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転貸てんたい

不動産登記 第8章 用益権・その他の権利 過去問で7肢

賃借人が賃借物をさらに第三者に貸すことで、転貸の登記は賃借権の登記に付記してされます。賃貸人の承諾の要否、転借権者の持分の記載、転借権の抹消の前提として何が要るかが肢で突かれます。

転貸は、賃借人が賃借物をさらに第三者に貸すことで、賃借物の転貸の登記は賃借権の登記に付記してされます。民法612条により賃貸人の承諾がなければ転貸できないので、転貸を許す定めが登記されていない限り、承諾か承諾に代わる裁判所の許可を証する情報が要ります。登記事項は賃借権と同じ不動産登記法81条で、賃料や存続期間を転貸借の内容で書きます。肢で突かれるのは、承諾の要否、持分の記載、転借権の抹消の前提として何が要るかです。

不動産登記法 第81条

(賃借権の登記等の登記事項)
賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 賃料
二 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
三 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
四 敷金があるときは、その旨
五 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
六 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
七 前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
八 借地借家法第二十二条第一項前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め

大家から部屋を借りた借主が別の人物に鍵を渡し、三人が一列に並び、大家が承諾の印を押している
転貸の登記は賃借権の付記で、転貸を許す定めがなければ賃貸人の承諾が要ります
賃借権の付記登記転借人と賃借人の共同申請転借権者が複数なら持分を書く

転貸の登記は賃借権の付記登記で、申請人は賃借人と転借人です

転借権は賃借権を目的とする権利なので、不動産登記規則3条により賃借権の登記に付記してされ、「乙区1番付記1号転借権」のように記録されます。申請人は転借人が登記権利者、転貸人である賃借人が登記義務者で、土地の所有者は申請人になりません。添付情報は登記原因証明情報、賃借人の登記識別情報、代理権限証明情報で、賃借人は所有権の登記名義人ではないので印鑑証明書は原則として要りません。登録免許税は賃借権の設定と同じ不動産の価額の1000分の10で、「賃借権の転貸の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 10 を乗じた額である」という肢は正しい肢です。

転貸を許す定めがなければ賃貸人の承諾が要ります

賃借権の登記に転貸を許す旨の定めがあれば、賃貸人の承諾を証する情報は要りません。定めがなければ、登記原因について第三者の承諾を要する場合として、賃貸人の承諾書と印鑑証明書か、借地借家法に基づく承諾に代わる裁判所の許可を証する情報を提供します。許す定めがある賃借権は、賃借人の意思だけで処分できる財産なので、「国は,当該賃借権を目的として滞納処分による差押えの登記を嘱託することができる」という肢は正しい肢です。賃借権を目的とする質権の設定も同じで、許す定めがあるときに賃貸人の承諾を要求する肢は誤りです。

転借権者が複数のときは持分が申請情報の内容です

転借権者が二人以上いるときは、各自の持分を申請情報の内容にします。「転借権者が複数名いるときは、転借権者ごとの持分を申請情報の内容としなければならない」という肢は正しい肢です。地役権と違って転借権者の氏名が登記されるので、共有の割合を公示する必要があるからです。賃料や存続期間、転貸借に敷金があればその旨など、賃借権と同じ事項を転貸借の内容で記載します。

転借権の抹消では賃借権の名義を現在の権利者に揃えます

転借権の抹消は、賃借人が登記権利者、転借人が登記義務者の共同申請です。賃借人である会社が吸収合併され、その後に生じた原因で抹消するときは、合併後の会社が権利者として申請するために、先に合併による賃借権の移転の登記が要ります。合併前に生じた原因なら、存続会社が一般承継人として移転の登記なしに申請できます。「その前提として,合併を原因とする乙区 1 番賃借権の移転の登記の申請をしなければならない」という肢は正しい肢です。転借人の住所が変わっていても、抹消される側の登記名義人の住所の変更の登記は前提になりません。「その前提として,Bの住所の変更の登記の申請をしなければならない」という肢は誤りで、住所の変更を証する情報を添えれば足りる扱いです。

民法 第612条

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

試験ではこう問われる

  1. 転貸の登記は主登記か付記登記か、申請人は誰か(賃借権の付記。転借人と賃借人の共同申請)
  2. 転貸を許す定めがない賃借権の転貸に賃貸人の承諾は要るか(要る)
  3. 転借権者が複数のとき持分を書くか(書く)
  4. 転借権の抹消の前提として、合併した賃借人の移転登記や転借人の住所変更登記は要るか(合併後に生じた原因なら移転登記は要る。住所変更は要らない)

この用語が問われた肢

R2 問27 イ正しい

賃借権の転貸の登記の登録免許税の額は,不動産の価額に 1000 分の 10 を乗じた額である。

R4 問13 イ正しい

賃借権の転貸の登記を申請する場合において、転借権者が複数名いるときは、転借権者ごとの持分を申請情報の内容としなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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