登記事項の閲覧・証明とうきじこうのえつらんしょうめい
何人も手数料を納めて登記記録の内容の証明書や要約書の交付を受けられるという、登記の公開の仕組みです。誰が、どこで、どの種類を請求でき、住所を伏せる例外がどう動くかが肢で突かれます。
登記事項の閲覧・証明は、不動産登記法119条が定める登記記録の公開の仕組みで、何人も登記官に手数料を納めて登記事項証明書や登記事項要約書の交付を請求できます。登記記録が電子化された現在は帳簿そのものを閲覧する制度はなく、記録の概要を記載した登記事項要約書が閲覧の役目を引き継いでいます。登記は権利関係を第三者に公示するための制度なので、請求に利害関係や理由は要りません。肢で突かれるのは、誰が・どこで・何を請求できるかの三点と、令和6年4月1日に始まった住所の代替措置です。
不動産登記法 第119条(登記事項証明書の交付等)
何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の概要を記載した書面の交付を請求することができる。
前二項の手数料の額は、物価の状況、登記事項証明書の交付に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定める。
第一項及び第二項の手数料の納付は、収入印紙をもってしなければならない。ただし、法務省令で定める方法で登記事項証明書の交付を請求するときは、法務省令で定めるところにより、現金をもってすることができる。
第一項の交付の請求は、法務省令で定める場合を除き、請求に係る不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対してもすることができる。
登記官は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、第一項及び第二項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項を記載しなければならない。

何人も、利害関係がなくても交付を請求できます
登記事項証明書の交付は何人も請求でき、請求人が所有者や債権者である必要はありません。請求には請求情報として不動産の所在事項や不動産番号、証明書の種類と通数を示し、手数料は収入印紙で納めるのが原則です。登記簿の附属書類のうち図面以外の書類の閲覧が、申請人自身の場合を除いて正当な理由を要するのと違い、登記記録の内容は誰にでも開かれているのが原則です。地図や建物所在図の写しの交付と閲覧も、不動産登記法120条により同じく何人も請求できるものです。登記事項要約書は登記記録の概要を記載した書面で、認証文がなく証明書としては使えませんが、権利関係をすばやく確かめる用途に向いています。
管轄外の登記所でも、オンラインでも請求できます
登記事項証明書の交付の請求は、請求に係る不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対してもできます。請求書を窓口に出す方法のほか、登記所に置かれた入出力装置に請求情報を入力する方法、電子情報処理組織で請求情報を送る方法があります。オンラインで請求したときは手数料を現金で納めることができ、送付による受け取りを選んでも構いません。登記事項要約書は閲覧に代わるものなので、交付を受けるのは管轄の登記所に限られます。
証明書には全部事項・現在事項などの種類があります
登記事項証明書の記載事項を種類ごとに定めているのは不動産登記規則196条です。登記事項証明書には登記官が認証文を付し、作成の年月日と職氏名を記載して職印を押すので、写しではなく証明書として通用し、甲区や乙区の記録がないときは認証文にその旨が付記されます。全部事項証明書は閉鎖されていない登記記録の全部を、現在事項証明書は現に効力を有する部分を記載します。何区何番事項証明書は権利部の特定の部分を、所有者証明書は現在の所有権の登記名義人の氏名または名称・住所・法人識別事項と、共有なら各名義人の持分を記載するものです。抹消された事項は下線を引いて表され、順位番号の順序で記載され、添付情報として他の登記所の不動産を示すときや申請人の資格を示すときは、求められているのがどの種類かを確かめて請求します。
危害のおそれがあるときは住所に代わる事項が載ります
不動産登記法119条6項は令和6年4月1日に施行されました。登記記録に記録された自然人の住所が明らかになると生命や身体に危害が及ぶおそれがある場合などに、その者の申出があれば、証明書や要約書には住所に代わる事項が記載されます。被害者の支援団体や法務局の住所などが代わりに載り、登記記録そのものの住所は変わりません。あわせて、所有権の登記名義人が自分の名義の不動産の一覧の証明を求める所有不動産記録証明書の制度も令和8年2月に始まっており、相続人が被相続人の不動産を探す手がかりになります。
不動産登記規則 第196条(登記事項証明書の種類等)
登記事項証明書の記載事項は、次の各号の種類の区分に応じ、当該各号に掲げる事項とする。
一 全部事項証明書 登記記録(閉鎖登記記録を除く。以下この項において同じ。)に記録されている事項の全部
二 現在事項証明書 登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの
三 何区何番事項証明書 権利部の相当区に記録されている事項のうち請求に係る部分
四 所有者証明書 登記記録に記録されている現在の所有権の登記名義人の氏名又は名称、住所及び法人識別事項並びに当該登記名義人が二人以上であるときは当該登記名義人ごとの持分
五 一棟建物全部事項証明書 一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項の全部
六 一棟建物現在事項証明書 一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの
前項第一号、第三号及び第五号の規定は、閉鎖登記記録に係る登記事項証明書の記載事項について準用する。
試験ではこう問われる
- 登記事項証明書の交付を請求できるのは誰か(何人も。利害関係は不要)
- 管轄登記所以外の登記所で登記事項証明書の交付を受けられるか(受けられる。要約書は管轄登記所のみ)
- 登記記録そのものを閲覧する制度はあるか(ない。登記事項要約書で代える)
- 住所が明らかになると危害が及ぶおそれがある者の証明書には何が記載されるか(住所に代わる事項。令和6年4月1日施行)
- 登記事項証明書と登記事項要約書の違いは何か(証明書は認証文付き、要約書は概要のみで証明力がない)
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