元本確定の登記の単独申請がんぽんかくていのとうきのたんどくしんせい
根抵当権の元本が確定したことを登記記録に表す元本の確定の登記のうち、根抵当権者が単独で申請できる場合を定めた仕組みです。どの確定事由なら単独でできるか、競売や破産による確定では何と併せて申請するかが肢の軸です。
元本確定の登記の単独申請は、根抵当権の担保すべき元本が確定したことを表す登記を、根抵当権の登記名義人が設定者と共同せずに申請できる場合を指します。元本の確定の登記は権利の変更の登記なので、原則は根抵当権者と設定者の共同申請です。ただし、根抵当権者の確定請求、競売等・差押えを知って2週間の経過、債務者や設定者の破産という確定事由は、設定者の協力なしでも証明しやすいので単独申請が認められています。競売や破産による確定では、確定を前提とする根抵当権の移転などの登記の申請と併せて申請しなければなりません。肢では、単独申請の主体と範囲、併せて申請する意味、共同申請になる確定事由との対比が問われます。
不動産登記法 第93条(根抵当権の元本の確定の登記)
民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。ただし、同項第三号又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。

単独申請できるのは根抵当権者の確定請求と競売・破産による確定です
根抵当権者は、確定期日の定めがなければいつでも元本の確定を請求でき、請求の時に元本が確定します。根抵当権者自身が請求した場合は、請求が設定者に到達したことを証する情報を添えて単独で確定の登記を申請できます。根抵当権者が自分で抵当不動産の競売や担保不動産収益執行、物上代位による差押えを申し立てて確定した場合は、不動産登記法93条の単独申請の対象に入っていません。第三者による競売手続の開始や差押えを知ってから2週間を経過したとき、債務者または設定者が破産手続開始の決定を受けたときは、根抵当権者が単独で申請できます。設定者からの確定請求や確定期日の到来による確定は単独申請の対象外です。
競売・破産による確定は取得の登記と併せて申請しなければなりません
競売等の申立てや差押えを知って2週間の経過、破産による確定を根抵当権者が単独で登記するときは、根抵当権またはこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければなりません。代位弁済による移転の登記などと同時に連件で申請するという意味で、一の申請情報にまとめることはできません。「根抵当権者が単独で申請する根抵当権の元本の確定の登記と代位弁済を登記原因とする根抵当権の移転の登記は、一の申請情報によって申請しなければならない」という肢と、「当該根抵当権の元本の確定の登記と当該根抵当権の代位弁済による移転の登記とは、一の申請情報によって申請することができる」という肢は、どちらも誤りです。取得の登記を伴わずに確定の登記だけを単独で申請することもできません。「Aは、当該根抵当権の順位の譲渡の登記を申請することなく、単独で当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。
単独申請の主体は根抵当権の登記名義人です
単独で申請できるのは根抵当権の登記名義人であって、被担保債権を代位弁済した第三者が自分の名で単独申請することはできません。「Cが当該根抵当権の被担保債権を代位弁済したときは、Cは、単独で、当該根抵当権の移転の登記の申請と併せて当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。設定者からの確定請求で確定した場合は、そもそも単独申請の対象ではないので、代位弁済者が根抵当権者に代位して単独で申請することもできません。「AのBに対する元本の確定請求によって元本が確定した後、Cが当該根抵当権の被担保債権を代位弁済したときは、Cは、単独で、Bに代位して、元本の確定の登記を申請することができる」という肢は誤りです。
それ以外の確定は共同申請で、判決があれば単独です
設定者からの確定請求による確定は、確定期日の定めがない場合に設定の時から3年を経過した後に請求でき、請求から2週間で確定しますが、登記は根抵当権者と設定者の共同申請です。「当該設定の日から5年後にAがBに対して当該根抵当権の元本の確定の請求をしたときは、AとBは、共同して、当該根抵当権について元本の確定の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。設定者が協力しなければ、登記手続を命ずる確定判決を得て根抵当権者が単独で申請します。「根抵当権設定者に対して根抵当権の元本の確定の登記手続を命ずる確定判決を得て、単独で根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。
確定の登記がなければ確定後の登記はできません
登記記録から元本の確定が明らかでないときは、確定後にしかできない債権譲渡による移転の登記などを申請する前に、元本の確定の登記が要ります。「A株式会社が破産手続開始の決定を受けた後、Bが当該根抵当権の被担保債権を譲渡したときは、Bは、当該根抵当権について元本の確定の登記を申請することなく、債権譲渡を登記原因とする根抵当権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りです。逆に確定の登記がされた後は、確定前にしかできない登記を確定前の日付で申請することはできません。「根抵当権の元本の確定の登記がされているときは、その確定前の日付を登記原因日付とする当該権利移転の登記を申請することはできない」という肢は正しい肢です。確定期日の到来や相続開始後6か月の経過のように登記記録上確定が明らかな場合は、確定の登記を経ずに確定後の登記ができます。
民法 第398条の20(根抵当権の元本の確定事由)
次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 根抵当権者が単独で確定の登記を申請できる確定事由はどれか(根抵当権者の確定請求、競売等・差押えを知って2週間、破産)
- 競売・破産による確定の単独申請は何と併せてするか(根抵当権やそれを目的とする権利の取得の登記。一の申請情報は不可)
- 代位弁済者が単独で確定の登記を申請できるか(できない。主体は根抵当権者)
- 設定者からの確定請求による確定の登記は誰が申請するか(共同申請。判決があれば根抵当権者が単独)
- 確定の登記をせずに債権譲渡による移転の登記ができるか(登記記録上確定が明らかでなければできない)
この用語が問われた肢
根抵当権者が単独で申請する根抵当権の元本の確定の登記と代位弁済を登記原因とする根抵当権の移転の登記は、一の申請情報によって申請しなければならない。
Aを根抵当権者とする元本確定前の根抵当権の債務者Bが破産手続開始の決定を受けた場合において、Cが当該根抵当権の被担保債権を代位弁済したときは、Cは、単独で、当該根抵当権の移転の登記の申請と併せて当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる。
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