登記識別情報の提供が不要な登記とうきしきべつじょうほうのていきょうがふようなとうき
登記識別情報の提供が要るのは共同申請の登記義務者と、合筆や順位変更など政令で定める登記の登記名義人だけで、それ以外の申請では要りません。要る登記と要らない登記の線引きが肢の軸です。
登記識別情報の提供が不要な登記は、登記識別情報の提供義務の裏返しです。提供が要るのは、登記権利者と登記義務者が共同して申請する権利に関する登記の登記義務者と、登記名義人が申請する登記のうち政令で定めるものに限られます。したがって、登記義務者がいない単独申請の多くと、登記権利者側、官庁や公署の嘱託では要りません。政令の対象は合筆、合体、保存登記の抹消、仮登記の単独抹消、共有物分割禁止の定め、順位変更など列挙で決まり、確定判決による登記はそこから除かれています。肢では、単独申請のうちどれが政令の対象で、どれが対象外かを問う形が中心です。
不動産登記法 第22条(登記識別情報の提供)
登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第一項、第二項及び第四項各号において同じ。)の登記識別情報を提供しなければならない。ただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。

官公署の嘱託と確定判決による登記では要りません
国や地方公共団体が登記権利者となる登記を官庁や公署が単独で嘱託するときは、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しません。「国又は地方公共団体が登記権利者となる権利に関する登記を官庁又は公署が単独で嘱託する場合には、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない」という肢は正しい肢です。確定判決による登記は政令の対象から除かれているので、判決で登記権利者が単独申請するときも要りません。登記官が職権でする登記や、処分制限の登記の嘱託に基づく保存登記も、申請人がいないので提供の問題が起きません。
登記義務者のいない単独申請では要りません
相続や法人の合併による権利の移転の登記は登記権利者が単独で申請し、登記義務者がいないので登記識別情報は要りません。登記名義人の氏名や住所の変更の登記も同じです。債権者が債務者に代位して住所変更の登記などを申請するときも、その登記自体が提供の対象外なので要りませんが、代位して登記義務者と共同申請する形なら登記義務者の分は原則として要ります。所有権の保存の登記は表題部所有者らが単独で申請する新しい登記なので、提供すべき登記識別情報がそもそもありません。登記権利者が登記義務者に対する登記手続を命ずる判決を得て単独で申請するときも、判決が義務者の意思に代わるので登記識別情報は要りません。処分制限の登記の嘱託に基づいて登記官が職権で保存登記をする場合も同じです。
合筆・仮登記の単独抹消・順位変更では要ります
政令で定める登記では登記名義人自身の登記識別情報が要ります。所有権の登記がある土地の合筆の登記、建物の合体や合併の登記、所有権の保存の登記の抹消、仮登記名義人がする仮登記の抹消などの単独申請のほか、共有物分割禁止の定めに係る所有権の変更の登記や抵当権の順位変更の登記のように名義人全員で申請する登記も含まれ、そこでは各名義人の分が要ります。「Bが売買予約の解除を原因とする本件仮登記の抹消を単独で申請する場合には、本件仮登記が完了した際に通知された登記識別情報を提供することを要しない」という肢は誤りです。合筆の登記では、合筆する土地のうちいずれか一筆の登記識別情報を提供すれば足ります。合筆後の土地について抵当権の設定登記を申請するときは、合筆の際に通知された登記識別情報に代えて、合筆前の各土地について通知された登記識別情報を提供することもできます。
権利者と義務者を兼ねても義務者の分は要ります
混同で消滅した抵当権の抹消のように、所有者が抵当権者でもある場合、抹消登記では抵当権者としての登記識別情報が要ります。「当該抵当権の設定の登記が完了した際に通知された登記識別情報を提供することを要しない」という肢は誤りです。要否は申請人が誰かではなく、その登記でどの権利の名義人が義務者側に立つかで決まります。
不動産登記令 第8条第1項法第二十二条の政令で定める登記は、次のとおりとする。ただし、確定判決による登記を除く。
一 所有権の登記がある土地の合筆の登記
二 所有権の登記がある建物の合体による登記等
三 所有権の登記がある建物の合併の登記
四 共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記
五 所有権の移転の登記がない場合における所有権の登記の抹消
六 質権又は抵当権の順位の変更の登記
七 民法第三百九十八条の十四第一項ただし書(同法第三百六十一条において準用する場合を含む。)の定めの登記
八 信託法(平成十八年法律第百八号)第三条第三号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記
九 仮登記の登記名義人が単独で申請する仮登記の抹消
試験ではこう問われる
- 官公署の嘱託で登記義務者の登記識別情報は要るか(要らない)
- 確定判決による単独申請で要るか(要らない。政令の対象から除外)
- 仮登記名義人の単独抹消で要るか(要る)
- 合筆の登記では何筆分を提供するか(いずれか一筆分)
- 混同による抵当権抹消で抵当権者の分は要るか(要る)
この用語が問われた肢
国又は地方公共団体が登記権利者となる権利に関する登記を官庁又は公署が単独で嘱託する場合には、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。
Bが売買予約の解除を原因とする本件仮登記の抹消を単独で申請する場合には、本件仮登記が完了した際に通知された登記識別情報を提供することを要しない。
抵当権の登記名義人が当該抵当権の目的である不動産を取得し,当該抵当権が混同により消滅したため,当該抵当権の設定の登記の抹消の申請をするときは,当該抵当権の設定の登記が完了した際に通知された登記識別情報を提供することを要しない。
根抵当権者と根抵当権設定者が共同して根抵当権の元本確定の登記を申請する場合には,添付情報として根抵当権者が当該根抵当権の設定の登記を受けた際に通知された登記識別情報を提供することを要する。
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