登記記録の閉鎖と復活とうききろくのへいさとふっかつ
清算結了や管轄外への本店移転などで登記記録を閉じる手続と、閉じた記録を再び使えるようにする手続です。閉鎖される場面、解散後10年で登記官が閉鎖できること、清算未了の申出による復活、閉鎖登記記録の保存期間と閉鎖事項証明書が肢で突かれます。
登記記録の閉鎖は、会社が消滅したり他の登記所に移ったりして登記記録を使わなくなったときに、商業登記規則80条によりその記録を閉じる手続です。閉鎖された登記記録は商業登記規則2条により他の記録と区分して整理され、同規則34条4項2号により閉鎖した日から20年間保存されます。閉鎖後も商業登記規則30条1項3号の閉鎖事項証明書で内容を確かめられます。閉じた記録を再び生きた記録に戻すのが復活で、解散後10年を経て閉鎖された会社が清算を結了していない旨を申し出たときなどに行います。肢で突かれるのは、閉鎖の場面、保存期間、復活の手続と復活後の登記です。
商業登記規則 第80条(登記記録の閉鎖等)
次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。
一 本店を登記所の管轄区域外に移転した場合において、当該本店の旧所在地においてする移転の登記
二 組織変更又は合併による解散の登記
三 組織変更の無効、新設合併の無効又は新設分割の無効による解散の登記
四 清算結了の登記
五 特別清算終結の登記(特別清算の結了により特別清算終結の決定がされた場合に限る。)
前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

清算結了・合併・管轄外への本店移転で登記記録は閉鎖されます
商業登記規則80条1項は、管轄外への本店移転の旧所在地における登記、組織変更や合併による解散の登記、清算結了の登記、特別清算の結了による終結の登記などを挙げます。同条2項により、登記官がこれらの登記をしたときに登記記録を閉鎖します。株主総会の決議による解散の登記では閉鎖されず、清算株式会社として登記記録は生き続けます。合併による解散は消滅会社が消えるので閉鎖され、通常の解散は清算が続くので閉鎖されないという違いです。閉鎖の登記は登記記録区にします。
解散の登記から10年経つと登記官は職権で閉鎖できます
清算結了の登記がされないまま放置される会社に備えて、商業登記規則81条1項は解散の登記をした後10年を経過したときに登記官が登記記録を閉鎖できると定めます。みなし解散された休眠会社もこの対象です。同条2項により、期間が満了する2か月前から閉鎖までの間に会社が清算を結了していない旨を申し出たときは閉鎖できません。申出の後5年を経過すれば再び閉鎖できます。閉鎖は義務ではなく「できる」規定で、登記官の裁量です。
閉鎖後に清算未了の申出があれば登記官は登記記録を復活させます
商業登記規則81条3項により、登記記録を閉鎖した後に会社が清算を結了していない旨を申し出たときは、登記官は登記記録を復活しなければなりません。復活後は清算株式会社として清算人の登記などを続けます。裁判所が清算人を選任して登記した後、任務終了として選任決定が取り消されて登記記録が閉鎖された会社に残余財産が見つかり、別の清算人が選任された場面も復活の例です。「当該会社に残余財産があることが判明し,裁判所が別の清算人を新たに選任した場合に必要となる清算人の登記の登録免許税の額は,6000 円である」という肢は正しい肢です。最初の清算人の登記は9,000円ですが、清算人に関する事項の変更の区分で6,000円になります。
閉鎖した登記記録の保存期間は20年で、閉鎖事項証明書で見られます
商業登記規則34条4項2号により、閉鎖した登記記録は閉鎖した日から20年間保存されます。「閉鎖事項証明書の記載事項となる閉鎖した登記記録の保存期間は、閉鎖した日から30年間である」という肢は誤りです。登記事項証明書は商業登記規則30条1項により現在事項証明書・履歴事項証明書・閉鎖事項証明書・代表者事項証明書の4種類で、「登記事項証明書には、現在事項証明書、履歴事項証明書、閉鎖事項証明書、代表者事項証明書の 4 種類がある」という肢は正しい肢です。閉鎖事項証明書は閉鎖した登記記録に記録されている事項を証明し、合併で消えた会社の役員を調べるときなどに使います。
清算結了の登記が実体と合わないときは抹消して記録を戻します
清算結了の登記をした後に未処理の財産や債務が見つかったときは、清算は結了していなかったことになります。登記実務では、清算結了の登記は無効の原因がある登記として商業登記法134条により抹消を申請し、登記官は閉鎖した登記記録を復活させて清算人の登記を続けさせる扱いです。管轄外への本店移転では、旧所在地の登記所は新所在地で登記した旨の通知を受けるまで移転の登記をしません。新所在地の申請が却下されれば旧所在地の申請も却下されたものとみなされ、記録は初めから閉鎖されません。閉鎖の原因となった登記が消えれば記録も戻るという対応関係で整理できます。
商業登記規則 第81条次に掲げる場合には、登記官は、当該登記記録を閉鎖することができる。
一 解散の登記をした後十年を経過したとき。
二 次項又は第三項に規定する申出後五年を経過したとき。
前項第一号又は第二号に掲げる期間が経過する二月前から当該登記記録を閉鎖するまでの間に、会社が本店の所在地を管轄する登記所に清算を結了していない旨の申出をしたときは、登記官は、前項の規定にかかわらず、当該登記記録を閉鎖することができない。
第一項の規定により登記記録を閉鎖した後、会社が本店の所在地を管轄する登記所に清算を結了していない旨の申出をしたときは、登記官は、当該登記記録を復活しなければならない。
第四十五条後段の規定は、前項の規定により登記記録を復活する場合について準用する。
試験ではこう問われる
- 株主総会の決議による解散の登記で登記記録は閉鎖されるか(されない。清算結了の登記で閉鎖)
- 解散の登記から何年で登記官は登記記録を閉鎖できるか(10年)
- 閉鎖後に清算未了の申出があったとき登記官はどうするか(登記記録を復活させる)
- 閉鎖した登記記録の保存期間は何年か(20年)
- 登記事項証明書は何種類か(現在事項・履歴事項・閉鎖事項・代表者事項の4種類)
この用語が問われた肢
閉鎖事項証明書の記載事項となる閉鎖した登記記録の保存期間は、閉鎖した日から30年間である。
登記事項証明書には、現在事項証明書、履歴事項証明書、閉鎖事項証明書、代表者事項証明書の 4 種類がある。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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