離婚の効果(復氏・婚氏続称・子の監護・親子交流・養育費・子の氏の変更)りこんのこうか
離婚の効果とは、離婚によって生じる身分上・財産上の効果で、婚姻によって氏を改めた者の当然の復氏と婚氏続称(767条)、子の監護をすべき者・親子の交流・監護費用の分担の定め(766条〜766条の3)、親権者の定め(819条)、財産分与(768条)などがあり、子が父母の嫡出子である身分や親子間の扶養・相続の関係は離婚によって変わりません。
結婚で名字を変えた人は、離婚すると自動的に元の名字に戻ります。仕事の都合などで結婚中の名字を使い続けたいときは、離婚から3か月以内に届け出れば続けられます。子どもについては、誰が世話をするか、別れて暮らす親と会う方法、養育費を話し合って決め、まとまらなければ家庭裁判所が決めます。離婚しても子どもは父母の嫡出子のままで、親権者でない親も親として扶養し、相続人になります。子の名字は自動では変わらず、原則として家庭裁判所の許可を得て変えます。

婚姻で氏を改めた者は離婚によって当然に復氏し、離婚の日から3か月以内に届け出れば離婚の際の氏を称することができます
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復します(767条1項)。裁判上の離婚にも準用されるので(771条)、復氏は離婚の効果として当然に生じ、裁判所が判決で氏を定めるのではありません。復氏した者は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができます(767条2項)。届出は3か月以内であればよく、離婚の届出と同時にする必要はありません。
夫婦の一方が死亡したときは当然には復氏せず、生存配偶者は姻族関係を終了させなくても届出で婚姻前の氏に復することができます
夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができます(751条1項)。離婚と違い、死亡による婚姻の解消では当然には復氏しません。復氏と姻族関係の終了(728条2項)は別々の手続で、姻族関係を終了させなくても婚姻前の氏に復することができます。
- 離婚(767条・771条)当然に復氏。3か月以内の届出で婚氏続称
- 夫婦の一方の死亡(751条1項)当然には復氏しない。届出で復氏できる
- 姻族関係(728条)離婚で当然に終了。死亡では生存配偶者の意思表示で終了
- 復氏と姻族関係の終了別の手続で、一方だけでもできる
子の監護に関する事項は父母の協議で定め、家庭裁判所は協議の定めも変更でき、別居中の親子の交流も定められます
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項を、子の利益を最も優先して考慮して協議で定めます(766条1項)。協議が調わないとき又はできないときは家庭裁判所が定め(同条2項)、家庭裁判所は必要があると認めるときは協議や審判による定めを変更できます(同条3項)。父母の協議で子を監護すべき者を定めた場合も、家庭裁判所はその定めを変更できます。親権者が監護をするのが通常なので、親権者のほかに監護権者を定めなければならないわけではありません。判例は、婚姻中の父母が別居している場合も、家庭裁判所は766条を類推適用して面接交渉について相当な処分を命ずることができるとしており(最決平成12年5月1日)、令和6年の改正で、子と別居する父又は母その他の親族と子との交流は父母の協議で定め、調わなければ家庭裁判所が定めると明文化されました(817条の13)。父母の離婚前でも、家庭裁判所は親子の交流について相当な処分を命ずることができます。令和6年の改正では、父母以外の親族と子との交流の審判(766条の2)と、養育費の取決めなく離婚した場合の法定養育費の請求(766条の3)も新設されました。

離婚しても子は父母の嫡出子のままで、親権者でない親も扶養義務を負い、子の推定相続人の地位を失いません
離婚は夫婦の関係を解消するだけで親子の関係には影響せず、子は父母の嫡出子としての身分を失いません。親権者と定められなかった親も子の直系血族なので、子に対する扶養義務を負い(877条1項)、子が死亡したときは直系尊属として相続人となりえます(889条1項1号)。親権者でない親も、子の推定相続人としての地位を失わず、子に対する扶養義務を免れません。
子が父又は母と氏を異にするときは家庭裁判所の許可を得て届け出ますが、父母の婚姻中に父母の氏を称するときは許可が要りません
子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができます(791条1項)。離婚で母が復氏しても子の氏は当然には変わらず、子が母の氏を称するには家庭裁判所の許可を得た上で届け出ることが必要です。15歳以上の子が自ら届け出る場合も同じなので、「父母の離婚により 15 歳以上の未成年者が親権者である父又は母と氏を異にする場合には、その未成年者は、家庭裁判所の許可を得ることなく、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その親権者である父又は母の氏を称することができる。」という肢(R6 問4 オ)は誤りです。父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、父母の婚姻中に限り、許可を得ないで届出だけで父母の氏を称することができます(同条2項)。母が再婚して再婚相手の氏を称したときも、子は791条1項で母の氏を称することができ、再婚相手との縁組は必須ではありません。氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から1年以内に届け出れば従前の氏に復することができ(同条4項)、家庭裁判所の許可は要りません。婚姻によって氏を改めた者は、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は養親の氏を称しません(810条ただし書)。
- 791条1項父又は母と氏が違う子は家庭裁判所の許可+届出で父又は母の氏に
- 791条2項父又は母の改氏で父母と氏が違う子は、父母の婚姻中なら許可なしの届出
- 791条3項子が15歳未満なら法定代理人が代わってする
- 791条4項氏を改めた未成年の子は成年に達してから1年以内の届出で従前の氏に(許可不要)
- 810条ただし書婚姻で氏を改めた者は婚姻中の氏を称すべき間は養親の氏を称さない
民法 第767条第1項婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
民法 第767条第2項前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
民法 第766条第1項父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
民法 第791条第1項子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
試験ではこう問われる
- 婚姻で氏を改めた者は離婚で当然に復氏し、裁判所が判決で氏を定めるのではない(767条1項・771条)
- 婚氏続称は離婚の日から3か月以内の届出でよく、離婚の届出と同時でなくてよい(767条2項)
- 死亡による婚姻の解消では当然には復氏せず、姻族関係を終了させなくても届出で復氏できる(751条1項)
- 家庭裁判所は協議で定めた監護者の定めも変更できる(766条3項)
- 婚姻中に別居する父母の子と親との交流も家庭裁判所が定められる(最決平成12年5月1日・817条の13)
- 離婚しても子は嫡出子のままで、親権者でない親も扶養義務を負い推定相続人のまま
- 離婚で親権者と氏を異にする子は、15歳以上でも家庭裁判所の許可を得て届け出なければ親権者の氏を称せない(791条1項。R6 問4 オ ×)

