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地上権の登記ちじょうけんのとうき

不動産登記 第8章 用益権・その他の権利 過去問で27肢

他人の土地で工作物や竹木を所有するために土地を使う権利を乙区に公示する登記で、所有者と地上権者の共同申請です。設定の目的と対象の線引き、抹消や回復で印鑑証明書や承諾が要るかが肢で突かれます。

地上権の登記は、他人の土地で工作物や竹木を所有するためにその土地を使う権利を、乙区に公示する登記です。設定は土地の所有権の登記名義人を登記義務者、地上権者を登記権利者とする共同申請でします。登記事項は不動産登記法78条が定め、設定の目的は必ず書き、地代と存続期間は定めがあるときだけ書きます。肢で突かれるのは、一筆の一部や共有持分に設定できるかという対象の線引きと、抹消や回復の場面で印鑑証明書や承諾が要るかです。

不動産登記法 第78条

(地上権の登記の登記事項)
地上権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 地上権設定の目的
二 地代又はその支払時期の定めがあるときは、その定め
三 存続期間又は借地借家法(平成三年法律第九十号)第二十二条第一項前段若しくは第二十三条第一項若しくは大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(平成二十五年法律第六十一号)第七条第一項の定めがあるときは、その定め
四 地上権設定の目的が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物の所有であるときは、その旨
五 民法第二百六十九条の二第一項前段に規定する地上権の設定にあっては、その目的である地下又は空間の上下の範囲及び同項後段の定めがあるときはその定め

他人の土地に建てた家に住む家族と隣に立つ土地の所有者、登記簿に家の印を書き込む登記所の職員
地上権の設定は所有者と地上権者の共同申請で、設定の目的は必ず登記します
目的は必要的、地代・存続期間は任意一筆の一部や共有持分には設定できない二重設定不可、法定地上権も共同申請

目的は必ず書き、一筆の一部や持分には設定できません

地上権設定の目的は必要的な登記事項で、建物所有や竹木所有のほか、「地上権設定の目的をスキー場所有とする旨をその申請情報の内容とすることができる」という肢は正しい肢です。工作物の所有であれば、スキー場やゴルフ場のような土地そのものを利用する施設でも目的にできます。他方で、普通の地上権は一筆の土地の全部を目的にするものです。「当該地上権の設定範囲を当該一筆の土地の一部分とする旨をその申請情報の内容とすることができる」という肢は誤りで、一部に設定したいなら分筆してから申請します。共有持分を目的とする地上権も認められず、「Cを地上権者として、A及びBの持分につき地上権を設定する登記を申請することができる」という肢は誤りです。持分は観念上の割合にすぎず、土地を現実に使う権利の対象にならないからです。

同じ土地に地上権を二重に設定する登記はできません

地上権は土地を排他的に使う物権なので、既に地上権の登記がある土地に、別の地上権の設定の登記を重ねることはできません。登記記録上の存続期間が満了していても扱いは同じです。「当該地上権の存続期間が満了している場合は,当該登記を抹消することなく,当該土地に,重ねて別個の地上権の設定の登記を申請することができる」という肢は誤りで、先に抹消の登記をしてから新しい設定を申請します。地上権を目的とする抵当権があれば、その抹消に抵当権者の承諾が要ります。区分地上権だけは例外で、既存の地上権者などの承諾があれば重ねて設定できる点が違いです。

法定地上権や相続人への遺贈も共同申請です

同じ所有者に属していた土地と建物が、強制競売や抵当権の実行で所有者を異にするに至ると、民法388条や民事執行法81条の要件のもとで建物のために法定地上権が成立します。成立は法律の効果ですが、登記は裁判所書記官の嘱託ではなく、土地所有者と建物所有者の共同申請です。「強制競売により法定地上権が設定されたものとみなされた場合には、地上権の設定の登記は、裁判所書記官の嘱託によってされる」という肢は誤りです。相続人への遺贈による単独申請は令和5年4月1日から認められましたが、対象は所有権の移転に限られます。「Bは、単独で、遺贈を登記原因とするAからBへの地上権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りで、地上権の遺贈は遺言執行者か相続人全員との共同申請です。

抹消や回復では、義務者の立場で印鑑証明書の要否が変わります

地上権の設定の登記の抹消では、登記義務者は地上権者で所有権の登記名義人ではないので、印鑑証明書は原則として要りません。ただし登記識別情報を提供できないときは要り、「登記義務者が登記識別情報を提供することができないときは、申請情報を記載した書面に当該登記義務者の印鑑に関する証明書を添付することを要する」という肢は正しい肢です。逆に抹消された地上権の設定の登記を回復するときは、所有権の登記名義人が登記義務者になります。「登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない」という肢は誤りで、印鑑証明書が要ります。所有権の登記名義人が抹消を申請するときに住所が変わっていれば、「当該申請をする前提として、当該所有権の登記名義人の住所の変更の登記を申請しなければならない」という肢も正しい肢です。

保全仮登記の本登記では、後れる登記の扱いが分かれます

地上権の設定の登記請求権を保全する処分禁止の仮処分では、処分禁止の登記と保全仮登記がされます。「当該保全仮登記に基づく本登記がされた場合には,当該処分禁止の登記は,登記官の職権により,抹消される」という肢は正しい肢です。処分禁止の登記に後れる賃借権のような使用収益権の登記は、仮処分の債権者が本登記と同時に単独で抹消を申請でき、登記官が職権で抹消するのではありません。「登記官は,職権で当該賃借権の登記を抹消しなければならない」という肢は誤りです。後れる登記でも、使用収益を目的としない質権や抵当権は地上権と両立するので抹消できず、「単独で当該保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる質権の設定の登記の抹消を申請することはできない」という肢は正しい肢です。

民法 第265条

(地上権の内容)
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

試験ではこう問われる

  1. 地上権設定の目的をスキー場所有とできるか、一筆の一部や共有持分に設定できるか(目的はできる。一部と持分はできない)
  2. 存続期間が満了した地上権の登記を残したまま別の地上権を設定できるか(できない)
  3. 法定地上権の登記は嘱託でされるか(嘱託ではなく共同申請)
  4. 地上権の抹消で登記識別情報を提供できないとき印鑑証明書は要るか(要る。回復では所有権の登記名義人が義務者なので原則として要る)
  5. 保全仮登記の本登記で後れる賃借権と質権はどうなるか(賃借権は債権者の単独申請で抹消、質権は抹消できない)

この用語が問われた肢

R8 問18 ア正しい

地上権の設定の登記の申請をする場合には、地上権設定の目的をスキー場所有とする旨をその申請情報の内容とすることができる。

R8 問18 イ誤り

区分地上権ではない地上権の設定の登記の申請をする場合において、当該地上権の設定契約にその対象を一筆の土地の一部分に限定する旨の定めがあるときは、当該地上権の設定範囲を当該一筆の土地の一部分とする旨をその申請情報の内容とすることができる。

R5 問22 ア誤り

A、B及びCが所有権の登記名義人である土地について、A及びBが、Cに対して、A及びBの持分に地上権を設定することを承諾した場合には、Cを地上権者として、A及びBの持分につき地上権を設定する登記を申請することができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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