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農地の相続と届出のうちのそうぞくととどけで

不動産登記 第3章 添付情報と登記原因証明情報 過去問で5肢

相続や遺産分割で農地を取得したときは農地法3条の許可は要らず、農業委員会への届出で足りるという整理です。届出は登記の添付情報ではなく、許可が要る取得との線引きが肢で突かれます。

農地の相続と届出は、相続や遺産分割、包括遺贈のように農地法3条の許可の対象から外れている取得では許可が要らず、代わりに取得後に農業委員会へ届け出るという仕組みです。農地法3条の3が定め、届出は農業委員会が農地の権利関係を把握するための事後の手続で、取得の効力には関係しません。相続登記の申請でも許可書や届出書は添付情報になりません。肢で突かれるのは、相続に付随する取得のうち、どこまでが許可不要でどこからが許可が要る法律行為かという線引きです。

不動産登記令 第7条第1項第5号

登記原因について第三者の許可、同意又は承諾を要するときは、当該第三者が許可し、同意し、又は承諾したことを証する情報

畑の前で喪服の家族が畑の鍵を受け取り、農業委員会の窓口に届出の紙を出す場面
相続で農地を取得したときは農地法の許可は要らず、農業委員会へ届け出ます
相続・遺産分割・包括遺贈は届出相続人以外への特定遺贈は許可相続登記の申請義務とは別

相続・遺産分割で農地を取得しても許可は要らず、届出をします

相続による農地の取得は法律の規定による承継で、許可の対象になりません。法定相続分の登記の後に遺産分割で持分を移す場合も同じで、「遺産分割を原因とするAからBへのA持分全部の移転の登記を申請する場合には,農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要する」という肢は誤りです。取得した相続人は農地法3条の3により農業委員会に届け出ますが、届出書を登記所に出す必要はなく、相続登記の申請書に許可書の行もありません。

相続人以外への特定遺贈だけは許可が要ります

包括遺贈は相続と同じ扱いで許可が要らず、「Aの遺言に基づくBへの遺贈は包括遺贈に当たるため,農地法所定の許可は不要です」という解答は正しい解答です。相続人に対する特定遺贈も農地法の施行規則で許可不要とされ、「Aが,相続人であるBへ甲土地を特定遺贈する旨の遺言をして死亡し,Bがこの遺言書を提供して所有権の移転の登記を申請するときは,農地法所定の許可があったことを証する情報を提供することを要する」という肢は誤りです。相続人でない人への特定遺贈は法律行為による移転として許可が要り、遺贈の登記に許可書を添えます。

相続分の譲渡は届出で足り、共有物分割には許可が要ります

相続人の間で相続分を贈与し、それを原因に持分を移すときは、遺産分割の一過程として許可が要りません。「CがDに対して相続分を贈与し,当該相続分の贈与を登記原因としてCからDへの持分の移転の登記を申請するときは,農地法所定の許可があったことを証する情報を提供することを要しない」という肢は正しい肢です。他方で、相続登記の後に共有物分割で持分を移すのは通常の法律行為なので許可が要り、「共有物分割を原因とするAからBへのA持分全部の移転の登記を申請する場合には,農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要する」という肢は正しい肢です。遺産分割か共有物分割かで許可の要否が変わるので、登記原因の名前に注意します。

届出と相続登記の申請義務は別の義務で、期限も別です

農地法の届出は、農地法3条の3により権利を取得したことを遅滞なく農業委員会に届け出るもので、怠ると農地法上の過料の対象です。令和6年4月1日から施行された相続登記の申請義務は、相続で所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記所へ申請する義務で、根拠も相手も期限も違います。農地を相続した人は、農業委員会への届出と登記所への相続登記の両方をすることになり、どちらか一方で他方が済むわけではありません。

不動産登記法 第76条の2

(相続等による所有権の移転の登記の申請)
所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
前二項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

試験ではこう問われる

  1. 相続や遺産分割で農地を取得したとき農地法の許可書は要るか(要らない。農業委員会に届出)
  2. 相続人への特定遺贈と相続人以外への特定遺贈で許可の要否は分かれるか(分かれる。相続人以外には要る)
  3. 相続分の贈与による持分移転と共有物分割による持分移転で許可の要否は分かれるか(分かれる。共有物分割には要る)
  4. 農地法の届出をすれば相続登記の申請義務は果たしたことになるか(ならない)

この用語が問われた肢

R7 問18 ア誤り

法定相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記がされ、A及びBが所有権の登記名義人となった甲土地について、遺産分割を原因とするAからBへのA持分全部の移転の登記を申請する場合には、農地法所定の許可があったことを証する情報の提供を要する。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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