区分建物の表題登記(一括申請)くぶんたてもののひょうだいとうき
一棟の建物を新築したとき、その一棟に属する全部の区分建物の表題登記を併せて申請しなければならないという不動産登記法48条の仕組みです。誰が他の区分建物の分まで申請できるか、表題部所有者からの保存登記を誰ができるかが肢で突かれます。
区分建物の表題登記は、一棟の建物が新築されたときに、その一棟に属する区分建物のすべてについて併せて申請しなければならない表示に関する登記です。不動産登記法48条1項が定め、一棟の建物の表題部を一度に作らないと、同じ一棟の情報が区分建物ごとにばらばらになるからです。普通の建物なら所有者が一か月以内に表題登記を申請すれば足りますが、区分建物では他の区分建物の所有者と足並みを揃えなければなりません。足並みが揃わないときのために、一人の区分建物所有者が他人の分も申請できる代わり申請の規定が置かれ、新築後の相続や、表題部所有者からの転得者の保存登記にも区分建物固有の特則があります。
不動産登記法 第48条第1項区分建物が属する一棟の建物が新築された場合又は表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物となった場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物又は当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。

一棟の新築では区分建物の全部を併せて申請します
区分建物が属する一棟の建物が新築された場合、その区分建物の表題登記は、同じ一棟に属する他の区分建物の表題登記の申請と併せてしなければなりません。表題登記がない建物に接続して区分建物が新築されて一棟の建物になった場合も同じです。分譲マンションでは、分譲業者が一棟全体の表題部所有者として全戸分を一括して申請するのが通常です。所有者が分かれているときには、足並みを揃える義務として表に出ます。申請の期限は、新築した建物の所有者が所有権の取得の日から一か月以内に表題登記を申請するという47条1項の原則どおりです。
一人の所有者が他の所有者に代わって申請できます
不動産登記法48条2項は、区分建物の所有者が他の区分建物の所有者に代わって、他の区分建物の表題登記を申請できると定めます。他の所有者が動かないために自分の表題登記ができなくなる事態を避けるための規定で、債権者代位のような代位原因は要りません。表題登記がある普通の建物に接続して区分建物が新築されたときは、48条3項により、新築した区分建物の表題登記は既存の建物の表題部の変更の登記と併せて申請します。区分建物の所有者は、48条4項によって既存の建物の表題部所有者や所有権の登記名義人に代わり、表題部の変更の登記を申請できます。
相続人は被相続人名義でも表題登記を申請できます
区分建物を新築した所有者について相続その他の一般承継があったときは、不動産登記法47条2項により、相続人その他の一般承継人も被承継人を表題部所有者とする表題登記を申請できます。普通の建物なら相続人は自分を表題部所有者として申請しますが、区分建物では一棟の一括申請や分譲の流れを崩さないように、死亡した被承継人の名義で表題部を作れるようにしたものです。相続人は、その後に74条1項1号の一般承継人として自分名義の所有権の保存の登記をすることになります。
74条2項の保存登記は直接の取得者に限られます
区分建物では、不動産登記法74条2項により、表題部所有者から所有権を取得した者も直接自分名義の所有権の保存の登記を申請でき、敷地権付きなら敷地権の登記名義人の承諾が要ります。しかし表題部所有者から順次に転売された先の者は、この特則の対象になりません。「Aを表題部所有者とする所有権の登記がない敷地権付き区分建物がAからBへ、BからCへと順次売却された場合には、Cは、当該区分建物について自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる」という肢は誤りです。表題部所有者の相続人から買い受けた者も直接の取得者ではないので、「敷地権付き区分建物の表題部所有者Aが死亡し、その唯一の相続人であるBがCに当該区分建物を売却した場合には、Cは、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することはできない」という肢は正しい肢です。
判決による保存登記には建物図面と各階平面図が要ります
所有権を有することを確認する確定判決を得た者は、不動産登記法74条1項2号により、表題登記のない建物についても直接所有権の保存の登記を申請できます。登記官が表題部を職権で作ることになるので、建物の表題登記に添える建物図面と各階平面図を提供しなければなりません。「表題登記のない建物について,Aが,当該建物の所有権を有することを確認する旨の確定判決に基づいて,当該建物の表題登記の申請をすることなくAを登記名義人とする所有権の保存の登記の申請をする場合には,当該建物の建物図面及び各階平面図を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。表題登記のない国有地でも、国に対して移転登記を命ずる判決の理由中で現在の所有者が申請人だと説示されていれば、登記実務では確認判決に準じて保存の登記が認められています。申請できないとする肢は誤りです。
不動産登記法 第48条第2項前項の場合において、当該区分建物の所有者は、他の区分建物の所有者に代わって、当該他の区分建物についての表題登記を申請することができる。
試験ではこう問われる
- 一棟の建物を新築したとき区分建物の表題登記は一戸ずつ申請できるか(できない。属する区分建物の全部を併せて申請)
- 区分建物の所有者が他の区分建物の所有者に代わって表題登記を申請できるか(できる。代位原因は不要)
- 新築後に所有者が死亡したとき相続人は誰を表題部所有者として申請するか(被相続人名義で申請できる)
- 表題部所有者の相続人から買った者や転々売買の転得者は74条2項の保存登記ができるか(できない)
- 表題登記のない建物を判決で保存登記するとき建物図面と各階平面図は要るか(要る)
この用語が問われた肢
Aを表題部所有者とする所有権の登記がない敷地権付き区分建物がAからBへ、BからCへと順次売却された場合には、Cは、当該区分建物について自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
敷地権付き区分建物の表題部所有者Aが死亡し、その唯一の相続人であるBがCに当該区分建物を売却した場合には、Cは、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することはできない。
表題登記のない国有地について、国に対してAへの所有権の移転の登記手続をすべきことを命ずる判決が確定した場合には、当該判決の理由中で当該土地の現在の所有者がAである旨が説示されていたとしても、Aは、自己を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。