監査役設置会社かんさやくせっちがいしゃ
監査役を置く旨の定款の定めがある株式会社で、登記上は監査の範囲を会計に限定した会社も含めて監査役設置会社である旨を登記します。置かなければならない会社、廃止で監査役の任期が満了すること、清算株式会社での廃止の制限が肢で突かれます。
監査役設置会社は、会社法2条9号により監査役を置く株式会社と、法律の規定で監査役を置かなければならない株式会社のことです。会社法上の定義からは監査の範囲を会計に限定した会社が除かれますが、会社法911条3項17号は登記事項としてその会社も含め、限定の定めがある旨を併せて登記させます。取締役会設置会社と会計監査人設置会社は会社法327条2項・3項により監査役を置く義務があり、監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は同条4項により監査役を置けません。肢で突かれるのは、設定と廃止に連動する登記と、解散や清算の場面で廃止の登記ができるかどうかです。
会社法 第2条第1項第9号監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。

取締役会か会計監査人を置けば監査役も置きます
会社法327条2項により、取締役会設置会社は監査役を置かなければなりません。例外は公開会社でない会計参与設置会社ですが、会計監査人を置くなら同条3項により監査役が要ります。会計監査人設置会社も同条3項により監査役を置きますが、監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は監査役を置いてはならず、それぞれ監査等委員会と監査委員会が監査を担います。監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する定款の定めは、会社法389条1項により公開会社でない会社だけが設けられ、監査役会設置会社と会計監査人設置会社は設けられません。限定の定めがある旨は平成27年5月1日から登記事項になっています。
設定の登記は定款変更と監査役の就任を一つの申請書に載せます
監査役を置く旨の定めを設ける定款変更は株主総会の特別決議です。申請書には株主総会議事録と株主リストを添え、監査役の選任と就任の登記も同時に申請します。監査役の就任には商業登記法54条1項の就任承諾書と、再任でなければ商業登記規則61条7項の本人確認証明書が必要です。登記すべき事項には監査役設置会社である旨と監査役の氏名を書き、会計限定の定めがあればその旨も記載事項です。監査役設置会社の定めの設定だけを登記して監査役の就任を落とすと、監査役が1人もいない監査役設置会社になるので、同時申請を欠く申請は却下の対象です。
廃止で監査役の任期は満了し、移行のときも廃止を申請します
監査役を置く旨の定款の定めを廃止すると、会社法336条4項1号により監査役の任期はその時に満了します。廃止の登記と監査役の退任の登記は同じ申請書で申請し、退任を証する書面は定款変更の株主総会議事録で足ります。監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社になる定款変更をしたときも、監査役は会社法336条4項2号により退任し、監査役設置会社の定めの廃止は当事者が申請します。「監査役設置会社が委員会設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をした場合には,監査役設置会社の定めの登記は,登記官の職権により抹消される」という肢は誤りです。職権で抹消する記号が記録されるのは解散の登記の場面の一部の機関だけで、監査役設置会社である旨はそこにも含まれず、機関設計の変更は申請で登記します。
解散しても監査役設置会社である旨は抹消されません
解散の登記をしたときに商業登記規則72条1項で抹消する記号が記録されるのは、取締役会・特別取締役・会計参与・会計監査人・監査等委員会・指名委員会等に関する登記です。監査役設置会社である旨と監査役会設置会社である旨は残ります。清算株式会社も会社法477条2項により監査役を置けるからです。「定款の定めにより監査役及び会計監査人を置いていた会社が解散したときは,解散の登記がされても,監査役設置会社である旨及び会計監査人設置会社である旨の登記を抹消する記号は,いずれも記録されない」という肢は誤りです。会計監査人設置会社である旨は抹消され、監査役設置会社である旨は抹消されないという組合せになります。
清算開始時に公開会社か大会社だった会社は監査役を廃止できません
会社法477条4項により、清算の開始時に公開会社または大会社であった清算株式会社は監査役を置かなければなりません。清算中に定款を変更して全部の株式に譲渡制限を付けても、この義務は清算開始時の状態で決まるので消えません。「清算株式会社となった時点で会社法上の公開会社であった会社は,清算開始後に定款を変更して発行する全部の株式を譲渡制限株式とし,監査役を置く旨の定めを廃止しても,監査役設置会社の定めの廃止の登記をすることができない」という肢は正しい肢です。「清算の開始時に会社法上の公開会社であった清算株式会社は、定款を変更して公開会社でない会社となった場合であっても、監査役設置会社の定めの廃止の登記を申請することができない」という肢も正しい肢です。清算株式会社の監査役に任期はなく、監査役を置く旨や会計限定の定めを廃止する定款変更をした時に会社法480条1項により退任します。
会社法 第911条第3項第17号監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、その旨及び次に掲げる事項
試験ではこう問われる
- 取締役会設置会社で監査役を置かずに済むのはどの会社か(会計監査人を置かない非公開の会計参与設置会社。委員会型は置けない)
- 委員会型の会社への移行で監査役設置会社の定めは職権で抹消されるか(されない。廃止を申請する)
- 解散の登記で監査役設置会社である旨は抹消されるか(されない。会計監査人設置会社の旨は抹消される)
- 清算開始時に公開会社だった清算株式会社は監査役設置会社の定めを廃止できるか(できない)
- 監査役設置会社の定めの廃止で監査役の任期はどうなるか(定款変更の効力発生時に満了する)
この用語が問われた肢
清算の開始時に会社法上の公開会社であった清算株式会社は、定款を変更して公開会社でない会社となった場合であっても、監査役設置会社の定めの廃止の登記を申請することができない。
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