取締役の欠格事由と資格とりしまりやくのけっかくじゆうとしかく
会社法331条1項が列挙する取締役になれない者と、定款で資格を縛れる範囲です。破産や成年後見が欠格事由かどうか、欠格事由が生じたときの退任の登記、成年被後見人の就任承諾の形が肢で突かれます。
取締役の欠格事由は、会社法331条1項が列挙する取締役になれない者の類型です。法人、会社法などの罪で刑に処せられ執行終了から2年を経ない者、その他の法令で拘禁刑以上の刑に処せられ執行を終えるまでの者が並びます。令和3年3月1日施行の改正で成年被後見人と被保佐人は欠格事由から外れ、同項2号は削除されました。欠格事由に当たる者を選任しても就任の効力は生じず、在任中に欠格事由が生じれば資格喪失で退任します。肢で突かれるのは、何が欠格事由で何がそうでないか、そして成年被後見人の就任の手続です。
会社法 第331条第1項次に掲げる者は、取締役となることができない。
一 法人
二 削除
三 この法律若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)の規定に違反し、又は金融商品取引法第百九十七条第一項第一号から第四号の二まで、第五号若しくは第六号若しくは第二項、第百九十七条の二第一項第一号から第十号の三まで若しくは第十三号から第十五号まで、第百九十八条第一項第八号、第百九十九条、第二百条第一号から第十二号の二まで、第二十号若しくは第二十一号、第二百三条第三項若しくは第二百五条第一号から第六号まで、第十九号若しくは第二十号の罪、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百五十五条、第二百五十六条、第二百五十八条から第二百六十条まで若しくは第二百六十二条の罪、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号)第六十五条、第六十六条、第六十八条若しくは第六十九条の罪、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第二百六十六条、第二百六十七条、第二百六十九条から第二百七十一条まで若しくは第二百七十三条の罪若しくは破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百六十五条、第二百六十六条、第二百六十八条から第二百七十二条まで若しくは第二百七十四条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
四 前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

欠格事由は法人と一定の刑に処せられた者で、破産は入りません
会社法331条1項1号は法人を欠格事由とします。3号は会社法や金融商品取引法などの罪で刑に処せられ、執行を終えてから2年を経ない者です。4号はそれ以外の法令で拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたは執行を受けることがなくなるまでの者で、執行猶予中の者は除かれます。破産手続開始の決定は欠格事由ではなく、民法653条の委任の終了事由として退任するだけです。「取締役につき破産手続開始決定があった場合には,当該取締役について「資格喪失」を原因とする退任の登記を申請しなければならない」という肢は誤りで、原因は「退任」です。破産者を改めて選任することも可能です。
成年被後見人は取締役になれますが、就任承諾の形が特別です
令和3年3月1日施行の改正で成年被後見人と被保佐人は欠格事由から外れ、会社法331条の2が就任の手続を定めます。成年被後見人が取締役に就任するには、成年後見人が本人の同意(後見監督人がいればその同意も)を得たうえで本人に代わって就任を承諾します。登記の添付書面は成年後見人が作成した就任承諾書と本人(と後見監督人)の同意書、成年後見の登記事項証明書です。商業登記規則61条4項と7項は成年後見人が代わって承諾した場合を明文で含めています。「成年被後見人を取締役として選任した場合は,取締役の就任による変更の登記の申請書には,当該成年被後見人の同意書を添付することを要しない」という肢は誤りです。在任中に後見開始の審判を受けた取締役は、欠格事由ではなく民法653条により委任が終了して退任します。
欠格事由による退任は員数を欠いてもそのまま登記できます
在任中に欠格事由が生じた取締役は、その時に当然に退任し、原因は「資格喪失」です。会社法346条1項の権利義務は任期満了と辞任にしか生じないので、員数を欠いても退任の登記ができます。「ある取締役に欠格事由が生じた場合でも,これにより定款で定めた取締役の員数に満たないこととなるときは,その後任者が選任されるまで,当該取締役の退任による変更の登記の申請は,することができない」という肢は誤りです。退任を証する書面は判決の謄本と確定証明書など、欠格事由の発生を示す書面です。
員数と資格の定款の定めには会社法の枠があります
取締役会設置会社では会社法331条5項により取締役は3人以上、監査等委員会設置会社では6項により監査等委員である取締役は3人以上でその過半数が社外取締役です。定款で員数の上限や下限を定めることはできますが、法定の下限を下回る定めはできません。取締役を株主に限る定款の定めは会社法331条2項により公開会社では無効で、公開会社でない会社だけが置けます。年齢や国籍、日本に住所があることを資格とする定款の定めは禁じられておらず、登記官はその充足を審査しません。株主に限る定めを置いた非公開会社でも、取締役の就任の登記に株主であることを証する書面を添える定めはありません。監査役には会社法335条1項が331条1項と2項を準用し、会計参与と会計監査人の資格は会社法333条と337条が別に定めたものです。
会社法 第331条第2項株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 破産手続開始の決定や後見開始の審判が欠格事由に当たるかを問う肢
- 成年被後見人の就任承諾を誰がするか、本人の同意書が要るかを問う肢
- 欠格事由で員数を欠くときに退任の登記ができるかを問う肢
- 取締役を株主に限る定款の定めを公開会社が置けるか、取締役会設置会社の員数を問う肢
この用語が問われた肢
取締役が破産手続開始の決定を受けた場合には、登記原因を「資格喪失」として、当該取締役の退任の登記を申請しなければならない。
成年被後見人を取締役として選任した場合は、取締役の就任による変更の登記の申請書には、当該成年被後見人の同意書を添付することを要しない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。