印鑑提出者いんかんていしゅつしゃ
登記所に印鑑を提出できる者で、商業登記法12条1項が列挙する申請書に押印すべき者・支配人・管財人などです。誰が提出者になれ、提出者の区分で印鑑届書の添付書面がどう変わるかが肢で突かれます。
印鑑提出者は、登記所に印鑑を提出し、その印鑑について登記所の証明書の交付を請求できる者です。商業登記法12条1項は、登記の申請書に押印すべき者、支配人、破産管財人や保全管理人、民事再生や会社更生の管財人などを列挙した条文です。会社では申請人である会社の代表者が中心で、代表者が法人のときはその職務を行うべき者が提出し、商業登記規則9条5項が提出者の区分ごとに印鑑届書の添付書面を定めています。令和3年2月15日以降は提出が任意ですが、書面で申請するなら申請書か委任状に届出印を押すので実際には提出します。肢で突かれるのは、誰が提出者になれるかと、区分ごとの添付書面の違いです。
商業登記法 第12条第1項次に掲げる者でその印鑑を登記所に提出した者は、手数料を納付して、その印鑑の証明書の交付を請求することができる。
一 第十七条第二項の規定により登記の申請書に押印すべき者(委任による代理人によつて登記の申請をする場合には、委任をした者又はその代表者)
二 支配人
三 破産法(平成十六年法律第七十五号)の規定により会社につき選任された破産管財人又は保全管理人
四 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)の規定により会社につき選任された管財人又は保全管理人
五 会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)の規定により選任された管財人又は保全管理人
六 外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号)の規定により会社につき選任された承認管財人又は保全管理人

提出者は申請書に押印すべき者と支配人・管財人です
商業登記法17条2項により申請書に押印すべき者が第一の提出者で、委任による代理人が申請するときは委任をした者またはその代表者です。会社なら代表取締役、代表執行役、代表社員、代表清算人がこれに当たります。支配人は商人や会社を代理して営業上の行為をするので、自分の印鑑を提出できます。破産管財人や保全管理人、再生手続や更生手続の管財人、外国倒産処理手続の承認管財人も提出者です。取締役会設置会社の平取締役や監査役のように、申請書に押印する立場にない者は印鑑を提出できません。
個人の代表者は市町村長の印鑑証明書を添えます
商号使用者、未成年者、個人の後見人、支配人を選任した個人の商人、会社の個人の代表者、外国会社の日本における個人の代表者、個人の管財人が提出するときの添付書面は一つです。印鑑届書に押した印鑑について、市町村長の作成した証明書で作成後3か月以内のものを添付します。「支配人を選任した商人(小商人及び会社である場合を除く。)が印鑑の提出をする場合には,印鑑届書に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後 3 月以内のものを添付しなければならない」という肢は正しい肢です。印鑑の廃止の届出をした商号使用者が2年以内に同一の印鑑を提出するときは、印鑑証明書が要りません。
法人代表者の職務執行者は保証書で本人性を示します
会社の代表者が法人であるとき、その法人の代表者が職務執行者なら登記所作成の資格を証する書面を添え、法人の代表者が印鑑を提出していなければ市町村長の印鑑証明書も添えるという区分です。法人の代表者でない者が職務執行者のときは、法人の登記事項証明書で作成後3か月以内のものと、法人の代表者がその者の印鑑に相違ないことを保証した書面が要ります。登記事項証明書は、同じ登記所に登記があるときや会社法人等番号を記載したときは省略できます。代表者が届出印を持っていればその印を押した保証書で足り、持っていなければ保証書に押した印鑑の市町村長の証明書を添えます。「当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していないときは,当該代表者が当該職務執行者の印鑑に相違ないことを保証した書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
支配人の印鑑は商人が保証します
支配人が印鑑を提出するときは、支配人を選任した商人がその印鑑に相違ないことを保証した書面を添付します。商人が登記所に印鑑を提出していれば届出印を押した保証書で足り、提出していなければ保証書に押した印鑑の市町村長の証明書で作成後3か月以内のものを添えます。商人が会社のときは会社の代表者が保証し、会社の印鑑の届出の有無で添付書面が変わるという仕組みです。支配人の印鑑証明書は支配人自身が交付を請求でき、支配人が商人を代理してする登記の申請書の押印と照合されます。支配人の登記そのものの申請人は支配人を選任した商人や会社です。
資格を失えば印鑑記録にその旨が記録されます
印鑑を提出した者がその資格を失い、または改印や印鑑の廃止の届出をしたときは、登記官が印鑑記録にその旨を記録します。代表取締役が退任して新しい代表取締役が就任するときは、新しい代表取締役が改めて印鑑を提出し、前任者の印鑑カードを承継して使うこともできます。数人の商号使用者が共同して商号を使用しているときは、他の商号使用者が印鑑を提出していない場合に限って印鑑を提出でき、一つの商号に複数の届出印が並ぶことはありません。
商業登記規則 第9条第5項第一項の書面には、次の各号に掲げる印鑑を提出する者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書面を添付しなければならない。ただし、同項の書面の提出を受ける登記所において登記がされている法人又は同項の書面に会社法人等番号を記載した法人の代表者の資格を証する書面については、この限りでない。
一 商号使用者、未成年者、後見人(法人である場合を除く。)、支配人を選任した商人(会社である場合を除く。)、会社の代表者(法人である場合を除く。)、外国会社の日本における代表者(法人である場合を除く。)又は管財人等(法人である場合を除く。) 第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、市長又は区長若しくは総合区長とする。以下同じ。)の作成した証明書で作成後三月以内のもの。ただし、印鑑の廃止の届出をした商号使用者が当該届出をしたときから二年以内に同一の印鑑を提出した場合を除く。
二 後見人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該後見人である法人の代表者の職務を行うべき者。以下この号において同じ。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面
イ 当該代表者が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの
