区分建物の合併・分割くぶんたてもののがっぺいぶんかつ
接続する区分建物同士を登記記録上一個の建物にする区分合併と、附属建物を別の建物に切り離す分割、建物の一部を区分建物にする区分の登記です。誰が申請できるか、どんな建物同士は合併できないかが肢で突かれます。
区分建物の合併は、表題登記がある区分建物を、これと接続する他の区分建物に合併して登記記録上一個の建物にする表示に関する登記です。隣り合う二つの部屋を一戸にまとめる場面で使います。反対に建物の一部を区分建物として独立の登記記録にするのが建物の区分の登記、附属建物を切り離して別の一個の建物にするのが建物の分割の登記です。いずれも不動産登記法54条が申請人を限定し、56条が合併できない組合せを列挙しています。物理的な工事を伴わず登記記録の上だけで建物の個数を変える登記なので、権利関係が食い違う建物同士を一つにして登記を混乱させないための制限が肢の軸です。
不動産登記法 第54条第1項次に掲げる登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
一 建物の分割の登記(表題登記がある建物の附属建物を当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいう。以下同じ。)
二 建物の区分の登記(表題登記がある建物又は附属建物の部分であって区分建物に該当するものを登記記録上区分建物とする登記をいう。以下同じ。)
三 建物の合併の登記(表題登記がある建物を登記記録上他の表題登記がある建物の附属建物とする登記又は表題登記がある区分建物を登記記録上これと接続する他の区分建物である表題登記がある建物若しくは附属建物に合併して一個の建物とする登記をいう。以下同じ。)

申請人は表題部所有者か所有権の登記名義人に限られます
建物の分割の登記、建物の区分の登記、建物の合併の登記は、不動産登記法54条1項により、表題部所有者または所有権の登記名義人以外の者は申請できません。不動産登記法30条により、表題部所有者や所有権の登記名義人の相続人その他の一般承継人も申請できます。所有者の意思で建物の個数を変える登記なので、申請義務はなく、登記官が職権ですることもありません。共用部分である旨の登記や団地共用部分である旨の登記がある建物については、表題部所有者の記録が抹消されているので、54条2項によりその建物の所有者が分割や区分の登記を申請します。共用部分に関する登記事項は、不動産登記規則142条によって分割後・区分後の建物の登記記録に転写されます。
区分合併は接続する区分建物同士に限られます
建物の合併の登記には二つの型があります。一つは表題登記がある建物を他の建物の附属建物にする合併で、もう一つは表題登記がある区分建物を、これと接続する他の区分建物に合併して一個の建物にする区分合併です。不動産登記法54条1項3号の定義のとおり、区分建物同士の合併は接続していることが要件で、離れた階の二部屋を一個の建物にすることはできません。合併後は一個の建物になり、同じ土地について同じ種類の敷地権が続くときは、敷地権の割合も合算した割合に改められます。
所有者や持分、所有権の登記の有無が違えば合併できません
不動産登記法56条は、合併できない建物の組合せを列挙しています。表題部所有者または所有権の登記名義人が互いに異なる建物、同じでも持分が互いに異なる建物、所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物は、合併の登記ができません。合併すると一個の建物に一つの所有権の登記しか残らないので、権利者が食い違う建物を一つにすると誰のものか分からなくなるからです。共用部分である旨の登記や団地共用部分である旨の登記がある建物も合併できず、先に規約を廃止して表題登記をやり直す必要があります。
他の権利の登記がある建物は原則として合併できません
所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物は、原則として合併の登記ができません。例外は、合併後の建物の登記記録に登記できるものとして法務省令で定める権利の登記がある場合です。登記の目的・受付年月日と受付番号・登記原因とその日付が同一の担保権の登記や、登記事項が同一の信託の登記が当たります。片方の部屋にだけ抵当権が付いているときは、後から追加設定しても受付番号が揃わないので、抹消してからでなければ合併できません。土地の合筆の制限と同じ発想ですが、承役地の地役権の登記が例外になるのは合筆の側だけです。
敷地権のない建物になるときは特定登記の消滅を承諾できます
敷地権付き区分建物が合併によって敷地権のない建物になるとき、建物の登記記録にあった担保権などの特定登記は、土地の登記記録に転写するのが原則です。不動産登記法55条3項は、特定登記の名義人が土地についてその権利を消滅させることを承諾した情報を、合併の申請情報と併せて提供する道を認めます。特定登記に係る権利を目的とする第三者の権利の登記があれば、その第三者の承諾も必要です。承諾があれば、登記官が職権で土地についてその権利の消滅を登記します。敷地権の変更や不存在の更正、建物の滅失のときと同じ仕組みで、特定登記が土地に転写されて散らばるのを避ける道が用意されています。
不動産登記法 第56条(建物の合併の登記の制限)
次に掲げる建物の合併の登記は、することができない。
一 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の合併の登記
二 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる建物の合併の登記
三 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする建物の合併の登記
四 所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物との建物の合併の登記
五 所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物(権利に関する登記であって、合併後の建物の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある建物を除く。)の建物の合併の登記
試験ではこう問われる
- 建物の分割・区分・合併の登記を申請できるのは誰か(表題部所有者か所有権の登記名義人とその一般承継人。職権や申請義務はない)
- 離れた階にある二つの区分建物を合併できるか(できない。接続する区分建物に限る)
- 所有者や持分が異なる区分建物、所有権の登記の有無が違う建物を合併できるか(できない)
- 片方だけに抵当権の登記がある区分建物を合併できるか(できない。目的・受付番号・原因日付が同一の担保権なら可)
- 合併で敷地権のない建物になるとき特定登記はどうなるか(土地に転写。名義人の消滅承諾があれば職権で消滅登記)
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