非課税(国・地方公共団体・表示の登記)ひかぜい
国や地方公共団体が自己のために受ける登記、表示に関する登記、墓地の登記、信託の一定の移転など、登録免許税法がはじめから課税しないと定める登記です。順位の変更や代位の嘱託のように、国等が関わっても課税されるかどうかが分かれる場面が肢で突かれます。
非課税は、登録免許税法が登記の種類や当事者によってはじめから課税しないと定めている扱いです。同法4条1項は国・地方公共団体と別表第二に掲げる公共性の高い法人が自己のために受ける登記を非課税とし、同条2項は別表第三に掲げる者が一定の登記を受ける場合を非課税にしています。同法5条は、国等が代位してする登記、墓地に関する登記、行政区画の変更に伴う登記など、登記の種類で非課税になるものを列挙します。信託についても同法7条が、委託者から受託者への移転、受託者の変更による移転、委託者のみが受益者である信託の終了による移転を非課税にします。肢で突かれるのは、国等が当事者になっても課税される登記との線引きです。
不動産登記規則 第189条第2項登録免許税法又は租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)その他の法令の規定により登録免許税を免除されている場合には、前項の規定により申請情報の内容とする事項(以下「登録免許税額等」という。)に代えて、免除の根拠となる法令の条項を申請情報の内容としなければならない。

国等が自己のために受ける登記は非課税で、順位の変更は課税されます
国や地方公共団体が登記権利者として受ける所有権の移転や抵当権の設定の登記は、登録免許税法4条1項により非課税です。しかし抵当権の順位の変更の登記は、順位を入れ替える当事者全員の合同申請で、国等が自己のためにだけ受ける登記とは見られません。「官公署を第一順位,合同会社Aを第二順位とする抵当権の順位の変更の登記を共同して申請するときは,登録免許税は課されない」という肢は誤りです。別表第二の非課税法人でも同じで、「A地方住宅供給公社の抵当権の順位が他の抵当権に優先するときは,当該抵当権の順位の変更の登記については,登録免許税が課されない」という肢は誤りです。
国等が代位して嘱託する登記は非課税です
国や地方公共団体が滞納処分などのために登記名義人に代位して嘱託する登記は、登録免許税法5条1号により非課税とされています。「官公署が代位して,登記名義人の住所についての変更の登記を嘱託するときは,登録免許税は課されない」という肢は正しい肢です。相続登記を地方公共団体が相続人に代位して嘱託するときも同じで、「地方公共団体が相続人に代位して相続を原因とする所有権の移転の登記を嘱託する場合の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の 4 を乗じた額である」という肢は誤りです。国等が代位してする登記であることが非課税の理由で、代位される相続人が誰かは問いません。
表示の登記は多くが課税対象外で、墓地の登記は非課税です
表題登記、地目や地積の変更、建物の滅失の登記など表示に関する登記の多くは、登録免許税法別表第一の課税対象に挙げられておらず、登録免許税がかかりません。ただし所有権の登記がある土地の分筆・合筆と建物の分割・区分・合併の登記は課税対象で、変更後の不動産1個につき1000円の定額がかかります。墓地に関する登記は同法5条10号により非課税とされ、「地目が墓地である土地の相続を原因とする所有権の移転の登記については、登録免許税は課されない」という肢は正しい肢です。相続人申告登記や登記官の職権による登記も、申請人が税を納める場面ではありません。
行政区画の変更に伴う住所の変更は非課税です
市町村の合併や区制の施行で住所の表示が変わったことによる登記名義人の住所の変更の登記は、登録免許税法5条により非課税です。住所の移転と行政区画の変更が重なったときに一つの申請で変更の登記をする場合も、登記実務では非課税として扱われています。「Aが住所を甲市乙町1番地の1から丙市丁町2番2号に移転し,さらにその後,区制施行により丙市丁町2番2号が丙市中央区丁町2番2号に変更されたとします。乙土地につきAの住所の変更の登記をする場合の登録免許税は,いくらですか」という問いに「登録免許税は,かかりません」と答える解答は正しい解答です。住所の移転だけなら不動産1個につき1000円です。
信託の設定・受託者の変更・委託者への終了による移転は非課税です
委託者から受託者に信託財産を移す所有権の移転の登記は非課税で、信託の登記の分だけが課税されます。受託者の変更による旧受託者から新受託者への移転も非課税です。信託の効力が生じた時から引き続き委託者だけが受益者である信託が終了して、受託者から受益者に不動産を戻す移転の登記も、登録免許税法7条1項2号により非課税です。「受託者から受益者への所有権の移転の登記については、登録免許税が課されない」という肢は正しい肢で、委託者以外の者が元本の受益者になった信託では通常の移転として課税されます。
不動産登記法 第25条第1項第12号登録免許税を納付しないとき。
試験ではこう問われる
- 国や非課税法人が優先するようにする抵当権の順位の変更の登記は非課税か(課税される)
- 国等が登記名義人に代位して嘱託する住所変更や相続登記は課税されるか(非課税)
- 表示に関する登記は課税されるか(多くは課税対象外。所有権の登記がある土地の分筆・合筆と建物の分割・区分・合併は変更後の不動産1個1000円)
- 行政区画の変更を含む住所の変更の登記は課税されるか(非課税)
- 委託者のみが受益者の信託の終了で受益者に戻す移転登記は課税されるか(非課税)
この用語が問われた肢
登録免許税法第 4 条第 1 項により別表第 2 に掲げる非課税法人であるA地方住宅供給公社が当事者となって抵当権の順位の変更の登記を受ける場合において、A地方住宅供給公社の抵当権の順位が他の抵当権に優先するときは、当該抵当権の順位の変更の登記については、登録免許税が課されない。
地方公共団体が相続人に代位して相続を原因とする所有権の移転の登記を嘱託する場合の登録免許税の額は、不動産の価額に1000分の 4 を乗じた額である。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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