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権利義務取締役けんりぎむとりしまりやく

商業登記 第5章 役員の変更 過去問で5肢

任期満了か辞任で退任したのに、役員が欠けるか員数を欠くために後任が就任するまでなお取締役の権利義務を負う者です。退任の登記ができないこと、解任できないこと、死亡したときの原因の書き方が肢で突かれます。

権利義務取締役は、任期満了か辞任で退任したのに、なお取締役としての権利義務を負う者です。会社法346条1項により、役員が欠けるか法定または定款の員数を欠く場合に、後任が就任するまでこの状態が続きます。会社の運営に空白を作らないための仕組みで、解任・死亡・欠格事由による退任には生じません。権利義務を負っている間は退任の登記ができず、後任の就任の登記と同時に、もとの退任の日を原因日付として退任を登記します。肢で突かれるのは、登記の可否、代表取締役への選定、解任の可否、そして死亡したときの登記原因です。

会社法 第346条第1項

役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

出口に向かいかけた人物が空席の会議室を振り返り席に戻ろうとしている。隣に新しい人物
任期満了か辞任で退任しても員数を欠けば、後任が就任するまで取締役としての権利義務が続きます
任期満了・辞任だけ退任の登記は後任の就任と同時死亡したら取締役は退任・代表取締役は死亡

権利義務は任期満了と辞任にだけ生じ、員数を欠くことが条件です

会社法346条1項の対象は任期満了または辞任により退任した役員で、解任や死亡、欠格事由による退任には生じません。条件は役員が欠けることか、法律または定款で定めた員数を欠くことです。取締役会設置会社なら会社法331条5項の3名、監査等委員会設置会社なら監査等委員である取締役の3名が法定の員数です。定款で員数を定めていれば、その員数を割った時点で権利義務が生じます。会社法351条1項は代表取締役について同じ仕組みを定め、代表取締役が欠けるか定款の員数を欠くときに限って権利義務が続きます。

権利義務を負う間は退任の登記ができず、解任もできません

権利義務が続いている間に退任の登記を申請すると、登記官はこれを受理しません。後任が就任した時に権利義務が終わるので、後任の就任の登記と一緒に、もとの退任の日を原因日付とする退任の登記を申請します。すでに取締役ではないので株主総会で解任することもできず、「辞任により取締役を退任した後も取締役としての権利義務を有するAを解任する株主総会の決議がされた場合であっても,当該株主総会の議事録を添付して,Aの解任による変更の登記を申請することはできない」という肢は正しい肢です。辞めてもらうには後任を選任するか、裁判所に一時取締役を選任してもらうか、法定の員数の範囲で定款の員数を減らして欠員をなくす必要があります。

権利義務取締役を代表取締役に選定する登記はできます

権利義務を負う者は取締役としての職務を行う権限を持つので、取締役会はその者を代表取締役に選定できます。「取締役会設置会社において,退任した取締役であってなお取締役としての権利義務を有する者を代表取締役とする代表取締役の就任による変更の登記の申請は,することができない」という肢は誤りです。会社法346条2項の一時役員は、権利義務取締役がいる場合でも裁判所が必要と認めれば選任できます。「任期満了による退任後もなお監査役としての権利義務を有する者が存在する場合には,一時監査役の職務を行うべき者が選任されたとしても,当該選任による変更の登記をすることはできない」という肢は誤りです。

権利義務取締役が死亡したら取締役は退任、代表取締役は死亡です

権利義務を負っている者が死亡すると、取締役としては任期満了や辞任の日にすでに退任しているので、その日を原因日付として任期満了なら「退任」、辞任なら「辞任」の登記をします。権利義務取締役になった後に選定された代表取締役の地位は死亡によって初めて失うので、代表取締役については死亡の日を原因日付として「死亡」の登記をします。「任期の満了による退任後もなお取締役としての権利義務を有する者を代表取締役に選定し,その後,当該代表取締役が死亡した場合には,「死亡」を原因とする取締役及び代表取締役の退任の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。反対に、取締役と代表取締役の両方を「退任」の原因で登記させる肢も誤りで、取締役と代表取締役で原因と日付を分けるのが答えです。

会社法 第351条第1項

代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役(次項の一時代表取締役の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。

試験ではこう問われる

  1. どの退任事由で権利義務が生じるか(任期満了・辞任だけか、解任・死亡・欠格事由も含むか)を問う肢
  2. 権利義務を負う間に退任の登記ができるか、株主総会で解任できるかを問う肢
  3. 権利義務取締役を代表取締役に選定した登記ができるか、権利義務者がいても一時役員を選任できるかを問う肢
  4. 権利義務取締役が死亡したときの取締役と代表取締役の登記原因と原因日付を問う肢
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