特別取締役とくべつとりしまりやく
取締役6人以上で社外取締役がいる取締役会設置会社が、重要な財産の処分と多額の借財の決議をあらかじめ選定した3人以上の取締役だけで行えるようにする制度です。設置できる会社の要件、登記事項、就任の登記の添付書面が肢で突かれます。
特別取締役は、会社法373条1項により、取締役会があらかじめ選定した3人以上の取締役のことです。取締役の数が6人以上で、そのうち1人以上が社外取締役である取締役会設置会社が設けられます。重要な財産の処分と譲受けおよび多額の借財の決定を、議決に加わることができる特別取締役の過半数が出席しその過半数(取締役会で加重できます)で行える旨の定めです。会社法911条3項21号により、特別取締役による議決の定めがある旨・特別取締役の氏名・社外取締役である旨が登記事項になります。肢で突かれるのは、設けられる会社の要件と、設定・就任の登記に添える書面です。
会社法 第373条第1項第三百六十九条第一項の規定にかかわらず、取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)が次に掲げる要件のいずれにも該当する場合(監査等委員会設置会社にあっては、第三百九十九条の十三第五項に規定する場合又は同条第六項の規定による定款の定めがある場合を除く。)には、取締役会は、第三百六十二条第四項第一号及び第二号又は第三百九十九条の十三第四項第一号及び第二号に掲げる事項についての取締役会の決議については、あらかじめ選定した三人以上の取締役(以下この章において「特別取締役」という。)のうち、議決に加わることができるものの過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行うことができる旨を定めることができる。
一 取締役の数が六人以上であること。
二 取締役のうち一人以上が社外取締役であること。

取締役6人以上で社外取締役がいる取締役会設置会社に限られます
会社法373条1項の要件は、取締役会設置会社であること、取締役の数が6人以上であること、取締役のうち1人以上が社外取締役であることの三つです。指名委員会等設置会社は執行役に業務執行の決定を委ねる仕組みなので除かれます。監査等委員会設置会社も、取締役の過半数が社外取締役である場合や、会社法399条の13第6項の定款の定めで重要な業務執行の決定を取締役に委任できる場合は除かれます。特別取締役を置く旨は定款の定めではなく取締役会の決議で定めるので、添付書面は取締役会議事録です。
特別取締役が決めるのは重要財産の処分・譲受けと多額の借財です
特別取締役による議決の対象は、会社法362条4項1号と2号の重要な財産の処分と譲受け、多額の借財に限られます。支配人の選任や支店の設置などの他の重要事項は、通常の取締役会の決議で決めます。会社法373条2項により、特別取締役以外の取締役はその取締役会に出席する必要がなく、同条3項により特別取締役の互選で定めた者が決議の内容を他の取締役に報告します。代表取締役の選定や解職は特別取締役の決議事項ではありません。
登記事項は定めがある旨・氏名・社外取締役である旨の三つです
会社法911条3項21号により、特別取締役による議決の定めがある旨と特別取締役の氏名を登記し、取締役のうち社外取締役であるものについて社外取締役である旨も登記します。社外取締役である旨は通常の取締役会設置会社では登記しませんが、特別取締役の定めがある会社では要件を公示するために登記事項になります。監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社と同じ扱いです。要件の社外取締役が退任して社外取締役がいなくなれば定めは要件を欠いて効力を失うので、登記実務では改めて廃止の決議をせずに定めの廃止と特別取締役の退任の登記を申請する扱いです。
就任の登記には取締役会議事録と就任承諾書を添えます
特別取締役は取締役の中から取締役会が選定するので、商業登記法46条2項により取締役会議事録を添付します。商業登記法54条1項は特別取締役の就任の登記にも就任承諾書の添付を求めます。設立の登記で特別取締役の定めを置くときは、商業登記法47条2項12号により、特別取締役の選定と就任承諾を証する書面を添付します。取締役としての本人確認証明書や印鑑証明書は取締役の就任の登記で添付済みなので、特別取締役の就任で改めて添えるものではありません。
解散すると特別取締役の登記は職権で抹消されます
株主総会の決議などによる解散(合併と破産手続開始によるものを除く)やみなし解散の登記をしたときが対象です。商業登記規則72条1項2号により、特別取締役による議決の定めがある旨の登記と特別取締役に関する登記に抹消する記号が記録されます。取締役会設置会社である旨と取締役の登記が同項1号で抹消されるのに連動した扱いです。取締役の選任決議の不存在や無効の登記をしたときも、商業登記規則67条1項によりその取締役の特別取締役としての登記は職権で抹消されます。
会社法 第911条第3項第21号第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、次に掲げる事項
試験ではこう問われる
- 特別取締役の定めを設けられる会社の要件は何か(取締役会設置会社・取締役6人以上・社外取締役1人以上)
- 指名委員会等設置会社は特別取締役の定めを設けられるか(設けられない)
- 特別取締役の定めがある会社で社外取締役である旨は登記するか(登記する)
- 特別取締役の就任の登記の添付書面は何か(取締役会議事録と就任承諾書)
- 解散の登記で特別取締役の登記はどうなるか(職権で抹消される)
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