大会社だいがいしゃ
最終事業年度の貸借対照表で資本金5億円以上か負債200億円以上の株式会社です。大会社である旨は登記されず、会計監査人の必置と公開会社なら監査役会の必置という形で機関設計の登記に表れる点が肢で突かれます。
大会社は、会社法2条6号により、最終事業年度の貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上か、負債の部の合計額が200億円以上の株式会社のことです。規模が大きい会社には会計監査人による監査を義務づけるための区分で、会社法328条が公開会社である大会社に監査役会と会計監査人を、公開会社でない大会社に会計監査人を置かせます。大会社である旨そのものは登記事項ではなく、登記簿の資本金の額が手掛かりになるだけで、負債の額は登記簿からは分かりません。肢で突かれるのは、大会社かどうかと公開会社かどうかを組み合わせたときに、どの機関が必置になるかです。
会社法 第2条第1項第6号大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。

資本金5億円以上か負債200億円以上のどちらかで大会社になります
会社法2条6号の要件は資本金と負債のどちらか一方を満たせば足り、最終事業年度に係る貸借対照表で判断します。資本金の額は登記事項なので登記簿で分かりますが、負債の額は登記簿に載りません。事業年度の末日に資本金を5億円以上にする増資をすれば、その事業年度の貸借対照表が確定した時点で大会社になります。大会社でなくなるのも同じで、減資をしてすぐ大会社でなくなるわけではなく、次の貸借対照表で判断します。
公開会社である大会社は監査役会と会計監査人が必置です
会社法328条1項により、公開会社である大会社は監査役会と会計監査人を置かなければなりません。監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は監査役を置けないので除かれ、代わりに会社法327条5項で会計監査人が必置です。大会社でない会社には監査役会の義務はなく、「取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある会社法上の公開会社であって大会社ではない会社が、新たに会計監査人設置会社の定めの設定による変更の登記をする場合には、併せて監査役会設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない」という肢は誤りです。公開会社である大会社の監査役会設置会社で、発行する株式について有価証券報告書を提出する会社は、会社法327条の2により社外取締役も置きます。
公開会社でない大会社は会計監査人が必置で監査役会は任意です
会社法328条2項により、公開会社でない大会社は会計監査人を置かなければなりませんが、監査役会までは要りません。委員会型でない限り会計監査人を置く以上、会社法327条3項により監査役は要り、会社法389条1項の会計限定の定めは設けられません。会計参与は会社法326条2項の任意の機関なので、大会社でも公開会社でも置けます。「会社法上の公開会社であって大会社である会社は、会計参与設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をすることができない」という肢は誤りです。
大会社になったら会計監査人設置会社の定めの設定を登記します
大会社の要件を満たすと会計監査人を置く義務が生じるので、まだ置いていなければ定款を変更して会計監査人設置会社の定めを設け、会計監査人を選任して登記します。既に登記している機関について改めて設定の登記をすることはありません。登記すべき事項は会計監査人設置会社である旨と会計監査人の氏名または名称で、大会社になった旨を書く欄はありません。委員会型でない公開会社なら、監査役会設置会社の定めの設定と社外監査役である旨の登記も同時に申請します。会計監査人の選任の手続を怠ると、会社法976条22号の過料の対象になります。
清算株式会社になった大会社は監査役会を廃止できます
会社法477条4項により、清算開始時に大会社だった清算株式会社は監査役を置かなければなりません。監査役会の設置は清算株式会社では任意なので、解散前に公開会社である大会社だった会社でも、監査役会を置く旨の定めを廃止して登記できます。「解散前に会社法上の公開会社であり,かつ,会社法上の大会社であった会社は,解散して清算株式会社となった後に定款を変更して監査役会を置く旨の定めを廃止しても,監査役会設置会社の定めの廃止の登記をすることができない」という肢は誤りです。会計監査人設置会社である旨は解散の登記で職権により抹消されるので、清算株式会社に会計監査人の登記は残りません。
会社法 第328条(大会社における監査役会等の設置義務)
大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。
公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。
試験ではこう問われる
- 大会社の要件は資本金と負債の両方を満たす必要があるか(どちらか一方で足りる)
- 大会社である旨は登記事項か(登記事項ではない)
- 公開会社でない大会社に必置の機関は何か(会計監査人。監査役会は不要)
- 大会社でない公開会社が会計監査人を置くとき監査役会も要るか(要らない)
- 清算株式会社になった大会社は監査役会設置会社の定めを廃止できるか(できる。監査役は置く)
この用語が問われた肢
取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある会社法上の公開会社であって大会社ではない会社が、新たに会計監査人設置会社の定めの設定による変更の登記をする場合には、併せて監査役会設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない。
会社法上の公開会社であって大会社である会社は、会計参与設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をすることができない。
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