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執行異議しっこういぎ

民事執行法 第1章 執行機関と不服申立て 過去問で9肢

執行異議とは、執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものと、執行官の執行処分及びその遅怠に対して、執行裁判所に申し立てる不服申立てです(11条1項)。執行文の付与の申立てに関する処分への不服は、執行異議ではなく32条の異議の申立てによります。

執行異議は、執行手続の中の違法を、執行裁判所に正してもらう申立てです。対象は、執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものと、執行官の執行処分及びその遅怠です(11条1項)。

執行異議の申立書に×印、32条の異議の申立書に○印を付けて示す受付
執行文の付与の申立てに関する処分への不服は、執行異議ではなく32条の異議の申立てによります
執行文付与は執行処分でない32条の異議で争う書記官の所属する裁判所へ
民事執行法 第11条第1項

執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。

執行抗告の対象にならない執行処分は、執行異議で争います

10条1項により執行抗告は特別の定めがある場合に限られるので、それ以外の執行裁判所の執行処分に対する不服は執行異議になります。不動産の強制競売の開始決定には執行抗告の定めがないので、債務者が開始決定を争うときは執行異議を申し立てます。執行官の執行処分に違法があるときも、執行裁判所に執行異議を申し立てます。執行官が行う執行処分については、その執行官の所属する地方裁判所が執行裁判所となるからです(3条)。

実体上の理由は、執行異議ではなく請求異議の訴えで主張します

執行異議は、執行手続が法律の定めに従って行われているかを判断する手続です。債務名義に表示された請求権が弁済で消滅しているといった実体上の事由は、請求異議の訴え(35条)で主張します。これに対し、不動産担保権の実行では、開始決定に対する執行抗告又は執行異議の申立てにおいて、債務者又は不動産の所有者は担保権の不存在又は消滅を理由とすることができます(182条)。担保権の実行は債務名義によらずに始まるので、担保権の存否をこの手続で争えるようにしています。

黒板の左右に執行異議と請求異議の訴えを並べ、争う理由の違いを比べる教室
執行異議で争うのは手続の違法で、実体上の理由は請求異議の訴えで主張します
執行異議は手続の違法実体は請求異議担保権実行は例外
民事執行法 第182条第1項

不動産担保権の実行の開始決定に対する執行抗告又は執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者(不動産とみなされるものにあつては、その権利者。以下同じ。)は、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。

執行文の付与に関する処分への不服は、執行異議ではなく32条の異議の申立てです

執行文は、執行機関とは別に、裁判所書記官又は公証人が付与します。32条1項は、執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあってはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあってはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができると定めています。「執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対しては、執行異議を申し立てることができる」という肢(R4 午後 問7 ア)は誤りです。不服を申し立てること自体はできますが、その手段は11条の執行異議ではなく、32条の異議の申立てです。

民事執行法 第32条第1項

執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。

執行異議の申立てをしても執行は止まらず、停止は裁判所が命じます

11条2項は、10条6項前段と9項を執行異議に準用しています。執行異議の申立てがあっただけでは手続は止まらず、執行裁判所が、担保を立てさせ又は立てさせないで原裁判の執行の停止や手続の停止を命じ、又は担保を立てさせて続行を命ずることができます。この停止や続行の決定に対しては、不服を申し立てることができません(10条9項の準用)。

民事執行法 第11条第2項

前条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による申立てがあつた場合について準用する。

裁判所書記官の処分に対する異議は、条文ごとに置かれた別の異議です

配当要求の終期の決定(49条5項)、売却の方法などの定め(64条6項)、代金納付の期限の定め(78条6項)のような裁判所書記官の処分に対しては、それぞれの条文が、執行裁判所に異議を申し立てることができると定めています。いずれも10条6項前段と9項が準用され(49条6項、64条7項、78条7項)、執行異議と同じように扱われますが、根拠は11条ではなく各条の規定です。肢で「異議」とあるときは、誰のどの処分に対する異議なのかを条文で確かめる必要があります。

民事執行法 第49条第5項

第一項又は第三項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

試験ではこう問われる

  1. 執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分への不服は、執行異議ではなく32条1項の異議の申立てによる(R4 午後 問7 ア ×)
  2. 執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものには、執行異議を申し立てる(11条1項前段)
  3. 執行官の執行処分とその遅怠に対しても、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる(11条1項後段)
  4. 不動産担保権の実行の開始決定に対する執行異議では、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる(182条)

この用語が問われた肢

R4 問7 ア誤り

執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対しては、執行異議を申し立てることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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