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届出印と印鑑証明書(登記所発行)とどけでいんといんかんしょうめいしょ

商業登記 第2章 印鑑と本人確認 過去問で8肢

登記所に提出した印鑑と、登記所がその印鑑について交付する証明書です。議事録や辞任届に届出印が押されていれば市町村長の印鑑証明書を省略できるという仕組みが肢で突かれます。

届出印は、会社の代表者などが登記所に提出している印鑑です。登記所はその印鑑について印鑑証明書を交付し、不動産取引や金融機関の手続で会社の印鑑証明書として使われるのはこれです。商業登記規則61条は代表取締役を選定した議事録に押した印鑑について市町村長の印鑑証明書を求めますが、変更前の代表取締役の届出印と同一なら省略できます。印鑑を提出した代表取締役等の辞任届も本人の届出印が押されていれば省略でき、届出印があれば本人の関与が確かめられるという考え方です。肢で突かれるのは、この省略が効く範囲と、効かない場面です。

商業登記規則 第61条第6項

代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

登記所の職員が議事録の印影と帳簿の印影を虫眼鏡で見比べて頷いている
議事録や辞任届に変更前の代表取締役の届出印が押されていれば、市町村長の印鑑証明書を省略できます
届出印と同一なら省略会計限定監査役も対象改印後は省略不可印鑑証明書は印鑑カードで請求

議事録に届出印が押されていれば出席者の印鑑証明書は要りません

取締役会の決議で代表取締役を選定したときは、出席した取締役と監査役が議事録に押した印鑑について市町村長の印鑑証明書を添付します。ただし、その印鑑と変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは要りません。「当該取締役会の議事録に押印された出席した取締役又は監査役の印鑑と変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑とが同一であるときを除き,当該取締役会の議事録に押印された出席した取締役及び監査役の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。株主総会の決議で定めたときは議長と出席取締役、取締役の互選なら互選書に押した取締役の印鑑が対象です。

監査の範囲が会計に限定された監査役も対象です

変更前の代表取締役の届出印による省略ができないときは、議事録の印鑑証明書は出席した取締役と監査役の全員について要ります。監査役の監査の範囲が会計に関するものに限定されていても除かれません。「当該取締役会に出席した監査役の監査の範囲が会計に関するものに限定されているときであっても,代表取締役の変更の登記の申請書には,当該監査役が当該取締役会の議事録に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。会計限定監査役は取締役会への出席義務を負いませんが、出席して議事録に押印した以上、その印鑑は本人性の確認の対象になります。

申請の時点で届出印と同一でなければ省略できません

省略できるのは、登記の申請の時点で議事録の印鑑と届出印とが同一である場合です。議事録に当時の届出印を押していても、申請の前に改印届を出して届出印が変わっていれば、同一とはいえず市町村長の印鑑証明書が要ります。「Bが代表取締役に就任したことによる変更の登記の申請前にAが改印届を登記所に提出したときであっても,当該登記の申請書には,当該議事録に押印した取締役及び監査役の印鑑につき市町村長の作成した証明書の添付を要しない」という肢は誤りです。

退任した代表取締役の届出印を後任が押しても省略できません

省略の根拠は、変更前の代表取締役が自分の届出印を押すことで本人の関与が確かめられる点にあります。取締役を辞任して代表取締役を退任したAの届出印を、後任のBが議事録に押しても、A本人が押したものではないので省略の要件を満たしません。「当該申請書に添付された取締役会議事録にAが登記所に提出している印鑑と同一の印鑑をBが押印しているときは,当該議事録に押印した取締役及び監査役の印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付することを要しない」という肢は誤りです。A自身が取締役会に出席して届出印を押していれば、その後に退任しても省略できます。条文の「取締役を兼ねる者に限る」は代表執行役についての限定です。

印鑑証明書は印鑑カードを提示して請求します

登記所発行の印鑑証明書は、印鑑を提出した者が手数料を納付して交付を請求します。申請書に被証明事項を記載して証明を請求する印鑑を特定し、印鑑カードを提示します。オンラインで請求することもでき、その場合は印鑑カード番号を送信します。取締役会設置会社でない会社の取締役の就任(再任を除く)には市町村長の印鑑証明書が要り、「本人確認証明書を添付すれば足り、印鑑証明書を添付することを要しない」という記述は誤りです。外国人が署名した就任承諾書では、市町村長の印鑑証明書に代えて本国官憲の署名証明書を添付できます。

商業登記規則 第35条の2

(申請書等への押印)
申請人又はその代表者が申請書に押印する場合には、登記所に提出している印鑑を押印しなければならない。
委任による代理人の権限を証する書面には、前項の印鑑を押印しなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 議事録に変更前の代表取締役の届出印があれば出席者の印鑑証明書を省略できるか(できる)
  2. 会計限定監査役の議事録の印鑑証明書は要るか(届出印による省略ができなければ要る)
  3. 議事録押印後に改印届を出したら省略できるか(できない)
  4. 退任者の届出印を後任が押せば省略できるか(できない。本人が押していれば退任後の申請でも可)
  5. 印鑑証明書の交付請求に何を提示するか(印鑑カード)

この用語が問われた肢

R5 問31 イ正しい

監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役を置いている取締役会設置会社において、取締役及び監査役の全員が出席した取締役会の決議によって代表取締役を選定した場合には、代表取締役の就任による変更の登記の申請書には、当該取締役会の議事録に押印された出席した取締役又は監査役の印鑑と変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑とが同一であるときを除き、当該取締役会の議事録に押印された出席した取締役及び監査役の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。

R2 問29 ア誤り

代表取締役Aが登記されている取締役会設置会社において,更に代表取締役Bを選定した取締役会の議事録にAが登記所に提出している印鑑と同一の印鑑を押印した場合には,その後,Bが代表取締役に就任したことによる変更の登記の申請前にAが改印届を登記所に提出したときであっても,当該登記の申請書には,当該議事録に押印した取締役及び監査役の印鑑につき市町村長の作成した証明書の添付を要しない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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