敷地権しきちけん
区分建物の敷地を使うための登記された所有権・地上権・賃借権のうち、専有部分と分離して処分できないものです。敷地権の種類ごとの添付情報の違いと、敷地権が生じた日を境にした登記の可否が肢で突かれます。
敷地権は、区分建物の敷地を使う権利である敷地利用権のうち、登記されたものであって、区分所有法22条1項本文によって区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないものです。不動産登記法44条1項9号がこの名前を与え、建物の表題部の登記事項にしています。所有権の共有持分であることが多いものの、地上権や賃借権が敷地権になることもあります。敷地権が建物の表題部に記録されると、以後は建物の登記が敷地にも及ぶ一体の仕組みが動き出すので、何が敷地権になり、いつから敷地権になったかが肢の軸です。
不動産登記法 第44条第1項第9号建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

登記された分離処分できない敷地利用権が敷地権です
敷地利用権は、専有部分を所有するために建物の敷地を使う権利の総称で、所有権・地上権・賃借権・使用借権などがあります。敷地権になるには、まず登記されていることが要るため、登記できない使用借権や登記していない賃借権は敷地権になりません。次に区分所有法22条1項本文により専有部分と分離して処分できないことが要り、規約で分離処分を認めている敷地利用権は敷地権になりません。所有権が敷地権になるときは区分所有者の共有持分という形を取るのが通常で、地上権や賃借権なら準共有持分です。一人が専有部分の全部を所有するときは、区分所有法22条3項により単独で持つ敷地利用権も敷地権になります。
表題部に目的土地・種類・割合を記録します
登記官は、区分建物の表題部に敷地権を記録するとき、敷地権の登記原因とその日付のほか、敷地権の目的である土地の所在・地番・地目・地積、敷地権の種類、敷地権の割合を記録します。不動産登記規則118条の定めで、種類は所有権・地上権・賃借権のいずれかで、割合は区分所有者が持つ共有持分の割合です。一人が数個の専有部分を持つときの各専有部分への配分は、区分所有法22条2項により床面積の割合によるのが原則で、規約で別段の定めができます。土地側の登記記録には、権利部の相当区に敷地権である旨の登記が職権でされます。権利に関する登記を申請するときは、この敷地権の表示を申請情報に書き、不動産番号を使っても種類と割合は省略できません。
敷地権が生じた日が登記の可否を分けます
敷地権が生じるのは、区分所有法22条の分離処分禁止が働き始めた日で、新築のマンションなら区分所有者が専有部分と敷地利用権を併せ持った日です。分離処分を認める規約を廃止した日に敷地権が生じることもあります。不動産登記法73条2項と3項は、この日より後に登記原因が生じた土地だけ・建物だけの移転や担保権の登記を禁じ、前に生じた原因による仮登記・質権・抵当権の登記を例外として許します。登記原因の日付と敷地権の原因日付を見比べることが、区分建物の肢を解くときの最初の作業です。
存続期間満了の地上権でも消滅が明らかでなければ移転できます
敷地権が地上権で、登記記録上その存続期間が満了していても、地上権は期間満了で当然に消えるとは限りません。「登記記録上存続期間が満了している地上権を敷地権とする区分建物の所有権の移転の登記が申請されたときは、当該登記の申請情報及び添付情報から当該区分建物の敷地権が消滅していることが明らかな場合を除き、当該所有権の移転の登記をすることができる」という肢は正しい肢です。登記官は形式的審査しかしないので、申請情報と添付情報から敷地権の消滅が明らかでない限り、敷地権付きのまま登記します。消滅が明らかなら、先に敷地権の変更の登記で敷地権を外してから移転の登記をする流れです。
敷地権が賃借権なら賃貸人の承諾が要ります
敷地権が賃借権のときに区分建物を売ると、賃借権も一緒に移るので、民法612条により賃貸人の承諾が要ります。承諾は登記原因についての第三者の承諾として添付情報になります。「敷地権が賃借権である敷地権付き区分建物について売買を原因とする所有権の移転の登記を申請する場合には、当該賃借権の設定の登記に賃借権の譲渡を許す旨の定めがないときであっても、当該賃貸借の賃貸人の承諾を証する情報の提供を要しない」という肢は誤りです。賃借権の登記に譲渡を許す旨の定めが登記されていれば、承諾を証する情報は要りません。敷地権が所有権や地上権のときは、譲渡に承諾が要らないのでこの添付情報は出てきません。
不動産登記規則 第118条第1項登記官は、区分建物である建物の登記記録の表題部に法第四十四条第一項第九号に掲げる敷地権を記録するときは、敷地権の登記原因及びその日付のほか、次に掲げる事項を記録しなければならない。
一 敷地権の目的である土地に関する次に掲げる事項
イ 当該土地を記録する順序に従って付した符号
ロ 当該土地の不動産所在事項
ハ 地目
ニ 地積
二 敷地権の種類
三 敷地権の割合
試験ではこう問われる
- 登記していない賃借権や使用借権は敷地権になるか(ならない。登記された所有権・地上権・賃借権に限る)
- 敷地権の表示として申請情報に書くのは何か(土地の表示・種類・割合。不動産番号でも種類と割合は省略できない)
- 存続期間が満了した地上権が敷地権の区分建物に移転登記ができるか(消滅が明らかでなければできる)
- 賃借権が敷地権の区分建物を売るとき賃貸人の承諾情報は要るか(譲渡を許す旨の定めの登記が無ければ要る)
この用語が問われた肢
登記記録上存続期間が満了している地上権を敷地権とする区分建物の所有権の移転の登記が申請されたときは,当該登記の申請情報及び添付情報から当該区分建物の敷地権が消滅していることが明らかな場合を除き,当該所有権の移転の登記をすることができる。
敷地権が賃借権である敷地権付き区分建物について売買を原因とする所有権の移転の登記を申請する場合には、当該賃借権の設定の登記に賃借権の譲渡を許す旨の定めがないときであっても、当該賃貸借の賃貸人の承諾を証する情報の提供を要しない。
敷地権付き区分建物について所有権の移転の登記を申請する場合において、当該区分建物の不動産番号を申請情報の内容としたときは、敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目、地積、敷地権の種類及び割合を申請情報の内容とすることを要しない。
Aが敷地権のない甲区分建物の所有権及びその敷地である乙土地の所有権の共有持分を取得し、それぞれの所有権の登記名義人となった後に、乙土地について敷地権である旨の登記がされた場合において、甲区分建物についてAを登記義務者として売買を原因とする所有権の移転の登記を申請するときは、Aは、甲区分建物の所有権に関する登記識別情報及び乙土地の所有権に関する登記識別情報のいずれも提供しなければならない。
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