司法書士試験AIブートラボ 司法書士AIブートラボ

補欠役員・増員ほけつやくいんぞういん

商業登記 第5章 役員の変更 過去問で3肢

役員が欠けたときに備えてあらかじめ補欠の役員を選任しておく仕組みと、現在の役員に加えて新たな役員を選任することです。補欠の予選の効力の期間、補欠役員の任期、就任の登記の原因日付と添付書面が要点です。

補欠役員は、会社法329条3項により、役員が欠けた場合や法律または定款で定めた員数を欠くこととなる場合に備えて、株主総会があらかじめ選任しておく役員です。増員は、現在の員数に加えて新たに役員を選任することで、定款の員数の上限の範囲で行います。補欠役員は前任者が退任した時に初めて就任し、就任するまで登記はしません。会社法施行規則96条が補欠役員の選任の決議の内容と効力の期間を定め、会社法336条3項が補欠の監査役の任期の特則を置いています。肢で突かれるのは、就任の時期と登記、任期、そして権利義務との関係です。

会社法 第329条第3項

第一項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この項において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。

会議室の役員たちの後ろで控えの椅子に待つ人物。別の場面で新しい椅子が追加される
補欠役員は前任者が退任した時に就任して登記し、予選の効力は次の定時株主総会の開始時までです
予選時は登記しない補欠監査役の任期短縮は定款の定め増員の任期は当然には揃わない

補欠役員の選任は予選で、就任するまで登記しません

補欠役員の選任は、将来役員が欠けたときに備える予選です。会社法施行規則96条により、決議では補欠の役員である旨、特定の役員の補欠とするときはその氏名、複数の補欠がいるときの優先順位などを定めます。予選の効力は、定款に別段の定めがなければ、選任後最初に開催される定時株主総会の開始の時までです。効力が続く間に株主総会の決議で予選を取り消すこともできます。選任しただけでは役員ではないので登記はせず、前任者が退任して補欠役員が就任した時に就任の登記を申請します。就任の原因日付は前任者の退任の日と補欠役員の承諾の日の遅い方です。

補欠の監査役の任期は定款で前任者の残任期間にできます

会社法336条3項により、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期は、定款で定めれば前任者の任期の満了する時までにできます。定款にその定めがなければ、補欠として就任しても会社法336条1項の4年の任期です。補欠の取締役についても、前任者の残任期間までとする定款の定めや株主総会の決議があれば、会社法332条1項ただし書の短縮として扱われるものです。取締役については会社法332条1項ただし書により定款や株主総会の決議で任期を短縮できるので、補欠や増員の取締役の任期を他の取締役と揃えるには、短縮の定めか決議が要ります。監査等委員である取締役には332条4項により短縮の定めが使えず、補欠の任期を前任者の残任期間までとするには同条5項の定款の定めが要ります。何もしなければ増員で選任された取締役の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までで、他の取締役とずれることがあります。

補欠役員がいれば権利義務が生じる場面を避けられます

取締役会設置会社の3名の取締役の一人が辞任すると、会社法346条1項により辞任した取締役が権利義務を負い、辞任の登記ができません。補欠取締役を予選してあれば、辞任と同時に補欠役員が就任して員数が保たれ、辞任の登記と補欠役員の就任の登記を一緒に申請できる形です。補欠の監査役を社外監査役として予選しておけば、監査役会設置会社の社外監査役の員数も保てます。会社法施行規則96条2項により、補欠の社外監査役を選任するときは、社外監査役の補欠である旨も決議で定めます。登記の添付書面は、予選をした株主総会の議事録、株主リスト、就任承諾書と、再任でなければ本人確認証明書(取締役会設置会社でない会社の取締役は承諾書の印鑑証明書)です。前任者の退任を証する書面も併せて添付します。

増員の登記は通常の就任の登記と同じです

増員による取締役の就任の登記は、登記すべき事項に「令和○年○月○日取締役甲野太郎就任」と記載し、添付書面も通常の就任と同じです。定款の員数の上限を超える選任はできませんが、登記官は定款で員数を確かめないので、員数の上限を示す定款の添付は要りません。現任の監査役がいる会社で監査役を増員するときは、取締役が議案を出す前に会社法343条の監査役の同意が要ります。複数なら過半数、監査役会設置会社なら監査役会の同意で、同意書は添付書面ではありません。取締役会設置会社で取締役が3名を下回ったときの増員は、権利義務を負う者の退任の登記と同時に申請する形です。

会社法 第336条第3項

第一項の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることを妨げない。

試験ではこう問われる

  1. 補欠役員を選任した時点で登記するか、就任した時点で登記するかを問う肢
  2. 補欠役員の予選の効力がいつまで続くかを問う肢
  3. 補欠の監査役の任期を前任者の残任期間にするのに定款の定めが要るかを問う肢
  4. 増員した取締役の任期が他の取締役と当然に揃うかを問う肢
商業登記を肢別で解く

この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。

関連する用語

役員の変更

取締役の就任

株主総会の選任決議と本人の就任承諾がそろって取締役の地位が生じ、2週間以内に就任による変更の登記をします。就任承諾...
役員の変更

取締役の任期

取締役が在任できる期間で、原則は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで...
役員の変更

権利義務取締役

任期満了か辞任で退任したのに、役員が欠けるか員数を欠くために後任が就任するまでなお取締役の権利義務を負う者です。退...
役員の変更

取締役の選任決議と累積投票

取締役は株主総会の普通決議で選任し、定款で排除しない限り株主は累積投票を請求できます。決議の定足数の下限、種類株主...
役員の変更

監査役の任期

監査役の任期は会社法336条1項により選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の...