の地代は任意)
  2. 存続期間の定めがない永小作権の期間は何年か(30年。上限50年・下限20年)
  3. 譲渡や賃貸を禁じる定めを申請情報の内容にできるか(できる)
  4. 農地に永小作権を設定するとき農地法の許可は要るか(要る)

この用語が問われた肢

R7 問13 オ正しい

永小作権の設定の登記を申請する場合において、永小作権の設定契約においてその権利を他人に譲り渡すことができない旨が定められたときは、その定めを申請情報の内容とすることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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