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印鑑の提出(任意化)いんかんのていしゅつ

商業登記 第2章 印鑑と本人確認 過去問で11肢

会社の代表者などが登記所に印鑑を届け出る手続で、令和3年2月15日の商業登記法20条の削除により義務ではなくなりました。誰がどの書面を添えて提出し、オンラインや代理人でできるかが肢で突かれます。

印鑑の提出は、登記の申請書に押印すべき者が、あらかじめ登記所に印鑑を届け出る手続です。令和3年2月15日施行の改正で、提出を義務づけていた商業登記法20条が削除され、提出は任意になりました。提出した印鑑は申請書や委任状の押印と照合され、登記所発行の印鑑証明書の基礎になるので、書面で申請する会社は今も提出します。商業登記規則9条により印鑑を明らかにした書面で提出し、会社の代表者が個人なら市町村長の作成した印鑑証明書で作成後3か月以内のものを添付します。肢で突かれるのは、提出の方法、添付する証明書、そしてオンラインや代理人で提出できるかです。

商業登記規則 第9条第1項

印鑑の提出は、当該印鑑を明らかにした書面をもつてしなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる印鑑を提出する者は、その書面にそれぞれ当該各号に定める事項(以下「被証明事項」という。)のほか、氏名、住所、年月日及び登記所の表示を記載し、押印(第五項第二号イ、第四号イ、第六号イ及び第七号イの場合において、当該各号の印鑑を提出する者が押印するときは、当該登記所に提出している印鑑に係るものに限る。)しなければならない。
一 商号使用者、未成年者、後見人(法人である場合を除く。)又は支配人を選任した商人(会社である場合を除く。)
二 後見人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該後見人である法人の代表者の職務を行うべき者)
三 支配人
四 会社の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該会社の代表者の職務を行うべき者)
五 外国会社の日本における代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者の職務を行うべき者)
六 破産法(平成十六年法律第七十五号)の規定により会社につき選任された破産管財人若しくは保全管理人、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)の規定により会社につき選任された管財人若しくは保全管理人、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)の規定により選任された管財人若しくは保全管理人、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号)の規定により会社につき選任された承認管財人若しくは保全管理人、保険業法(平成七年法律第百五号)第二百四十一条第一項の保険管理人又は預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第七十四条第一項の金融整理管財人若しくは同法第百二十六条の五第一項の預金保険機構(以下「管財人等」という。)(当該管財人等が法人である場合にあつては、当該管財人等の職務を行うべき者として指名された者)

会社の代表者が登記所の窓口で印鑑と届書を差し出し、職員が印影を帳簿に写し取る
印鑑の提出は令和3年2月15日から任意になり、印鑑届書に市町村長の印鑑証明書を添えて書面で提出します
令和3年2月15日から任意市町村長の印鑑証明書は3か月以内代理人・オンラインでも可外国人も印鑑を提出

印鑑届書には市町村長の印鑑証明書を添付します

会社の代表者、商号使用者、支配人を選任した商人などが印鑑を提出するときは、印鑑届書に押した個人の印鑑について、市町村長の作成した証明書で作成後3か月以内のものを添付します。「支配人を選任した商人(小商人及び会社である場合を除く。)が印鑑の提出をする場合には,印鑑届書に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書で作成後 3 月以内のものを添付しなければならない」という肢は正しい肢です。会社の代表者が法人であるときに、その法人の代表者でない職務執行者が提出するときは、二つの書面を添付します。法人の登記事項証明書で作成後3か月以内のもの(会社法人等番号を記載すれば省略可)と、法人の代表者がその印鑑に相違ないことを保証した書面です。法人の代表者が登記所に印鑑を提出していれば保証書に届出印を押し、提出していなければ保証書に押した印鑑の市町村長の証明書が要ります。「当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していないときは,当該代表者が当該職務執行者の印鑑に相違ないことを保証した書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。

提出は代理人でもオンラインでもできます

印鑑の提出、廃止の届出、印鑑カードの交付請求は代理人によってすることができ、印鑑届書に代理人の権限を証する書面を添付します。「印鑑の提出は,印鑑届書に代理人の権限を証する書面を添付して,代理人によりすることができる」という肢は正しい肢です。令和3年の改正後は、登記の申請と同時にする場合に限り、電子情報処理組織を使用して印鑑を提出することもできます。「印鑑の提出は,電子情報処理組織を使用してすることはできません」という解答は誤りです。他方で、改正前の出題では、オンライン登記申請で印鑑届書に代えて印影の情報を送信できるとする肢が誤りとされており、その後の改正で扱いが変わった論点として覚えます。

