執行文の付与等に関する異議の申立てしっこうぶんのふよとうにかんするいぎのもうしたて
執行文の付与等に関する異議の申立てとは、執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官又は公証人の処分に対する不服申立てで、裁判所書記官の処分にあってはその所属する裁判所に、公証人の処分にあってはその役場の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます(32条1項)。異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができません(同条3項・4項)。
執行文の付与等に関する異議の申立ては、執行文を付与した処分と付与を拒絶した処分の当否を、簡易な手続で裁判所に判断してもらう申立てです。

民事執行法 第32条第1項執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。
執行文の付与の申立てに関する処分には、異議を申し立てられます
32条1項は、執行文の付与の申立てに関する処分に対して異議を申し立てることができると定めています。執行文を付与されたことに不服のある債務者も、付与の申立てを却下された債権者も、この申立てをすることができます。平成30年の肢は、執行文の付与の申立てに関する処分に対しては異議の申立てをすることができないとしており、誤りとされています。
申立先は、裁判所書記官の処分なら所属する裁判所、公証人の処分なら役場の所在地の地方裁判所です
申立先は処分をした者によって分かれます。裁判所書記官の処分にあってはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあってはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます(32条1項)。執行文の付与は執行処分ではないので、この申立ては11条の執行異議ではありません。「執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対しては、執行異議を申し立てることができる」という肢(R4 午後 問7 ア)は誤りです。
異議についての裁判には、不服を申し立てられません
32条3項は、異議の申立てについての裁判と執行停止等の裁判は口頭弁論を経ないですることができると定め、4項は、これらの裁判に対しては不服を申し立てることができないと定めています。この異議は簡易な手続で決着させ、事実の到来や承継の有無をめぐる争いは、執行文付与の訴え(33条)や執行文付与に対する異議の訴え(34条)で判決手続により決めるという分担になっています。「執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを却下した裁判に対しては、不服を申し立てることができる」という肢(R8 午後 問7 オ)は誤りです。

民事執行法 第32条第4項前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
異議の申立てがあっても、執行を止めるには停止の裁判が要ります
執行文の付与に対し異議の申立てがあったときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができます。急迫の事情があるときは、裁判長もこれらの処分を命ずることができます(32条2項)。少額訴訟の確定判決などの正本を更に交付する処分にも、1項から4項までが準用されます(同条5項)。
民事執行法 第32条第2項執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
試験ではこう問われる
- 執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、異議を申し立てることができる(32条1項。H30 午後 問7 オ ×・出題当時)
- 裁判所書記官の処分への異議は、執行異議ではなく32条1項の異議の申立てである(R4 午後 問7 ア ×)
- 異議の申立てを却下した裁判に対しては、不服を申し立てることができない(32条4項。R8 午後 問7 オ ×)
- 公証人の処分に対する異議は、公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てる(32条1項)
- 執行文の付与に対して異議の申立てがあったときは、裁判所は強制執行の停止を命ずることができる(32条2項)
この用語が問われた肢
執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを却下した裁判に対しては、不服を申し立てることができる。
執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対しては、執行異議を申し立てることができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

