監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の登記かんさやくのかんさのはんいをかいけいにげんていするむねのとうき
公開会社でない会社が定款で監査役の権限を会計監査に限ったときに、その旨を登記する仕組みです。どの会社が定められるか、定めの廃止で任期が満了すること、会計限定の会社が監査役設置会社に当たらないことが肢で突かれます。
監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の登記は、定款で監査役の監査を会計に関するものに限ったときに、その旨を登記することです。定められるのは会社法389条1項により公開会社でない会社で、監査役会設置会社と会計監査人設置会社は除かれます。平成27年5月1日施行の会社法改正で会社法911条3項17号イの登記事項になりました。会計限定の監査役を置く会社は、会社法2条9号の監査役設置会社には当たりません。肢で突かれるのは、定められる会社の範囲、定めの設定と廃止に伴う登記、そして監査役設置会社でないことから生じる違いです。
会社法 第389条第1項公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第三百八十一条第一項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。

非公開会社だけが定められ、監査役会・会計監査人設置会社は除きます
会社法389条1項の定めを置けるのは公開会社でない会社だけで、監査役会設置会社と会計監査人設置会社は除かれます。定めを置く定款変更は株主総会の特別決議で、設定の登記には株主総会議事録と株主リストを添付します。定めを設けても監査役の任期は満了しません。平成27年5月1日より前から会計限定の定めがあるとみなされていた会社は、その後に監査役の就任や退任の登記をするときまでに、会計限定の旨を登記する扱いです。一般社団法人には同じ仕組みがなく、「一般社団法人は、監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の登記をすることができない」という肢は正しい肢です。
定めを廃止すると監査役の任期が満了します
会社法336条4項3号により、監査の範囲を会計に限定する定めを廃止する定款変更をすると、監査役の任期はその時に満了します。業務監査まで行う監査役を改めて選び直させる趣旨です。「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めのある監査役を置く清算株式会社において、当該定めを廃止した場合には、当該監査役の退任による変更の登記を申請しなければならない」という肢は正しい肢です。廃止の登記と退任の登記、続けて選任した監査役の就任の登記を一つの申請書で申請し、従前の監査役を切れ目なく再選したときは重任の登記になります。
会計限定の会社は監査役設置会社の定めを使えません
会社法2条9号の監査役設置会社は、監査の範囲を会計に限定された監査役を置く会社を含みません。会社法426条1項の取締役の過半数の同意による責任の一部免除の定款の定めは監査役設置会社などに限られるので、会計限定の会社は設定できません。「取締役が 2 名以上ある取締役会設置会社でない会社は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの登記がされている場合であっても、会社法第 423 条第 1 項に規定する取締役の損害賠償責任について、当該責任を負う取締役を除く取締役の過半数の同意により会社法所定の要件の下その責任の一部を免除することができる旨の定款の定めの設定による変更の登記の申請をすることができる」という肢は誤りです。取締役会設置会社でない会社では、会計限定の監査役がいても取締役と株主との間の訴えで会社を代表するのは監査役ではありません。
会計限定の監査役が議事録に押した印鑑も印鑑証明書の対象です
会計限定の監査役は会社法389条7項により取締役会への出席義務を負いませんが、出席して議事録に記名押印すれば商業登記規則61条6項3号の対象になります。「代表取締役を選定した取締役会の議事録に変更前の代表取締役が登記所に提出した印鑑が押印されていない場合には,当該取締役会に出席した監査役の監査の範囲が会計に関するものに限定されているときであっても,代表取締役の変更の登記の申請書には,当該監査役が当該取締役会の議事録に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。出席した取締役と監査役の全員の印鑑が対象で、監査役の権限の広さで区別しません。
会社法 第336条第4項前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
二 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
三 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
四 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
試験ではこう問われる
- 会計限定の定めを置ける会社の範囲(非公開会社、監査役会・会計監査人設置会社の除外)を問う肢
- 定めの設定で監査役の任期が満了するか、廃止で満了するかを問う肢
- 会計限定の会社が監査役設置会社に当たるか、責任免除の定款の定めを設定できるかを問う肢
- 会計限定の監査役が取締役会議事録に押した印鑑が印鑑証明書の対象かを問う肢
この用語が問われた肢
一般社団法人は、監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の登記をすることができない。
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めのある監査役を置く清算株式会社において、当該定めを廃止した場合には、当該監査役の退任による変更の登記を申請しなければならない。
取締役が 2 名以上ある取締役会設置会社でない会社は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの登記がされている場合であっても、会社法第 423 条第 1 項に規定する取締役の損害賠償責任について、当該責任を負う取締役を除く取締役の過半数の同意により会社法所定の要件の下その責任の一部を免除することができる旨の定款の定めの設定による変更の登記の申請をすることができる。
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