所有権以外の権利の移転(地上権の譲渡)しょゆうけんいがいのけんりのいてん
地上権や賃借権などの登記された権利が譲渡や相続で別の人に移ったことを、付記登記で公示する登記です。所有者の承諾が要る権利の区別、単独申請が認められる場面、登記の目的の書き方が肢で突かれます。
所有権以外の権利の移転は、地上権や賃借権、抵当権などの登記された権利が譲渡や相続で別の人に移ったことを公示する登記です。移転の登記は常に付記登記でされ、譲渡人を登記義務者、譲受人を登記権利者とする共同申請が原則です。所有権の移転と違って登記義務者が所有権の登記名義人ではないので、印鑑証明書も住所証明情報も原則として要りません。肢で突かれるのは、所有者の承諾が要る権利とそうでない権利の区別、単独申請が認められる場面、登記の目的の書き方です。
不動産登記法 第60条(共同申請)
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

移転の登記は常に付記登記でされます
不動産登記規則3条は、所有権以外の権利の移転の登記を付記登記ですると定めています。「所有権以外の権利の移転の登記は、付記登記によってされる」という肢は正しい肢です。移転しても元の登記の順位番号がそのまま使われ、「1番地上権移転」のように付記で記録されます。持分の一部を移すときの目的は「1番地上権A持分一部移転」で、「乙区 1 番で登記された地上権の持分を売買により取得したAが、その持分の一部を更にBに売却した場合に申請する登記の目的は、「 1 番地上権A持分一部移転」である」という肢は正しい肢です。
地上権の譲渡に所有者の承諾は要らず、賃借権には要ります
地上権は物権なので自由に譲渡でき、移転の登記に土地所有者の承諾を証する情報は要りません。「Aの承諾を証する情報を提供することを要する」という肢は誤りです。賃借権は民法612条により賃貸人の承諾がなければ譲渡できないので、譲渡を許す定めが登記されていない限り、賃貸人の承諾を証する情報を提供します。借地上の建物を競売で取得した人は、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てることができ、「Cは,当該許可があったことを証する情報を提供して,賃借権の移転の登記の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。不在者の財産管理人が裁判所の許可を得て承諾した場合も同じで、許可書が承諾の裏付けになります。
相続人への遺贈や合併では単独申請の可否が所有権と違います
令和5年4月1日施行の不動産登記法63条3項は、相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記を受遺者の単独申請にしました。対象は所有権だけなので、「Bは、単独で、遺贈を登記原因とするAからBへの地上権の移転の登記を申請することができる」という肢は誤りで、地上権の遺贈は遺言執行者か相続人全員との共同申請です。相続や法人の合併による移転は、所有権と同じく相続人や存続会社の単独申請です。合併の後に生じた原因で転借権を抹消するときは、「その前提として,合併を原因とする乙区 1 番賃借権の移転の登記の申請をしなければならない」という肢は正しい肢で、合併前に生じた原因なら存続会社が一般承継人として移転の登記なしに申請できます。転借権の抹消のように賃借権者が登記権利者になる登記でも、先に合併による移転を登記して名義を現在の権利者に揃えます。
買戻権や敷地権の賃借権には、付記の付記や承諾の論点があります
地上権の移転と同時に買戻しの特約が付記登記されているとき、その買戻権を売買で移す登記の目的は「1番地上権付記1号の付記1号買戻権移転」です。「「何番地上権付記1号買戻権移転」である」という肢は誤りで、買戻権の移転は特約の登記の付記になります。敷地権が土地の賃借権である区分建物を売買すると、建物の所有権とともに敷地の賃借権も移るので、譲渡を許す定めがなければ賃貸人の承諾を証する情報が要り、「当該賃貸借の賃貸人の承諾を証する情報の提供を要しない」という肢は誤りです。事業用定期借地権の譲渡でも、設定のときと違って公正証書は要りません。
登録免許税は1000分の10で、相続や合併は1000分の2です
地上権や賃借権の移転の登記の登録免許税は、不動産の価額の1000分の10が原則です。相続や法人の合併による移転は1000分の2で、死因贈与による地上権の移転の仮登記は本登記の半分の1000分の5になり、「不動産の価額に1000 分の 5 を乗じた額である」という肢は正しい肢とされています。地上権や賃借権の登記名義人がその土地の所有権を取得したときは、所有権の移転の税率が半分になり、相続なら「不動産の価額に 1000 分の 2 を乗じた額である」という肢が正しい肢です。売買なら1000分の10になるので、「不動産の価額に1000分の20を乗じた額である」という肢は誤りです。
不動産登記規則 第3条第1項第6号所有権以外の権利の移転の登記
試験ではこう問われる
- 所有権以外の権利の移転の登記は主登記か付記登記か(付記登記)
- 地上権と賃借権の譲渡で所有者(賃貸人)の承諾は要るか(地上権は要らない。賃借権は要る)
- 相続人への遺贈による地上権の移転を受遺者が単独で申請できるか(できない。所有権だけ)
- 地上権に付記された買戻権の移転の登記の目的はどう書くか(何番地上権付記1号の付記1号買戻権移転)
- 地上権者がその土地を相続で取得したときの登録免許税の率はいくらか(1000分の2。売買なら1000分の10)
この用語が問われた肢
所有権以外の権利の移転の登記は、付記登記によってされる。
乙区 1 番で登記された地上権の持分を売買により取得したAが、その持分の一部を更にBに売却した場合に申請する登記の目的は、「 1 番地上権A持分一部移転」である。
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