外国人も印鑑を提出し、署名を届け出る制度はありません

印鑑の提出に国籍による区別はなく、外国会社の日本における代表者が外国人であっても印鑑を提出します。署名を登記所に届け出て印鑑に代える制度は無く、「外国会社の日本における代表者が外国人である場合には,その日本における代表者は,印鑑の提出に代えて,自己の署名を登記所に届け出なければならない」という肢は誤りです。市町村長の印鑑証明書を取れない外国人が印鑑届書に署名したときは、登記実務では署名が本人のものであることの本国官憲の証明書で印鑑証明書に代えられると扱われています。代わるのは証明書であって、印影を署名に置き換えるわけではありません。

提出した印鑑は辞任届や申請書の押印と照合されます

印鑑を提出した代表取締役が辞任するときは、辞任を証する書面に押した印鑑について市町村長の印鑑証明書を添付しますが、届出印と同一なら要りません。「登記所に印鑑を提出している代表取締役が辞任した場合の変更の登記の申請書には,当該代表取締役が辞任を証する書面に押した印鑑について,当該印鑑と当該代表取締役が登記所に提出している印鑑とが同一であるときを除き,市区町村長の作成した印鑑証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。印鑑を提出した者が誰もいない会社では、代表者の辞任届に市町村長の印鑑証明書が要り、「登記所に印鑑を提出した者がない取締役会設置会社の代表取締役の辞任による変更の登記の申請書には,当該代表取締役が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。

印鑑の廃止は届出印を押した書面か印鑑カードの提示でします

提出した印鑑を使わなくなったときは、氏名・住所・年月日・登記所の表示を記載して当該印鑑を押した書面で廃止の届出をします。印鑑カードを提示するときは押印が要らず、「当該印鑑に係る印鑑カードを返納すれば,当該書面に廃止する印鑑を押印しなくても,印鑑の廃止の届出をすることができます」という解答は正しい解答です。印鑑を提出した者が資格を失ったときや改印・廃止の届出をしたときは、登記官が印鑑記録にその旨を記録します。本店を他の登記所の管轄区域内に移転したときの印鑑の扱いは、令和7年4月の改正で旧所在地の登記所が印鑑記録を移送し、新所在地の登記所に提出があったものとみなす形に変わりました。

商業登記規則 第9条第5項第1号

商号使用者、未成年者、後見人(法人である場合を除く。)、支配人を選任した商人(会社である場合を除く。)、会社の代表者(法人である場合を除く。)、外国会社の日本における代表者(法人である場合を除く。)又は管財人等(法人である場合を除く。) 第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、市長又は区長若しくは総合区長とする。以下同じ。)の作成した証明書で作成後三月以内のもの。ただし、印鑑の廃止の届出をした商号使用者が当該届出をしたときから二年以内に同一の印鑑を提出した場合を除く。

試験ではこう問われる

  1. 印鑑の提出は義務か(令和3年2月15日から任意)
  2. 印鑑届書に添付する市町村長の印鑑証明書の期限は何か(作成後3か月以内)
  3. 印鑑の提出を代理人やオンラインでできるか(できる。オンラインは登記申請と同時に限る)
  4. 外国人は印鑑の提出に代えて署名を届け出るか(届け出ない。印鑑を提出する)
  5. 印鑑の廃止届に押印が要らないのはどんなときか(印鑑カードを提示するとき)

この用語が問われた肢

R8 問28 ア正しい

合同会社の代表社員が法人である場合の職務執行者であって当該法人の代表者でない者が、印鑑を明らかにした書面により印鑑の提出をする場合において、当該法人の代表者が登記所に印鑑を提出していないときは、当該代表者が当該職務執行者の印鑑に相違ないことを保証した書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。

R5 問28 ウ誤り

【問】登記所への印鑑の提出は、電子情報処理組織を使用してすることはできますか。 印鑑の提出は、電子情報処理組織を使用してすることはできません。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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