区分地上権くぶんちじょうけん
工作物を所有するために、地下または空間の上下の範囲を定めて設定する地上権です。既存の使用収益権者の承諾と図面の要否、敷地権のある土地や普通の地上権との関係が肢で突かれます。
区分地上権は、工作物を所有するために、地下または空間の上下の範囲を定めて設定する地上権です。地下鉄や送電線のように土地の一層だけを使う場面で使われ、民法269条の2が根拠です。登記事項は普通の地上権と同じ目的・地代・存続期間に加え、上下の範囲と、土地の使用に制限を加える定めが不動産登記法78条5号で定められています。肢で突かれるのは、既存の使用収益権者の承諾と図面の要否、敷地権のある土地や普通の地上権との関係です。
民法 第269条の2(地下又は空間を目的とする地上権)
地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。

上下の範囲は必ず書き、使用制限の定めは定めがあれば書きます
区分地上権の設定の登記では、目的である地下または空間の上下の範囲を申請情報の内容にします。範囲は「東京湾平均海面の上100メートルから上30メートルの間」のように、基準面からの高さで特定するのが実務の書き方です。設定行為で地上権の行使のために土地の使用に制限を加えたときは、その定めも申請情報の内容にし、「その定めを申請情報の内容とすることができる」という肢は正しい肢です。目的は工作物の所有に限られ、竹木の所有を目的とする区分地上権はありません。上下の範囲の定めがない申請は、区分地上権としては受理されません。
既存の使用収益権者全員の承諾が要り、図面は要りません
区分地上権は、土地を使う権利を持つ第三者がいても、その権利者と、その権利を目的とする権利を持つ者の全員が承諾すれば設定できます。登記の申請では承諾を証する情報を提供し、「登記されている地上権の登記名義人が承諾したことを証する情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。承諾は民法269条の2第2項が設定の要件にしているので、登記原因について第三者の承諾を要する場合に当たります。範囲は上下の数値で特定されるため、地役権と違って図面は要りません。「添付情報として,その範囲を明らかにする図面を提供しなければならない」という肢は誤りです。承諾を証する書面には承諾者の印鑑証明書を添え、作成後3か月の制限はありません。
敷地権のある土地にも設定でき、普通の地上権への変更もできます
所有権が敷地権である旨の登記がされた土地には、敷地権の移転の登記や担保権の登記は原則としてできませんが、用益権の設定は禁じられていません。「当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする区分地上権の設定の登記を申請することはできない」という肢は誤りです。既に登記された区分地上権を、上下の範囲の定めをなくして竹木の所有を目的とする普通の地上権に改めることは、変更の登記でできます。「竹木の所有を目的とする地上権に変更する旨の地上権の変更の登記を申請することができる」という肢は正しい肢です。変更の登記は地上権者と所有者の共同申請で、土地を目的とする抵当権者などの利害関係人の承諾があれば付記登記でされます。
一筆の一部の登記には分筆が要り、区分地上権は立体で分けます
普通の地上権を一筆の土地の平面的な一部に設定する契約はできますが、その登記は分筆してからでなければできません。立体的に区切るなら分筆なしに区分地上権として登記でき、「当該地上権の設定範囲を当該一筆の土地の一部分とする旨をその申請情報の内容とすることができる」という肢は普通の地上権について誤りです。区分地上権の登記も土地の全部を対象として乙区にされ、違いは上下の範囲が登記事項に加わる点にあります。同じ土地に普通の地上権と区分地上権が並ぶことがあるのは、範囲が立体的に分かれていて両立するからです。申請人と添付情報、登録免許税の率は普通の地上権の設定と変わりません。
不動産登記法 第78条第1項第5号民法第二百六十九条の二第一項前段に規定する地上権の設定にあっては、その目的である地下又は空間の上下の範囲及び同項後段の定めがあるときはその定め
試験ではこう問われる
- 区分地上権の上下の範囲と土地の使用制限の定めは申請情報に書けるか(範囲は必ず書く。制限の定めは定めがあれば書く)
- 既存の地上権者の承諾を証する情報と図面は要るか(承諾は要る。図面は要らない)
- 敷地権である旨の登記がある土地に、敷地権が生じた後の日付で区分地上権を設定できるか(できる)
- 区分地上権を竹木所有の普通の地上権に変更できるか(変更の登記でできる)
この用語が問われた肢
区分地上権の設定の登記を申請する場合において、区分地上権の設定契約においてその区分地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加える旨が定められたときは、その定めを申請情報の内容とすることができる。
敷地権である旨の登記がされた土地のみを目的として、当該敷地権が生じた日より後の日付を登記原因の日付とする区分地上権の設定の登記を申請することはできない。
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