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原本還付げんぽんかんぷ

不動産登記 第3章 添付情報と登記原因証明情報 過去問で15肢

書面申請で添付した書面の原本を、謄本を出して登記所から返してもらう手続です。返してもらえない書面はどれかが肢で突かれます。

原本還付は、書面申請をした申請人が、申請書に添付した書面の原本を返してもらう手続です。原本と相違ない旨を記載した謄本を提出し、登記官が調査を終えて照合したうえで原本を返します。戸籍や契約書のように他の手続でも使う書面を、登記のたびに取り直さなくて済むための仕組みで、不動産登記規則55条が定めています。肢で突かれるのは、還付できない書面の線引きで、申請書や委任状に付けた印鑑証明書と、その申請のためだけに作られた書面が代表です。

不動産登記規則 第55条

(添付書面の原本の還付請求)
書面申請をした申請人は、申請書の添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付を請求することができる。ただし、令第十六条第二項、第十八条第二項若しくは第十九条第二項又はこの省令第四十八条第三号(第五十条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第二項第三号若しくは第百五十六条の六第二項(第百五十六条の七第二項後段において準用する場合を含む。)の印鑑に関する証明書及び当該申請のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでない。
前項本文の規定により原本の還付を請求する申請人は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出しなければならない。
登記官は、第一項本文の規定による請求があった場合には、調査完了後、当該請求に係る書面の原本を還付しなければならない。この場合には、前項の謄本と当該請求に係る書面の原本を照合し、これらの内容が同一であることを確認した上、同項の謄本に原本還付の旨を記載し、これに登記官印を押印しなければならない。
前項後段の規定により登記官印を押印した第二項の謄本は、登記完了後、申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。
第三項前段の規定にかかわらず、登記官は、偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面については、これを還付することができない。
第三項の規定による原本の還付は、申請人の申出により、原本を送付する方法によることができる。この場合においては、申請人は、送付先の住所をも申し出なければならない。
前項の場合における書面の送付は、同項の住所に宛てて、書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによってするものとする。
前項の送付に要する費用は、郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを提出する方法により納付しなければならない。
前項の指定は、告示してしなければならない。

登記所の職員が申請人に原本を返し、写しを綴じ込み帳に綴じる場面
原本還付は謄本を出して添付書面の原本を返してもらう手続です
規則55条申請書・委任状・承諾書の印鑑証明書は不可遺産分割協議書の印鑑証明書は可

申請書・委任状・承諾書に付けた印鑑証明書は還付できません

還付できない書面は、申請書に押印した者の印鑑証明書、委任状に押印した者の印鑑証明書、承諾書に押印した者の印鑑証明書と、その申請のためにだけ作られた委任状などに限られます。「贈与を登記原因とするAからBへの所有権の移転の登記を申請する場合において,その申請書に押印されたAの印鑑に関する証明書を添付したときは,当該証明書の原本の還付を請求することができない」という肢は正しい肢です。取締役会の議事録に押印した印鑑証明書は利益相反の承諾を証する書面に付けたものなので、「当該印鑑に関する証明書の原本の還付を請求することはできない」という肢は正しい肢で、「取締役会の承認を受けたことを証する情報に添付した印鑑に関する証明書の原本の還付を請求することができる」という肢は誤りです。

遺産分割協議書の印鑑証明書は還付できます

遺産分割協議書に添える相続人の印鑑証明書は、申請書や委任状に付けたものではなく登記原因証明情報の一部です。還付できない書面のどれにも当たらないので、還付を請求できます。「Aの相続人全員が押印した遺産分割協議書を添付して相続を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合には,当該遺産分割協議書に押印された相続人の印鑑に関する証明書の原本の還付を請求することができない」という肢は誤りです。印鑑証明書という名前だけで還付の可否を決めず、どの書面に付いたものかで判断します。

承諾書は還付でき、裁判所書記官が作った印鑑証明書は還付できません

不在者の財産管理人が裁判所の許可を得て承諾した書面と、その印鑑について裁判所書記官が作成した証明書を添付したとします。承諾書そのものは還付できますが、裁判所書記官作成の印鑑証明書は還付できません。「いずれの書面についても,原本の還付を請求することができない」という肢は誤りです。一組の書面でも、還付できる分とできない分に分かれることがあります。

登記識別情報を記載した書面と、認証を受けた委任状は還付できません

登記識別情報を記載した書面は、その申請のためにだけ提供されるもので還付できません。「当該書面の原本の還付を請求することができない」という肢は正しい肢で、「申請書に添付した登記識別情報を記載した書面の原本の還付を請求することができる」という肢は誤りです。委任する旨だけを書いて公証人の認証を受けた委任状も、その申請のためにだけ作られた書面なので還付できず、「当該委任状の原本の還付を請求することができない」という肢は正しい肢です。

不正な申請に使われた疑いのある書面は、登記官が還付を拒めます

偽造された書面など不正な登記の申請に用いられた疑いがある書面は、本来なら還付できる書面でも登記官は還付できません。「委任状が不正な登記の申請のために用いられた疑いがある場合には,当該委任状が当該申請のためにのみ作成されたものでないときであっても,登記官は,当該委任状の原本を還付することができない」という肢は正しい肢です。還付が原則の手続で、証拠保全のために止められる例外が規則に置かれている関係です。

不動産登記規則 第55条第1項

書面申請をした申請人は、申請書の添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付を請求することができる。ただし、令第十六条第二項、第十八条第二項若しくは第十九条第二項又はこの省令第四十八条第三号(第五十条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第二項第三号若しくは第百五十六条の六第二項(第百五十六条の七第二項後段において準用する場合を含む。)の印鑑に関する証明書及び当該申請のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでない。

試験ではこう問われる

  1. 申請書に押印した印鑑証明書は還付できるか(できない)
  2. 遺産分割協議書に添えた印鑑証明書は還付できるか(できる)
  3. 承諾書と裁判所書記官作成の印鑑証明書はどちらも還付できないか(承諾書はできる)
  4. 登記識別情報を記載した書面は還付できるか(できない)
  5. 不正な申請に使われた疑いのある書面を登記官は還付できるか(できない)

この用語が問われた肢

R2 問26 ウ誤り

X株式会社が所有権の登記名義人である甲不動産をX株式会社からその代表取締役であるAに売り渡したことにより売買を登記原因とする所有権の移転の登記を申請するときは,X株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報に添付した印鑑に関する証明書の原本の還付を請求することができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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