ロ 当該代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 イに定める書面及び第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの
三 支配人 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面
イ 商人(当該商人が会社である場合にあつては、当該会社の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該代表者の職務を行うべき者)。以下この号において同じ。)が登記所に印鑑を提出している場合 商人が支配人の印鑑に相違ないことを保証した書面で当該登記所に提出している印鑑を押印したもの
ロ 商人が登記所に印鑑を提出していない場合 商人が支配人の印鑑に相違ないことを保証した書面及び当該書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの
四 会社の代表者が法人である場合における当該会社の代表者の職務を行うべき者(当該法人の代表者(当該代表者である法人の代表者が法人である場合にあつては、当該代表者である法人の代表者の職務を行うべき者。以下この号において同じ。)に限る。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面
イ 当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの
ロ 当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 イに定める書面及び第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの
五 会社の代表者が法人である場合における当該会社の代表者の職務を行うべき者(前号に掲げる者を除く。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面
イ 当該法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該代表者の職務を行うべき者。以下この号において同じ。)が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの及び当該法人の代表者が当該会社の代表者の職務を行うべき者の印鑑に相違ないことを保証した書面で当該登記所に提出している印鑑を押印したもの
ロ 当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 登記所の作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの、当該法人の代表者が当該会社の代表者の職務を行うべき者の印鑑に相違ないことを保証した書面及び当該書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの
六 外国会社の日本における代表者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者である法人の代表者の職務を行うべき者。以下この号において同じ。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面
イ 当該代表者が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの
ロ 当該代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 イに定める書面及び第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの
七 管財人等が法人である場合において当該管財人等の職務を行うべき者として指名された者(当該法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該代表者の職務を行うべき者。以下この号において同じ。)に限る。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面
イ 当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの
ロ 当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 イに定める書面及び第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの
八 管財人等が法人である場合において当該管財人等の職務を行うべき者として指名された者(前号に掲げる者を除く。) 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める書面
イ 当該法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該代表者の職務を行うべき者。以下この号において同じ。)が登記所に印鑑を提出している場合 登記所の作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの及び当該法人の代表者が当該指名された者の印鑑に相違ないことを保証した書面で当該登記所に提出している印鑑を押印したもの
ロ 当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していない場合 登記所の作成した当該法人の代表者の資格を証する書面で作成後三月以内のもの、当該法人の代表者が当該指名された者の印鑑に相違ないことを保証した書面及び当該書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの
試験ではこう問われる
- 印鑑を提出できるのは誰か(申請書に押印すべき者・支配人・管財人等)
- 個人の代表者の印鑑届書に添える書面は何か(市町村長の印鑑証明書で3か月以内)
- 法人の代表者でない職務執行者の印鑑届書に添える書面は何か(法人の登記事項証明書と代表者の保証書。代表者が印鑑未提出なら印鑑証明書も)
- 支配人の印鑑届書に添える書面は何か(商人の保証書)
- 共同して商号を使う商号使用者はそれぞれ印鑑を提出できるか(できない。他が提出していないときだけ)
この用語が問われた肢
合同会社の代表社員が法人である場合の職務執行者であって当該法人の代表者でない者が、印鑑を明らかにした書面により印鑑の提出をする場合において、当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していないときは、当該代表者が当該職務執行者の印鑑に相違ないことを保証した書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。
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