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委託者から受託者への信託による移転いたくしゃからじゅたくしゃへのしんたくによるいてん

不動産登記 第4章 所有権の登記(売買・保存) 過去問で10肢

信託を設定すると不動産の所有権は受託者に移り、所有権の移転の登記と信託の登記を同時に申請します。二つの登記の申請人と申請情報の数、受託者が複数のときの持分、信託が終わったときの抹消が肢で突かれます。

信託による移転は、委託者が受託者に財産を移して一定の目的に従い管理や処分をさせる信託を設定したとき、不動産の所有権が受託者に移ることを公示する登記です。所有権の移転の登記は委託者を登記義務者、受託者を登記権利者とする共同申請で、登記原因は「年月日信託」です。移転の登記と同時に、その不動産が信託財産であることを示す信託の登記を申請しなければならず、信託の登記は受託者が単独で申請でき、二つの登記は一の申請情報でします。肢は、移転の登記と信託の登記の申請人の違い、同時申請と一の申請情報、受託者が複数のときの扱い、信託財産でなくなったときの抹消を突いてきます。

不動産登記法 第98条

(信託の登記の申請方法等)
信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。
信託の登記は、受託者が単独で申請することができる。
信託法第三条第三号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記は、受託者が単独で申請することができる。

持ち主が受託者に家の模型を預け、帳簿の行に信託の印のついた目録が添えられている
信託による移転は委託者と受託者の共同申請で、信託の登記は受託者が単独で同時に一の申請情報で申請します
移転は共同、信託の登記は受託者単独受託者が複数でも持分なし抹消も受託者が単独

移転は共同申請、信託の登記は受託者の単独申請です

信託による所有権の移転の登記は、委託者と受託者の共同申請です。信託の登記は不動産登記法98条2項により受託者が単独で申請でき、申請は移転の登記と同時でなければなりません。不動産登記令5条2項が二つの登記を一の申請情報によって申請するものと定めているので、申請書は一通で、登記の目的は「所有権移転及び信託」と記載します。受託者が信託財産である金銭で第三者から不動産を買ったときは、売主と受託者の共同申請による売買の移転の登記と同時に、信託財産の処分による信託の登記をします。受託者が信託の登記を申請しないときは、委託者や受益者が受託者に代位して申請でき、「委託者Cは,Aに代位して,Bと共同して信託財産の処分による信託の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。

受託者が複数でも持分は書きません

受託者が二人以上いるときは信託財産は受託者の合有になり、持分という観念がありません。「甲土地についてA及びBを受託者とする所有権の移転の登記及び信託の登記を申請する場合には,A及びBの持分を申請情報の内容とすることを要しない」という肢は正しい肢です。共有の登記で持分の記載が必須なのと対照的で、登記記録にも持分は記録されず、受託者の一人が欠けたときは信託行為に別段の定めがなければ残る受託者に当然に帰属します。受託者の一人の任務が終了して権利の変更の登記をするときは、死亡などによる終了なら残る受託者が単独で申請でき、辞任などによる終了なら共同申請になると不動産登記法100条が分けています。

表題部所有者からの信託は保存と信託を一の申請情報でします

所有権の登記がない区分建物の表題部所有者が受託者に信託したときは、受託者が74条2項の申請人として自分を所有者とする保存の登記と信託の登記を一の申請情報で申請できます。「Bは,一の申請情報で,直接自らを所有者とする所有権の保存及び信託の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。共有者の一人が持分を信託した後に他の共有者が持分を放棄したときは、放棄された持分は受託者に帰属します。信託の登記の申請と同時に放棄者から受託者への持分の移転の登記を申請でき、できるとする肢は正しい肢です。

信託財産でなくなったら抹消は受託者が単独でします

受託者が信託の目的に従って不動産を第三者に売ると、その不動産は信託財産に属しなくなります。所有権の移転の登記と同時に信託の登記の抹消を申請し、抹消は不動産登記法104条2項により受託者が単独で申請できます。「当該信託の登記の抹消の申請は、A及びBが共同してしなければならない」という肢は誤りです。信託が終了して受益者に所有権を移すときも同じで、移転の登記と抹消を同時に申請します。信託の効力が生じた時から引き続き委託者だけが元本の受益者である信託が終了して、受託者からその委託者へ移転するときは、登録免許税が課されません。

不動産登記令 第5条第2項

信託の登記の申請と当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請とは、一の申請情報によってしなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 信託による移転の登記と信託の登記の申請人はそれぞれ誰か(移転は共同申請。信託の登記は受託者が単独。一の申請情報)
  2. 受託者が複数のとき持分を書くか(書かない。合有)
  3. 受託者が信託の登記を申請しないとき委託者はどうするか(代位して申請できる)
  4. 表題部所有者からの信託で保存と信託を一の申請情報でできるか(できる)
  5. 信託の登記の抹消は誰が申請するか(受託者が単独。移転や変更の登記と同時)
不動産登記を肢別で解く

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